北陸大学教職員組合ニュース31号(1996.9.10 発行)
新学長の一方的決定に抗議
理事会 教員の要望無視!!
すでに、学内にも掲示がされ、新聞、テレビなどでも、報道されていますように、北陸大学の新学長が内定しました。これは8月22日の理事会で、抜き打ち的に決定 されました。
私たち北陸大学教職員組合は、結成の当初から、学内の民主化、正常化を目標のひとつとして掲げてまいりました。アンケート調査でも多数の組合員が、学内の民主化、正常化を最優先事項として取り上げることを希望していました。しかし、現在まで、組合は、学長・学部長の公選制については、正面から、それを問題として、大学当局 と交渉をするということは行ってきませんでした。それは、まず、その前に取り組ま なければならない他の重要事項が多々あったからです。また、2月に学内の有志により、教員の80%近くになんなんとする、学長・学部長の公選要求の署名が集められ、 それを受け取った理事会側からは、「真摯に受けとめる」ということばがあり、さらに、全学教授会では、久野学長が議事として扱うことを明言しました。そして、実際 に全学教授会では議論が進行中でした。
しかるに、突然に、何の前ぶれもなく、理事会は、一方的に新しい学長を決定して しまいました。組合はこのような専横卑劣なやり方を見過ごすわけにはいきません。 組合が設立されたとき、最初の団交の席上で、大学側は、組合の設立された意味を重 く受けとめ、その意向を尊重しつつ大学運営にあたっていきたいと表明をしました。つまり、教職員の意見を大切にしていく旨をはっきり言っているのです。そして、今 回は、議論が進行中だというのに、理事会は、教員の絶対多数が要望した公選制に真っ向から反する非民主主義的なやり方で、新学長の決定を行いました。これまでの、大学を代表するはずの人たちのことばはいったい何だったのでしようか。今回のやり方は、大学人の名にもとる行為であると非難されても弁解の余地はありません。
組合執行部は、事態を重視し、すぐに、学長・学部長の公選要求を組合事項として取り上げ、要求の実現を目指すことを決定いたしました。『学長・学部長の「公選制」を求める北陸大学教員有志』からは、すでに、抗議声明が出されました。私たちは、組合ニュースに、その抗議声明の全文を掲載し、組合の支援を宣言するものです。
組合員の皆様の力強いご支援をお願いいたします。
平成8年9月11日
学校法人北陸大学 理事長 北元喜朗殿
抗 議 声 明
1 我々は学校法人北陸大学理事会が平成8年8月22日の理事会で,抜き打ち的に次期学長の選任を決定したことに対し,厳重に抗議します。
2 理事会決定を白紙撤回し,学長・学部長「公選制」を承認することを要求します。
我々は平成8年2月23日付けで学長・学部長「公選制」即時実施に対する要望書を提出しました。それは本学において形骸化しつつある教授会等の教学機能を,自己責任のもとに活性化するための決断でした。要望した有志は136名の教員で,この数は提出時全教員の7割8分に達します。任命された現3学部長,中国人派遣教員,呼びかけによって初めて明らかになった「3年契約」に縛られていた外国語学部平成7年採用教員を除くと,本学現行制度下で相対的に意思を表明し得る教員の8割を優に超える数であります。あえて言いますと,大学に関する正常な感覚をもち,大学運営を真剣に考える者ならば,決して無視し得る数字とは考えないでしょう。
実際,それだからこそ,3月21日には中川専務理事が学校法人を代表して,「多数の要望の事実は真摯に受けとめる」と態度表明せざるをえなかったのであり,さらに「教学意思を反映するシステムを構築する/意識の対立をなくして話し合える環境づくりが先決/話し合える基盤を早くつくる」等の見解を表明したのではありませんか。
もともと,この問題は大学の根本にかかわる問題であって,当然法人対教員有志という図式の問題ではありません。それゆえ,法人が回答した場に同席した久野学長にもこの問題に対する学長の意見を求めたところ,「このままでは具合が悪い/全学教授会で話し合う」旨の発言がありました。したがって,我々は全学教授会の論議にも大いに期待したのであります。全学教授会の現在の進行状況は,全学教授会で取り上げることに対する慎重論を受けて,目下いわば論議の入りロを議論していますが,まだ結論がでたわけでも,学長選任のタイムリミットを越えたと認識したわけでも,ましてや久野学長が議論の打切りを宣言したわけでもありません。因みに,現行規程では選考時期についての明示がなく,現学長の選任決定は,就任3日前の平成7年3月29日に,全学教授懇談会の席上,第109回理事会および第56回評議員会事項の報告として発表されました。
学内の事情がこのような状況にあるとき,理事会は中川専務理事の前言にもかかわらず,「話し合える基盤をつくる」ための努力を何一つせず,一方的に8月の段階で次期学長の選任を決定しました。このことはまさに全学教授会の論議および絶対多数の教員の意思を無視した,信義にもとる行為以外の何ものでもありません。我々はとうてい容認できないところであり,厳重に抗議します。また,このような行為は学内だけにとどまらず,大学の品格,社会的な信望を著しく損なうものであります。 よって,我々は厳重に抗議するとともに,ただちに理事会決定を白紙撤回し,理事会が学長・学部長の「公選制」を承認することを要求します。
学長・学部長の「公選制」を求める北陸大学教員有志世話人
薬学部 富森 毅 吉藤茂行
外国語学部 林 敬
法学部 島崎利夫 田村光彰