北陸大学教職員組合ニュース第 146号(1999.12.16 発行)

 

「私物化」の自己点検・評価から始めよ!

 

@北陸大学の理事会は「異例」

 現在、全学教授会に河島学長・理事は、全学規模の「教育・研究に関する自己点検・評価(検討)委員会」なる案を提出しています。この案は名前から察せられるように、点検対象が「教育・研究」に限られています。これは、本学の問題点が初めから教学側にある、との前提に立つことになります。もちろん教学側にも是正すべき点があることと思われます。しかし、点検は全学規模で行われるべきです。

北陸大学の経営者は、1997年、文部省から二度にわたり行政指導を受けました。
初めの指導を
NHK の定時ニュースは次のように伝えました。

 『北陸大学に異例の行政指導』とテロップを流し「私立学校の公共性を踏まえて理事会や評議員の構成を見直すよう求めた・・・学校法人と企業の関係が不明朗であると指摘・・・」(1997年4月2日、18:10)

 経営者は「公共性を踏まえよ」とは、大学を私物化するな、と言われていることに等しいのです。問題の所在は、経営者にある、と指摘されたのです。ならば、点検・評価は<私物化を止めたのか、続けているのか>から始めるべきです。理事長を初めとする理事は<「異例」の大学という不名誉>を、点検により返上するいい機会です。

 

A理事自身が語る指導内容

組合員、非組合員のみなさん、今一度、文部省の指導内容を思い起こしましょう。

そのための格好の素材は中川専務理事自身の説明です。1997年10月、専務は佐々木学長と共に各学部に指導内容を公表せざるを得ないところに追い込まれました。以下にその6項目にわたる説明を、専務自身の発表そのものを再現し、再度確認しましょう。

 


中川専務の説明


私たちのコメント

@理事会等の運営体制の見直しと法人の管理運営体制の適正化

1)理事会と評議員会の構成が関連企業グループに偏っている

2)役員退職金・退職功労金、役員報酬が理事長一任は宜しくない

3)役員の功労年金は異例




4)体育館建設で虚偽報告


5)法人と関連産業との関係が不明朗である


6)土地問題が不明朗である




三学部長が理事会から、二学部長が評議員会から依然として排除されたまま

以前には存在した役員報酬規定を今も示さない(団交、ニュースで何度も要求)

「4人」もの役員が超高額な報酬を得ていため、文部省は補助金をカットした役員の「終身年金は聞いたことがない」
(文部省学校法人調査課、朝日
97.4.25

一度ならず「虚偽報告二度、異例の行政指導を受ける」(読売97
..3)

経営者のみが「関連している」太陽グループのこと。膨大な負債を抱えているので文部省は危惧を表明

不動産等を関連企業から購入しているが決定過程の不明朗性等が問題。

A理事会等と教学組織の協働関係の確立

速やかに学長等の選任をするよう指導を受けました。にもかかわらず、理事会は佐々木氏を学長に任命(97 .. 31)。 

B内部監査機能の強化

評議員会が監査機関として機能していない
2学部長が排除されている

C諸規定の整備
不動産取得、役員への金銭貸付、役員の報酬、功労金等の規定を整備

現在も経理の公開がなされていないので実態は不明。経営者による「私物化」、「大学は企業ではない」(衛藤瀋吉氏)と言われる元凶の一つ

D事務処理体制の改善、事務処理機能の充実強化
今後虚偽の届け出がないよう、体制の改善を図る

 

Eその他

 

 

理事会はこれほど「異例」の行政指導を受けた事実を公表しながら、今も指導に従ったのかどうかを示していません。団交では「明らかにする必要はない」(松村常務)と回答しています。これを明らかにすること、すなわち、「自己点検」の有無、その結果を「評価」することからすべては始まります。このままでは、私たちは、再度、直接、納税者であり、私学助成の負担者である市民に、市民の良識に直接訴える道を選ばざるを得なくなるでしょう。次頁で、北陸大学の評判を落とした、経営者の<私物化ぶり>を再度確認し、ここからまず改めるための点検に着手するよう声を挙げていきましょう。

 

 

 

(以下は組合ニュース 146号の添付資料から,抜粋して掲載します。)

 

1.「理事長の仕打ちあまりにもひどい」

  衛藤氏 怒りのコメント
  北陸大学長選問題
  (北陸中日新聞 
1997.3.2

 

2.国に虚偽報告2度

  北陸大 体育館建設の資金負担など
  文部省,異例の行政指導
  (読売新聞 
1997.4.3

 

3.虚偽報告2回

  北陸大を指導
  体育館建設で文部省
  (朝日新聞 
1997.4.4

 

4. NHK総合TV (金沢)ニュース 979 278(土)1851

  北陸大学  2度目の行政指導

   学長の選出方法をめぐる大学側と一部教授との対立が長期間にわたって続いている金沢市の北陸大学で、文部省から、大学の適正な管理運営を求めた行政指導を受けたにもかかわらず、十分な改善が行なわれていないことが明らかになり、文部省は、異例の 2度日の行政指導を行ないました。

(1)今年3月 大学の運営体制改善など 5項目の行政指導を受ける
 この問題は、大学側と対立関係にある一部の教授から、大学の管理運営方法や経理に問題がある、という内容の上申書の提出を受けた文部省が、独自の調査を行なった結果、今年3月、大学の理事長など幹部に対して、運営体制の改善など、
5項旨からなる行政指導を行なったものです。

(2)文部省調査:@評議員の大半が学内教職員 A学長選出方法で民事訴訟
 その後の文部省の調べで、学識経験者から選ばれた
14 人の評議員のうち、大半が学内の教職員で占められていること、学長の選出方法をめぐる大学と一部教授グループの間の民事訴訟が対立したままになっているなど、大学の管理運営の体制が、依然として改善されないままになっていることが明らかになりました。

(3)文部省 今月3日 2度目の行政指導
 このため、文部省では、今月
3 日、北陸大学の理事長など幹部を呼んで、これらの問題点を改めて改善するよう、異例の2 度目の行政指導を行ないました。

(4)北陸大学 中川専務理事:「今後の対応理事会で検討していく」
 これについて、北陸大学の中川専務理事は、文部省から行政指導を受けたことは認めたものの、「詳しいことは、コメントできない。今後の対応について、理事会を開くはなどして、検討していきたい。」と語るにとどまり、最初の行政指導から半年が経っても、具体的な改善策には触れませんでした。

 

5.北陸朝日放送( TV979 26日(金)
  ニュース・ワイド・ステーション 
1740
 文部省は、教員側との対立ど、大学側の姿勢に未だ変化が見られないとの見解を示ししました。

 北陸大学では、去年、次期学長人事をめぐって、理事会と教員側が対立、この
3 月には 文部省が理事会のメンバーが理事長の親族や同族会社の役員に偏っているなど、5 項目の改善を求めて、行政指導しました。その後、大学側では、理事会のメンバーを改選するなど、文部省への報告を続けています。しかし、文部省の学校法人調査課では、理事会や、評議員は、刷新されたとはいえず、また教員側との協力関係も全く確立されていない、との見解を示しました。文部省では、今月末を一つの節目と見ており、大学側に改めて報告を求めている模様です。