北陸大学教職員組合ニュース第33号(1996.10.11 発行)

  スト権確立に向けて、組合大会開催される

 9月26日、組合大会が行われ、スト権確立の投票実施が決定されました。

本大会では、3つの議題(1. 給与の改定 2. 次期学長の決定 3. 理事会の人事権濫用)が上げられ、これらについて、書記長、委員長より経過報告と提案が行われました。

1.給与改定については、組合ニユース23号で報告済みであるが、7回の小委員会交渉とその後の2回の団交では、法人側は独断で決めた定期昇給のみの平均1.7%案に固執し、その根拠となる算定基準、経理の公開、将来の見通しなど我々が要求していることには一切応じず、論議を尽くして結論を見いだすという交渉の基本的理念が欠如した無責任で、不誠実な対応しかしていないことが報告された。かかる交渉権無視の態度を改めさせ、納得のゆく給与アップを実現するには、団結を裏付けとした争議権の行使以外にないとスト権確立の提案があった。

2.次期学長の決定では、組合の設立趣旨にある大学民主化の指向や、有志による公選制要求に真っ向から挑戦するかのような法人のやり方が問題にされ、我々と真摯に話し合うという意志がない法人側に、組合は労働組合に与えられた正当な手段を行使して反省を促さなければならないと結論づけられた。さらに、教学の長である久野学長も教員の切実な要求を無視したばかりか、全学教授会(9月9日)の席上で虚偽の発言をしたのは許せない行為であるとされた。

3.人事権濫用については、昇任人事の異常遅滞、新採者への1年契約の強要、薬学部教授会無視の教員採用など、一連の信じ難い事態について説明があり、教員の人権、教育権を無視する法人の体質が糾弾された。

 以上3点の理由で、スト権確立投票を実施することが全会一致で決定され、各部会の投票管理委員が選出されました。(薬学部:桐山、永井 外国語学部:桜田、中崎 法学部:島崎、叶 事務部:吉田) 大会は成功裏に終了しました。

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圧倒的支持でスト権確立される!

 10月4日午後5時半より3学部の投票管理委員立ち会いのもとで、スト権投票の開票が行われた。投票者140名のうち、賛成126、反対12、白票2、の圧倒的支持でスト権が確立されました。組合は今後このスト権を背景に、以下のスローガンの実現に努力します。皆様のご支持をお願いします。

1 今年度8%アップの給与改定を実施すること

2 次期学長の選任を白紙撤回し、学長、学部長の公選制を実施すること

3 人事権の濫用を即時停止し、民主的で公正な人事運営を行うこと

     久野学長、全学教授会で虚偽発言?

 8月22日、本学理事会は突如、次期学長に衛藤瀋吉氏を決定しました。9月9日の公示でそれを知った本学の教員の殆どは、まったく驚きを禁じえなかったと思います。学長・学部長の「公選」問題はこれから議論が本格化する段階だったからです。

 敷衍するまでもなく、今年2月に全教員の8割が「学長・学部長公選」を要望しました。この要望に対し、3月に中川専務理事は「真摯に受けとめる、話し合える基盤をつくる」と回答しました。同席した久野学長・理事は、その重要性に鑑み、「全学教授会でとりあげる用意がある」と発言しました。実際、全学教授会で「公選」の導入が提案され、確かに議論の入り口でしたが、6月、7月と白熱した議論が展開され、8月、9月はその議論を決着させようとしていたことは紛れもない事実です。

 しかし、理事会は8月22日に上記決定をし、久野学長は決定が公示された日(9月9日)の全学教授会で、選任決定までの経緯を説明し、常任理事会で自分が衛藤氏を次期学長に推薦したと明言しました。理由は色々あるでしょう。しかし、この時点で理事会も、久野学長も教員有志に対する前言を翻したことは否定しようがありません。理事会は話し合いの相手に何一つ説明することもなく、また全学教授会を無視する形で一方的に次期学長を決定しました。久野学長は「公選」を教学の正式ルートで取り上げようと言っていたのに、議論の途中で自ら候補者を推薦したということです。両者とも「規程通り」を強調していますが、いつものときとは違うのです。学校教育法(第59条)は言うに及ばず、「臨教審」や大学基準協会などの公的指針に照らしてその規程が問題にされていたのです。そのことの意味を専務理事発言に現われているように、理事会も、また久野学長も認識していたはずです。それにもかかわらず、これほどまでに無視できるのは、まったく信じ難いことです。

 ところがそれだけにとどまらず、その後、衛藤氏の新聞インタビューの中に、理事会の態度や久野学長の説明に虚偽があったとしか考えようがない発言がありました。まず、「北陸中日新聞」(9月22日付け朝刊)では、衛藤氏は理事長から、たびたび自宅を訪問するなどの「熱心なお誘いがあって、最終的には6月下旬頃にお受けした」と述べています。そうすると、すべては既に決まっていて、3月から8月にかけての一連のこと、つまり、136名の「公選」を求めた有志に対する回答、全学教授会での議論、さらには常任理事による選考委員会すらもただの茶番劇だったということになります。これは現行の規程にさえ違反している疑いがあります。そこで演じた久野学長の役割とはいったい何だったのでしょうか。既に決まっていた人を、自分が推薦したと、全学教授会という公式の場で明言したのです。彼は何のためにそのようにみせかけたのでしょうか。何重もの虚偽が潜んでいるように思われます。

 「朝日新聞」(9月26日付け朝刊)では、衛藤氏は「内情(学内事情)はまったく知らなかった」と発言しています。一方、久野学長は上記の全学教授会で、「公選制要求があることを学長は衛藤氏に話したか」という質問に対し、「話した、こちらの事情はわかってもらっている」と答えていました。この点でも、虚偽があったととらざるをえません。私たちは久野学長の発言にただ呆れ果てるばかりです。それどころか、当初の疑念は、久野学長に対する不信に変わらざるをえません。もし、この間の事情で明確に釈明できることがあれば、是非聞かせていただきたいものです。