北陸大学教職員組合ニュース第136号(1999. 5. 25発行)

 

公正な人事異動と配置転換の文書化を求めて

 

 4月16日、5月20日に団交が開かれました。概要を報告いたします。

事務職員人事異動

 4月16日に開催された団交で、組合は、萩原氏、尾崎氏に対する「組合員を理由とする差別的配置転換」をやめるよう要求しました。

 3月18日に行われた、事務局の大幅な人事異動は、奇異な印象を与えました。というのは、ここ数年、事務局の人事異動は、8月に行われていたからです。また、仮に4月の新年度の異動だとしても、3月中旬のこんな時期に行われたことは近年なかったからです。以前からの慣例を破ってまでも敢えて行わねばならなかったのは何故でしょうか?この異動がもつ意味は何でしょうか?

 まず、萩原氏の場合、組合に加入し執行委員になった後、ここ2年半のうちに、もう4回も異動させられています。調査役(部長待遇)という職位を剥奪され、肩書きのない職員に降格されました。

 次に、尾崎氏の場合、出向していた太陽アソシエイツでは取締役部長だった人を、肩書きのない職員とし、さらに、執行委員になると、全く不可解な配置転換をしました。

5月20日の団交では、法人側から両名の処遇については5月中に返事をする旨の回答がありました。推移を見守りたいと思います。

 

2 教員の事務職員への配置転換

「改定」就業規則:第2条

理事会の<口頭>説明

組合の主張

事務組織に教育職員を配置することができる

兼務、期限付き、同意

不利益扱いをしない

<口頭>説明事項を文書化せよ

 

(1)これまでの経過

 就業規則が一昨年、突如「改定」されました。その中で、事務組織規定第2条(第3項)が問題です。第一に、就業規則を作成、変更する場合は、働く人々の「意見をきかなければならない」(労働基準法)のですが、一方的に提示されました。組合無視です。

 第二に、この文言(上の表)だけでは、抽象的すぎます。そこで私たちは1997年12月の団交にて、中川専務より、以下のような<口頭での回答>を得ました。

@事務組織への教育職員の配置は、兼務である。教育職員から一般職員への異動を意味しない。

A配置は期限付きとする。

B本人の同意を必要とする。拒否してもいかなる不利益も与えない。

 

(2)組合の主張

<口頭での回答>を文書化せよ:一昨年以来、私たちは文書化を主張しています。その理由は以下の通りです。

1)自らの<言説に責任>をもつ

  近代の労使関係では、団交で合意した内容は、きちんと文書化することがごく当然です。自らの<言説に責任>をもつ姿勢を相互に示すことになります。 特に、北陸大学の場合、文書化されていても遵守されない例があるので、なおさらです。

例えば、「財務諸表の開示」は、法人が、就業規則で自ら定めていますが、従っていません。 【就業規則・寄附行為第33条:「毎年会計年度終了後2月以内に作成し、監事の意見を付して、常にこれを事務所に備えて置かなければならない」】

 

2)次の世代・大学の将来への<架け橋>

団交に出席している理事は、10名中、2〜3名だけです。最高責任者は、すでに50回も越える団交中、一度も出席をしていません。団交軽視、組合無視です。私たち執行委員は毎年新たに選出され、一方、理事も永遠に理事ではありません。当然、世代の交代もあるでしょう。

   文書化は、執行委員、理事双方の世代交代を前に、合意事項を誰の目にも明らかにしておくという作業です。次の世代に、はっきりと「こういう歴史がありました」と伝えることです。これは、北陸大学が、将来もずっと続き、発展して欲しいという私たちの願いでもあります。つぎの世代に誇れる大学作り、その<架け橋>をしたいと思います。

 

(3)組合からの確認事項

こうした教員の配置に関わることは、同時に教学の問題とも関係します。この点で、「学長、学部長の理解をどのように得ているのか」との問いに対しては、回答がありませんでした。

3 「役員退職金規程」の明示化

【法人の説明】

  @北陸大学の毎年の人件費には、法人役員給与も含まれている。

  Aしかし、役員退職金は、団交の対象外、したがって、団交で取りあげを拒否してもよい。

  B「役員退職金規程」が条文化されているのかどうか、明言はしない。

【組合の主張】

1)役員退職金も私たちの労働条件に密接に関係し、したがって、団交テーマである。

「人件費=法人役員給与+教職員給与」とすれば、法人部分が多くなれば、教職員部分は少なくなります。退職金の基本は、1ケ月の給与額×勤務年数(月数)で算出されます。法人役員の1ケ月部分の給与が多くなればなるほど、その退職金は増えます。これに反比例して、私たちの給与は減額され、したがって退職金も減少します。役員退職金の増減は、私たちの給与という労働条件に即、跳ね返ります。よって、団体交渉で議論すべきテーマに相応しいと考えます。

 

2)北陸大学の歴史を直視しよう

1994年(平6)年、就業規則が、私たちの「意見をきか」ずに、「改定」されました。教職員に「賞与を支給する」が「賞与を支給することができる」に。他方、法人役員には、国務大臣、事務次官、県知事をはるかに越える超高額の報酬が支払われていることが発覚しました。そんなに高額の報酬が支払えるほど豊かな大学ならば、と私学助成金が4000万円カットされました。のみならず、法人は「功労者」(実態は理事)に「終身年金」を支給する規程をつくりました。文部省は「聞いたことがない」(学校法人調査課、『朝日』97.4.5)、「かなり異例で問題がある。今後も指導を考えている」(同、北陸放送、97.4.3)とコメントしました。衛藤瀋吉氏がテレビで北陸大学の法人を批判した言葉「大学は企業ではない」を私たちは忘れません。

 

3)「役員退職金規程」を示すべきである。

 このように、文部省の指導対象の中には、北陸大学の「公共性を踏まえた」(NHK、97.4.2)運営がある以上、法人は、疑惑をはらすためにも、まず、規程があるのかどうか、に答え、あるならば堂々と示す必要があります。文部省の行政指導を受けずに、まさに「学内で解決せらるべき」( With 平11 No.6 )問題です。

給与改定について

法人の提示は、@給与改定が、教職員平均0.64%、平均2,600円(ベース・アップ、職能給共になし)A賞与が5.8カ月、人事考課実施、です。

組合結成(1995.7.5)以来、私たちは、「財務諸表を開示して、初めて交渉の第一歩が始まる」と主張してきました。「厳しい経済状況に耐えながら」( With 平 10,No.20 )、一方で、高額の役員給与や、高額の役員退職金が放置されているとしたならば、不合理です。国民の税金である補助金、学納金が、何に、どのように使われているかをきちんと開示することが、健全な財政の基本です。その上で初めて、給与、賞与の交渉が始まります。差別的な人事を行う人たちに、公正な人事考課は期待できません。