北陸大学の正常化を目指す教職員有志の会会報第5号(1997.7.31発行)
教職員の皆様へ
北陸大学の正常化を考える
シンポジウム開催される
法人側の不参加と悪質な妨害に猛省を!
有志の会は、7月24日「第1回 北陸大学の正常化を考えるシンポジウム」を金沢市観光会館において開催いたしました。当日は、アンサンブル金沢の演奏会と重なり、大勢の市民が会場前に集まり、私たちの会の案内を興味深げに眺めていました。
シンポジウムは、本学教職員、学生、父母と金沢大学関係者や市民、そして多くのマスコミ関係者が訪れ、150名を越える盛況で大変順調にゆきました。シンポジウムの詳細は次号でお知らせいたします。
ここで、私たちは次の2つの出来事で、有志の会に対する法人側の異常な行為を知ることができました。大学の正常化にとって決して益になることとは思えません。
1.“モグモグ”入口で3人の法人職員が見張る! なぜ?
7月10日の発起人会を行った“モグモグ”の入り口の食堂で、法人管理局職員3人が私たちを見張っていました。自由であるべきキャンパスで、多くの学生の前で、私たちは監視され続けたのです。怒りを覚えるより、プライドを失った職員に思わず同情しました。教員を管理し、権力で言論を封じ込めようとするやり方は、学生達の目にどう映ったでしょうか?
2.“シンポジウム”会場付近で法人職員が監視していた! なぜ?
シンポジウム会場の観光会館向かいの建物の中から、密かに私たちを見張っていた法人管理局職員がいました。これは報道関係者に見つかり、TVで放映されました。法人側の異常さが市民に知られてしまったのです。法人自らが大学のイメージを悪くしているのです。法人職員の1人は「個人的興味」と主張し、「シンポジウムに参加したかったが、拒否されると思い・・・」と弁解しています。シンポジウムの講演など内容が全くわからない別建物の窓から会場入口を監視する行為から判断すると、彼の“参加したかった”という動機とは一体何であるかがわかります。
私たちは、このような悪質な妨害に対し、法人側に正式に抗議をしています。管理局事務職員といえども、大学は誰のためにあるのか。何のための事務局なのかを今一度考え、反省していただきたいと思います。
シンポジウム開催に先立ち、有志の会は法人理事者にシンポジウムへの参加を呼び掛けてまいりましたが、7月22日、佐々木学長、中川理事名で不参加の通知がありました。この通知文書を別掲いたしますが、私共に正常化を“考える”ことさえいけないかのような矛盾した内容であると思います。また全学教授会メンバーに対する拘束的な言葉は、「国会議員は、国会外で自己の信条に基づく一切の政治活動を行うことは自己矛盾である」と言っているのと等しく、誰が考えてもおかしいと思われる一方的な理論を展開しています。この通知文書に中山代表は別紙のような返答を致しました。皆様に通知文書と中山文書を読んでいただきたく思います。
(法人側の通知文書)
北陸大学の正常化−教学側と理事会側との協働関係の構築については、4月以降現在まで、本学の教学側の最高の協議機関である全学教授会において鋭意検討協議が続けられているところです。
今回の「北陸大学の正常化を考えるシンポジウム」の主催者である「北陸大学の正常化を目指す教員有志の会」(以下、有志の会)は、組織の構成員は勿論、本学の組織との関係も不明確であり、かかる団体主催の会合に理事長、学長あるいは理事が出席し説明したり協議することは、自ら大学の組織を無視する行為であるとの批判を免れ得ません。また、もしこの「有志の会」に全学教授会構成員たる教授が属しているならば、自己矛盾的行動といわねばなりません。さらにまた学生の参加を求めていることは絶対に許されるべきことではありません。
以上の理由により、理事長、学長、理事は前述の会合には出席しないので、その旨通知します。
平成9年7月22日
学 長 佐々木 吉男
専務理事 中川 幸一
(中山代表の返書)
学 長 佐々木 吉 男 殿
専務理事 中 川 幸 一 殿
平成9年7月22日付の通知文書を拝見しました。これまで教職員が提出した質問書等にはほとんど回答をなさらない法人当局が、「組織の構成員は勿論、本学の組織との関係も不明確な」団体に対して、丁重な理由付きの通知文を頂き有り難うございました。
われわれの会合に理事長、学長、理事がご出席頂けないのは残念ですが、その結論は致し方ないと存じます。ただ、この文書に指摘されていますいくつかの点については、理解できないところがありますので、書面でご質問申しあげたく存じます。
まず、第1点は、「北陸大学の正常化−教学側と理事会側との協働関係の構築については、4月以降現在まで、本学の教学側の最高の協議機関である全学教授会において鋭意検討協議が続けられているところです」という最初の指摘自体に理解し難いところがいくつかあります。それは、第1に、全学教授会が「教学側」の最高の協議機関であるのであれば、それがなぜ教学側と理事会側との協働関係の構築という作業を行うことができるのかと言う点です。一方の当事者の内部機関が他方当事者との協働関係を構築するなどどいうことはありえないはずだからです。それが、学長も理事だからという理由であれば、学長は全学教授会では理事会側の代弁者だということになりますが、そんな立場の学長にイニシャチブを与えることを全学教授会が了承しているのでしょうか。本当に、全学教授会が協働関係の構築の場であるのでしたら、そこに理事会側の代表と教学側の代表が出席して論議に参加すべきが当然ではないでしょうか。教学側の意思を代弁できない任命学長に協働関係の構築を委任すること自体が無理であって、だからこそ全学教授会では何事もスムーズには進行していないのであります。第2に、全学教授会が4月以降協議してきたことは、構成員からの度重なる要求と提案によって、ようやく学長公選制に関する試案が検討されはじめたという程度のものであって、「鋭意検討協議が続けられている」などとはとてもいえず、学長はその検討案さえ示さないという状況であります。正常化をめぐるその他の多くの問題は、全く議題にさえされずに、棚上げ状況にあります。構成員から質問のあった役員功労年金の廃止の理由と手続と効果についても、理事会側からは現在に至るも何らの回答もない状態が続いているのです。全学教授会の権限、その検討協議のテーマとその範囲、理事会や各学部教授会との関係など、正規の機関と称されるものの関係を明確に説明して頂きたいと思います。
第2点は、「北陸大学の正常化を目指す教職員有志の会」が、組織の構成員は勿論、本学の組織との関係も不明確であるという指摘についてであります。まず、構成員が不明確であるとのことですが、われわれの有志の会には、各学部の教員および事務職員について、趣旨に賛同した人の署名簿が存在し、構成員の名前も所属も明確であります。無責任に有志の会を名乗っているのでありません。現に教員の約6割の署名と相当数の職員の賛同署名も得ていますが、名前が知られることの不利益を考えなければならない状況の下では、当局に公開することはできません。また、教職員の有志の会は全く自主的な会ですから、本学の組織との間に特別な関係がないことは明らかなことで、不明確という評価は的外れだと思います。会の性格や目的については、趣意書をお読み下さればわかるはずです。おわかりにならなければ説明に伺います。われわれの会に理事者や学長が出席することは、自ら大学の組織を無視する行為であるとの批判を免れませんとありますが、それは具体的に何方がそのような批判をなさるのでしょうか。少なくとも教職員の過半数は、そのような批判をせず、むしろ理事者や学長が教職員の意見を聞き、そこに出て説明をするよいチャンスであるとして、そのことを望んでいるのであります。大学の組織は構成員のためにあるのであって、大学の権威のためにあるものとは思われません。むしろ、この種の正常化を考えるシンポジウムは、本来は大学の正規の機関である理事会や全学教授会が主催して行うべきものであって、それができないことを自主的な有志の会が行うというにすぎません。なぜ一緒に考えようと提案されないのでしょうか。
第3点は、有志の会に全学教授会の構成員が属しているのは自己矛盾的な行動であるといわれている点ですが、これは聞き捨てにできない重大な発言です。その理由を明らにして頂かないと、それは特定の個人の名誉にもかかわります。全学教授会と有志の会とは、本来何の関係もないことは、有志の会が全くの自主的な教職員の集まりであることからも明らかであります。これをあえて自己矛盾と捉えられるということは、全学教授会の構成員になれば、一般教職員とは別の行動原則が支配していると考えられているのでしょうが、しかしそのことのために自主的な有志の会への参加が制約されるということはありえないことであります。たとえ理事会側と教学側とを対立的に捉えたとしても、学長や学部長とそれ以外の構成員とを同一視することは不当であるといわざるをえません。
第4点として、学生の参加を求めることが、なぜ絶対に許されないのかという点についても、理由づけが必要です。学生も大学の構成員であるかぎり、大学の正常化について関心を持つことがむしろ当然であって、実際上関心が低いという現状があるだけのことです。その方法については、考慮を要すべき点があることは当然ですが、参加を最初から除外するという発想には疑問があります。むしろ、学生の希望や意見を徴するアンケートなどを本格的に行う必要があり、法人がなさらないのであれば、有志の会が行う用意があることを申し添えます。
急いでしたためましたが、是非以上の質問にお答え下さるようお願いします。
なお、該通知文は、個人に対する私信ではなく、有志の会への公式の文書であり、署名者の学長と専務理事の考え方を表現していますので、この質問状とともに、有志の会を構成する教職員の皆さんに公開し、広くそのご批判に委ねたいと思います。
平成9年7月24日
「北陸大学の正常化を目指す教職員有志の会」代表
法学部教授 中山 研一