北陸大学教職員組合ニュース第3号(1995.8.24 発行)

北陸大学教職員組合ニュース

 第1回アンケート(7月末日実施)にご協力いただき,ありがとうございました。アンケートには,本学の現状に対する不満と苦悩,そして本学をより良くしたいという情熱に満ちた声が数多くありました。以下に,アンケートの結果を報告いたします(回収率81%)。回答方法には,各群について特に関心のある事柄2つに○を(abを除く)付ける制約がありました。また,○を付けた項目に対する理由は,主なものを挙げました。

第1回アンケート結果

T 給与関係事項

@ 本俸(基本給)表の明確化 88.9 %

A 賞与            79.0 %

B 扶養手当         3.7 %

C 特殊業務手当         8.6 %

D 休日出勤手当         7.4 %

 

○を付けた理由:基本給が低すぎる。他大学平均以上の待遇を。根本的に生活が苦しい。将来の見通しが立たない。

解説:やはり本俸の低さ,賞与に対する不満が最大の関心事である。特に生活にゆとりがなく,将来に不安を抱えている人が圧倒的に多い。

本学規程集の給与規程,第3章本俸,第7条から第15条を読んでみる。殆ど全ての条文に「理事長が決定する」(この語句は他の規程集にも列記され,まるで“呪文”のように繰り返されている)を見出すことができる。このことを一人一人が考えてみる必要があろう。第7条には,教育職員に職能給を別個に設定しているが,他大学では全く設定されていない。教育職員はもともと特別職と考えるのが妥当である。第8条には,産前・産後の育児休暇(育児休業とは異なる)は,産前6週間,産後8週間(労基法第65条)と定められている。この期間中の給与は,殆どの他大学では基本給全額を支給している。しかし,本学では全く支給されていない。また,育児休暇期間中を賞与の査定対象にしている大学は本学を除き,皆無である。

初任給を考えてみる。別表5によると,修士課程修了,基準年齢24歳,初任等級1級となっているが号俸は全くわからない。アンケートから類推すると,修卒の初任給は約17万円,学卒(実験助手,職員)にいたっては,約15万円となる。これが現状であり,全く低い賃金で働かされていることに憤慨せざるを得ない。では,次に年間どれくらい給与が上がるのか。別表4を基に設定すると,4等級講師,35歳の場合,年齢給は145,500円,4等級15号俸とすると職能給は169,700円となり,本俸は315,200円である。次年度は年齢給3,000円,職能給1号俸上がって2,100円,従って昇給は年間5,100円しか上がらない。10年後では,約5.5万〜7万円増えて,45歳では37万〜38.5万円の本俸しかもらえない。このように本俸が低いといくら賞与の月数を多くしても(限度がある),年間給与の上昇は微々たるものであり,給与規程及び本俸表の早期改正が必要である。

a.賞与などの査定

@ しても良い     8.6 %

A して欲しくない   53.0 %

B どちらでも良い    2.4 %

C 状況による     35.8 %

b.年俸制(契約制)

@ しても良い     2.4 %

A して欲しくない   70.3 %

B どちらでも良い    3.7 %

C 状況による     28.4 %

解説:賞与などの査定をして欲しくない人が多い。これは査定基準がどのようにして行われているのか,誰に聞いても納得できる返答が得られないという不安感を表しているものであろう。このことは,状況によるが約36 % の数値からも,伺い知ることができる。すなわち,明確な査定基準があれば,やむ得ないとする人がいる。これは各種委員は大変だからとか,教育・研究に特別な功労があった人などには,プラスの査定をしても良いという事であろうか。ただ,はき違えてならないことは,決してマイナスの査定をしても良いということではない。教育・研究に従事する教員や事務職員においても,特別なこと(長期欠勤など)がない限り,マイナス査定はしてはならない。そこで,査定についてもう少し解説してみよう。

査定(人事考課)は,「出勤日数,遅刻・早退日数,仕上がり度など全く自動的に計量評価できる基準項目についてのみ許されるべきで,評価者の恣意・裁量が入る余地があってはならない」としているのが通説であり,査定制度の設定・変更および運用は重大な労働条件の変更である。従って,人事考課制度が存在し,査定を行いうるのは,少なくとも就業規則に規定されている場合にのみであって,しかも使用者がかってに査定案をつくり一方的に実施するのは,明らかに労基法違反であり無効である。これは,労基法2条の労働条件対等決定の原則,労基法15条や労基法施行規則53号の労働条件明示の原則などにもとづいて行われなければならない。従って,使用者は賃金の決定・計算及び支払いの方法を明示する義務を負うから,査定における賃金決定の要素・昇給の基準などを明示しなければ処罰をまぬがれないことになる。このような労基法から,人事考課は団交対象事項であり,これに関する団交拒否は労組法7条違反の不当労働行為となる。

 

年俸制については,約70 % の人が拒否してる。年俸制を導入すれば,現状を考えた場合,マイナス査定や肩たたきの材料にされることを危惧してのことと思われる。

U 就業規則関係

@ 有給休暇     59.3 %

A 採用         27.2 %

B 勤務時間     39.5 %

C 育児休暇制度    11.1 %

D 福利厚生     24.7 %

E 雇用保険     9.9 %

○を付けた理由:就業規則の全面的見直し。働きやすい環境を。タイムカード制を廃止せよ。教職員への思いやりがない。うかつに病気になれない。労働者の権利を剥奪している。実験助手を薬学部教員とする。年次有給休暇を最大40日間とせよ。係りの人がしつこく理由を聞くのをやめて欲しい。週休2日制導入。

解説:語句を羅列しただけなので,回答しにくかったものと思われる。中でも,有給休暇,勤務時間,福利厚生に対する関心が高い。本学規程集の就業規則,第3節休暇,第39条,第1項には「・・・,年間を通じて20日間を限度として年次有給休暇を与える。」とある。また,第2項には新採用職員の年次有給休暇日数表があり,採用月が1月では10日間となっている。従って,全職員の有給休暇は年間10日間であり,次年度へ繰り越しても,最大有給休暇日数は20日間しかないことになる。このことを間違わないようにしなければならない(旧規程では新採用月が1月で20日間,残余日数を次年度のみ繰り越す旨の記載があり,最大有給休暇日数は40日間であった)。よって,それ以上休暇をとると減俸および査定の対象になってしまうことになる(現実に行われている)。最近の世情を考えると,全く時代錯誤もはなはだしい。

また,アンケートには記載してなかったが,退職手当について考えてみる。規程集の退職手当支給規程によれば,別表に当てはまるのは昭和5941日以降の採用職員のためのものであり,それ以前の採用職員の退職手当支給率表はない。これは一体どういうことなのか。これ以前の支給率表によって支給されるのか,または,第11条に従って支給されるのか,わからない。

配置転換について,解説してみる。最近の法決定事項によれば,組合員の配置転換は団体交渉の対象となり,使用者は組合と誠実に協議すべき信義則上の義務があるとしている。その決定は,「一般に労働の場所・種類・態様などは賃金などの労働条件と同様に労働契約の不可欠の条件である。それ故業務上の理由に基づく配転(転勤)であるからといって,それが労働者の労働条件や生活環境に多大の影響を生ずるものである以上,無制限に許容されるものではなく,・・・・合理的な制約が存する。・・・・使用者としても転勤を命ずる際にはできる限り労働者の同意を得るようにし,・・・・使用者は誠実に協議に応じる信義則の義務があるというべきである」となっている。また,「人事権行使の基準となる事項のみならず,個々の人事異動についても,それが勤務条件に関する事項と関連する限り,その面においては,職員の地位安定の見地から,法令・書面協定あるいは慣行条理等に照らし当局の反省若しくは是正を求める意味において,交渉の対象とすることができる」と述べている。従って,最近の頻繁な職員の異動・退職・採用は大学運営方法が重篤である事を示しており,その責を免れないであろう。

 

V 大学の民主化

@ 学長・学部長の公選制    53.1 %

A 教授会の正常化     32.1 %

B 理事会の正常化     37.0 %

C 教職員の地位向上     21.0 %

D 法人財政の明確化     34.6 %

 

○を付けた理由:大学を私物化するものではない。理事長及び理事会は今までの責任をとり,勇気ある態度を見せるべきだ。教授会の権限がなくなり,教員の立場は地に落ちている。信頼関係がない。大学の資産は個人のものではない。理事会は独裁的に事を運んでいる。教職員の意見が反映されるシステムにするべきである。理事の言いなりになる学長・学部長。教職員と理事会が対等な立場で真剣に取り組まないと更なる発展はない。

解説:学長・学部長の公選制の約53 % を筆頭に,何れの項目にも高い関心と憂いがあることを示している。

 

W その他

研究費の増額。管理局の人事移動が激しく,教育への支援機能が低下している。教育・研究条件の財政的・質的改善。理事・評議員の選出の公正化。常勤理事の職務内容とその報酬の公開。大学は企業ではない。大学運営は太陽グループと独立に運営されているのか。創設功労金・役員退職金・功労金の実態を明らかにせよ。

解説:ここでは,特に解説はしないが,V 大学の民主化,と併せて,本学規程集の次ページの各規程を読んでもらえば,おのずと何かが見えてこよう。そして,これらの諸規程は,昭和60年以降大幅に改訂されていることに気づくであろう。

今,我々の誇りである北陸大学が,情熱を注いできた北陸大学が,かつて無い程の最悪の状況下におかれている。それらの原因が何処にあるかを見極める深い洞察力を持ち,そして,勇気ある行動に期待する。

 

@ 学校法人北陸大学寄付行為

A 常任理事会規程

B 学校法人北陸大学役員規程

C 学校法人北陸大学人事委員会規程

D 北陸大学学長任用規程

E 学校法人北陸大学栄誉称号授与規程

F 北陸大学運営規程

G 北陸大学教授会規程

  1. 北陸大学学部長候補者選出内規

 

年齢別

年 齢

平均年齢

平均本俸(円)

平均勤続年数

22〜30

28

210,400

4

31〜35

33

269,700

7

36〜40

39

327,100

13

41〜45

43

373,400

18

46〜50

47

411,600

17

51〜55

53

507,400

18

56〜65

61

564,400

19

平均

43

372,167

 

 

X 北陸大学の現在の本俸(基本給)

 

給与関係のアンケート結果(1995.7月現在)

 上表は,本学の主に教育職員の本俸についてまとめたものです。個人的な内容で,大変書きづらいアンケートであったにも拘わらず,ほぼ100 % の方が答えてくれました。それだけ怒りを抱いているのではないかと感じています。結果について,特にコメントは致しません。ただ,悲しいかな,年齢,職階,学歴を考慮しても,ただの一人として,他大学(組合のある私学)の平均給与に届く方はいなかったことを付け加えておきます。

また,次ページ以降に参考資料として,私立大学の教職員年間収入実態(93年度版)と月額平均本俸表(93年度版)を載せておきました。各人,比較検討していただきたい。?????。怒怒怒!!!!!!!!!!!!!

助手

年 齢

平均年齢

平均本俸(円)

平均勤続年数

22〜30

28

211,300

4

31〜35

32

258,600

7

36〜40

40

324,600

15

41〜50

46

351,400

18

平均

33

254,300

8

第3回団体交渉始まる!!

日時:830日(水),17:30〜   場所:薬学部本館3F会議室

要求項目:1.給与の大幅アップを前提とした給与規程の改正を行うこと。

2.入試手当及び諸手当について協議すること。

3.その他

講師

年 齢

平均年齢

平均本俸(円)

平均勤続年数

35〜40

37

326,400

9

41〜45

43

363,600

19

46〜55

48

392,400

20

平均

43

359,400

16

       

当日は,給与規程の具体案が,法人側から提出される予定です。

薬学部本館の図書館ラウンジに集合して下さい。

団交のホットな内容が逐次報告されます。また,団交終了後,詳細な経過報告会などが開催されます。

 

 

(広報担当 K.)

教授

年 齢

平均年齢

平均本俸(円)

平均勤続年数

45〜55

52

520,700

17

56〜65

62

570,900

20

平均

57

547,800

18

助教授

年 齢

平均年齢

平均本俸(円)

平均勤続年数

41〜45

43

395,200

17

46〜60

50

472,000

20

平均

47

438,300

17