北陸大学教職員組合ニュース第139号(1999. 7.12発行)

 

なぜ守らないのか:約束「6月末までに経理公開」

 

 法人は、依然として経理を公開していません。この5月、組合三役と法人(松村、浜辺両氏)との折衝で、法人側は、@ 経理の公開はする A 期日は6月末までに"With" 紙上で、と約束し、団交でもそのことを明言しました。組合結成後、私たちは一貫として公開を要求してきました。組合員、非組合員、父母、学生たちのごく当然の主張に対し、逃れられなくなった法人は、ついに公開を約束せざるをえなくなりました。しかし今度は、その約束を破っています。<公にされては困る事実がありすぎるから>、<粉飾決算に手間取っているから>、或いは<もともと公開できない体質>ではないのかと判断せざるをえません。

ここで私たちが今まで主張してきた<経理公開の根拠>を、繰り返し確認してみます。

 

@北陸大学規程集が定めている

 法人が自ら定めた大学運営の根幹である規程の「寄附行為第33条」は、「この法人の財産目録、貸借対照表及び収支決算書は、毎会計年度終了後2ヶ月以内に作成し(略)常にこれを事務所に備えて置かなければならない」と定めています。

 私たちの主張は単純です。「自分で決めたことは自分で守る」こと。これなしに「報恩と感謝」、「愛と心」等は誰も信用しません。いわんや「自分をごまかさずにひとのせいにするな」ならば、率先して、公開をすべきです。自分をごまかさずに。

 

A私立学校法第47条も、同様の文言で財務諸表の公開規程を定めている

 

B行政監査報告書も公開を求める

 高等教育に関する行政監査報告書(総務庁行政監察局)によれば、調査対象37大学の中で、財務諸表を秘密にし、隠している大学は一校も存在しない、とのことです。

 

C大学審議会答申も公表を勧告

 自己点検・自己評価とは、教員を学生や経営者に評価させることではありませせん。大学全体が、評価の対象です。ここには当然、「大学の財務状況に関する事項についても公表を促進する」(1998年6月30日、大学審中間まとめ)ことが含まれています。

 

D「乱脈・お手盛り経営」「大学の私物化」を疑われないために

(1)北陸大学にオーナーはいない

 理事長は理事会において「選任」(北陸大学・寄附行為第5条)された人にすぎません。たとえオーナーであっても、勝手な「私物化」は許されません。ましてや、それ以外の人物には、一円たりとも私物化できる金はないはずです。

 

(2)文部省の行政指導に従え、文部省にも約束した通り、公開を

 文部省に2度も虚偽報告をした法人は、再度行政指導を受けました。「理事会に教員代表として学長しか含まれていない」(北國新聞97年9月27日)のは異常であり、「理事会、評議会の構成メンバーが、法人と関連企業関係者に偏っている」(読売同上)「文部省、経理内容公開を求める」(北中9月30日)と報道されました。法人は、文部省に公開の約束をせざるをえませんでした。

 こんなに世間を騒がせ、大学のイメージを下げた法人は、「行政指導に従わなくても、罰則はありません」( "With" 1997年7月18日)と言い放ちさらに恥の上塗りをしました。

 教職員の声により行政指導の内容を公表せざるを得なくなった法人は、97年10月、各学部にその説明に回りました。マスコミで報道された通り、驚くべき内容でした。「不動産、貸付、報酬等、諸規程を整備せよ」、「役員報酬の理事長一任」を改めよ、「功労年金は異例」、「内部監査機能を強化せよ」、「土地問題の不明朗性」・・・(すべて中川専務の報告)。文部省は「学校法人として公共性を自覚した運営を求めた」(読売97年4月3日)のです。要するに、<大学を私物化するな>と言われているのに等しい事実が判明しました。

 

E法人は団交で、組合に公開を約束、後にさらに「6月以内に" With "紙上にて」と確約

 本来、自分をごまかさなければ「会計年度終了後2ヶ月以内」に公表するべき義務を負っています。にもかかわらず、6月と公言、今度はそれも守っていません。

 

F自主的に公開することこそ、補助金(税金)、学納金で成り立つ私学の責務

 文部省に指導され、「資金の出方が不明瞭である」(北中97年4月3日)とマスコミに指摘されたから公開するのではなく、本来、すすんで国民、父母、学生、教職員の前に予算の使い道を明らかにするべきです。人から言われずに、「人のせいにしない」(" With ",11年 No.7)で公開を!

 

以上、7つの理由から、今、直ちに即刻、教職員、父母、学生に経理を公開するよう主張します。

 

菅野昭夫弁護士講演:組合結成4周年記念講演会

「一人一人は雨粒でも団結すれば嵐になる」

 

 7月2日、教職組の結成4周年記念講演会が開かれました。結成以来、助言をして下さっている菅野弁護士のお話は、大変分かり易く、感銘深きものでした。以下に要約します。

 北陸大学の特徴は@前近代的(非民主的)であること、A劣悪な労働条件、B労基法違反(人権無視、憲法無視)が横行していた。したがって、教職組の役割は大きく、職場の労働環境の改善に大きく貢献してきた。例えば、賃金・賞与のアップ、外国人教員の首切り阻止、一年更改の阻止、職員への未払い残業手当を支給させたこと・・・

 続いて菅野氏は、日本の勤労者の置かれている状況を説明して下さいました。本来、資本の運動や市場原理に任せておいては大変なことになる環境、消費者保護、教育界も規制緩和という名の強者の論理が持ち込まれている。次に、苦難の中で闘っている<管理職ユニオン>の例が紹介されました。この運動の原点は、(1)「指導せず、あなたが自分でやれ」(2) 執行委員が闘うのでなく「団交の主役はあなた」です。 私たちも、私たちをとりまく社会的状況に目を向け、学ぶ必要性が訴えられました。

 最後に、組合の原点として、団結の基本に話しが移りました。労組は、<要求に基づいて団結>すること、その際、忘れてはならない視点は、<一人が万人のために、万人が一人のために>であることが熱く紹介されました。

 

朗読劇

講演の後、執行委員による初めての催しである「朗読劇」が演じられました。組合員の提案を受けて、実現したものです。これからも有意義な企画をお寄せ下さい。