北陸大学の正常化を目指す教職員有志の会会報第12号(1997.10.13発行)

教職員の皆様へ 

教学との協働関係の確立

再度の行政指導 法人理事会の迅速な対応を!

学長・学部長を更迭してでも、正常化への努力が必要ではないか

 10月に入ってからの本学理事者のあわただしい動きや、マスコミ関係者の話から判断すると、今回の北陸大学法人に対する再度の行政指導は相当厳しいものであったことがうかがえる。もはや、「北陸大学法人の理論」ではことが済まされない状況が迫っていると見ることもできる。昨年から始まった民主化運動が、自主選挙を行って頂点に達した本年3月の半ばに文部省の厳しい行政指導が行われた。そして、私たち有志の会や教職員組合が、法人の行政指導に対する対処がおかしいと指摘を繰り返し、全学教授会の運営に行き詰まりを生じた矢先、6ヶ月という短期間で再度の行政指導が行われた。法人の傲慢なやり方に業を煮やしたのは私たちばかりではなかった。

 行政指導で、有志の会として特に重視する事項は、大学が教育の場であることを踏まえた「教学との協働関係確立」についてである。それは、法人が文部省などに対し、協働関係の確立を“やっています”と言う口実に使い、その作業場であるとした「全学教授会」が機能停止しつつあるからである。この状況は、当初は法人がそれとなく意図したものであったかも知れない。全学教授会が法人側の言い訳に使える程度に動いていればそれで良かったからである。

 ところが文部省の強力な指導に、これまでのスタイルではいけないと気付いた法人理事会は、今度は本当の意味で全学教授会を動かし、結論はどうであれ、学長選考について具体的な話し合いをしなければならなくなった。しかし、この指導を受ける前の9月24日に全学教授会は10名の構成員が辞任を申し出て破綻状態になってしまった。

 あわてたのは法人理事会であろう。中川専務理事やその指示を受けた佐々木学長のあわただしい動きは何なのか。これまで行政指導の内容に関して全く説明を拒否していた法人が、全学教授会構成員に通知した「文部省の指導に基づく具体案骨子」を、わざわざ全教員に知らせる行為は何なのか。そして矢継ぎ早の全学教授会の開催要請は何を意味しているのか。推測するに、法人は10名の構成員を何が何でも会議の席に着かせ、“正規の”全学教授会で具体案骨子の“話し合いに入りました”という証拠をすぐさま必要としているからであろう。でなければ、出席拒否を続ける構成員を教学の代表と見立てて、教学側が話し合いに応じてくれないと文部省に訴える可能性もある。

 しかし、文部省に訴えてみても、どうなるものでもない。それは、行政指導を受けたのは法人理事会であり、文部省は教学側には一切その内容を知らせていないのである。このことは、協働関係の確立に努力すべきは法人理事会であることを明確に意味している。法人理事会が、この一連の行政指導のすべてを教学側に説明し、釈明すべきは釈明し、責任を取るべきことは責任を取って、その上で教学側に協力を要請する手続きを踏むことを文部省は強く示唆しているのである。この手続を踏まないでおいて、全学教授会構成員には行政指導に協力する“義務”が最初からあるかの如く喧伝するのは、大きな勘違いである。

 中川理事らは、文部省の具体案骨子が出て状況が変わったのだからぜひ出席してほしいと言いたげであるが、状況が変わったのは指導を受けた法人理事会であり、全学教授会の状況は何も変わっていない。構成員が辞任を申し出た原因が何一つ改善されていないからである。これは、最後には採決拒否をして議場を後にした佐々木学長のこれまでの議事運営のまずさに起因する。法人が「With」などで公報してきたように、全学教授会で正常化の話し合いが正常に行われているものと思っていた一般の教員達は、今回の辞任申し出で、全学教授会の実態が明るみになり、佐々木学長のやり方に唖然としたのである。しかも、「いっしょに汗をかきましょう」と言った3学部長も、佐々木学長のふる舞いをただ傍観していたのか全く動かず、問題を学部へおろしてこなかったために学部からも浮き上がった存在になっている。

 文部省への報告のためにも、教学との話し合いの場を急いで設定しなければならない法人にとって、佐々木学長と3学部長が教員たちから一度も信任されず反発を招いている人物であることが、今となっては障害になりつつあるのではないだろうか。皆んなが心から望んだ和解成立の一歩手前まできていたあの3月の段階で、ほんの一部の教員の個人的な思惑が、もし法人の判断を歪めていたとしたら、痛恨の極みであろう。

文部省から「具体案骨子」まで示されて再度の指導を受けた法人理事会が、真摯に教学側と協働関係確立を目指す意志があるなら、学長・学部長を更迭してでも全学教授会・学部教授会の正常化に努力しなければならない。現在の体制では何の話し合いもできないことは誰の目にも明らかである。