北陸大学教職員組合ニュース第
134号(1999. 4. 19発行)
男女ともに働きやすい職場作りを!
私たちは、2月12日の団交で、育児休業中の給与を問題にしました。雇用保険制度の改正があり、雇用保険に加入していれば、育休中の給与の一部が支払われます。法人の担当者は、私たちの指摘により、新しい雇用保険制度を座視できなくなりました。私たちは、法人との話し合いで、育児休業(最長一年)に入る人は、<職安への届けを、法人が一括して行う>と合意しました。
以下に、産休、育休について、北陸大学と他大学の現状を報告します。
産休について
私たちの調査によりますと、調査範囲としては関西地区私立大学27校のうち、産休中の給与は、20校が全額支給しています。(京都学園大、成安造短大、仏教大、光華大、京女大、立命大、龍谷大、平安女短大、等)一方、北陸大学では、かつて支給されていましたが、1992年(平4)より打ち切られてしまいました。就業規則を変更する場合には、少なくとも働く人々の意見を聞くことになっていますが、私たちには知らされませんでした。
現在、私学共済から、休業前給与の8割が支給されます。
旧就業規則 |
現行就業規則 |
支給 |
支給されず |
雇用保険と育児休業について
1)雇用保険の精神
雇用保険は、相互扶助の精神から成り立っています。働く人々の連帯の証です。雇用保険には、「労働者を一人でも雇用している事業所は、必ず加入しなければならず、いわゆる当然(強制)適用事業」です。(石川県商工労働部労政訓練課発行:『はたらく女性のためのガイドブック』より)つまり、「本人の意思にかかわらず、すべて被保険者となります」(同)
2)北陸大学では
1975(昭50)年4月1日 北陸大学開学 |
1995(平7)年7月5日 北陸大学教職員組合結成 |
雇用保険に加入せず |
雇用保険に加入(但し、全員「強制」加入が守られず) |
北陸大学教職員組合が結成される1995(平成7)年7月以前はどうだったでしょうか。
加入は、働く人々の「意思にかかわら」ず、経営側に「強制」されているにもかかわらず、北陸大学では、法人が加入をしていませんでした。そのため、やめさせられた人々は、生活の不安に苦悩しました。私たち教職組は、結成後、全員の加入を主張してきました。現在、職員は全員、教員は本人の意思で加入、という状態が続いています。
3)育児休業
●解雇の制限
育児休業の精神は、母親の体の保護だけではなく、働く人の家庭生活と職業生活の両立を図ることです。家庭と仕事の両立をはかることが当たり前の時代になってきたことを意味します。
労働組合は、その闘いの歴史の中で、「育児休業をとるならクビだ!」、あるいは、育児休業後、職場復帰したらば、「ポスト無し」という事態を次々とやめさせてきました。
●男性も育児休業がとれる
育児休業は、一才未満の子を養育する労働者であれば、男女を問わずその対象になります。経営者は、男性であることを理由に、育児休業を与えないことは許されません。逆に、女性に育児休業を強制することもできません。育児休業のをとるか否かは、労働者の自由な選択に任されています。
●雇用保険 失業給付
育児休業中の補填:基本賃金の最高25%まで支給
雇用保険は、失業給付だけを行うのではありません。1995年4月からは、育児休業中の「不払い賃金」をも補填する制度が加わりました。
京滋地区の大学・短大で、法人が育児休暇中の給与の一部でも保障している一例を紹介します。なお北陸大学は、支給なしです。
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法人の育児休業中の保障額 |
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法人の育児休業中の保障額 |
京産大 聖泉大 平女短 |
基本賃金の20%を支給 基本賃金の20%を支給 基本賃金の50%を支給 |
立命大 京女大 龍谷大 |
基本賃金の25%を支給 基本賃金の20% 本俸+扶養家族手当+住宅 手当の総計×20%を支給 |
育児休業の補填【雇用保険から、最高25%まで支給】
雇用保険に加入していると、北陸大学の場合のように、法人からの支給額がゼロですと、育児休業前の基本給の25%が、雇用保険から支給されます。例えば、上の表の京女大の場合は、5%が雇用保険から支給されることになります。
名誉教授称号問題:地労委再び和解勧告、法人理事会の対応は?
組合ニュース第130号(1998年12月10目発行)でお知らせしましたように、石川県地方労働委員会(地労委)に対して救済申立がされている、元組合員である松井勝彦、籔邦彦両氏に対する名誉教授称号授与拒否問題の第8回審問が1999年2月26日に、本組合元執行委員長土屋隆氏を証人として行われました、証言に対して、法人理事会は、3月31日に北野理事の陳述書を提出して反論してきましたので組合側は、元学長である越浦良三氏の陳述書を提出し北野理事に対する反論をしました、また、土屋隆氏も同趣旨の陳述書を提出しました、これらを踏まえて4月6目に第9回審問が開かれ、開始後まもなく地労委の中島会長は、法人理事会に対して強く和解を求めました。
長時間にわたる地労委と法人理事会代理人との話し合いの結果、法人理事会は5月20日までに、和解に応じるかどうか、また、応じる場合はどのような条件となるかを地労委に伝えることになりました。今回の和解勧告は、本件では3度目であり、今度こそ法人理事会の誠意ある対応が期待されます。もし、法人理事会が和解を拒否すると、すでに提出されている最終陳述書をはじめとする様々な資料と9回にわたる審問の結果にもとづいて、6月、あるいは、7月に地労委から裁定が出されます。