北陸大学教職員組合ニュース第
127号(1998.9.17発行)
名誉教授称号問題
法人理事会は地労委の和解勧告を拒否
組合ニュース124号(7月31日発行)でお知らせしましたように、石川県地方労働委員会(地労委)に救済申立がされている、松井勝彦、籔邦彦両氏(前薬学部教授)に対する名誉教授称号拒否事件については7月21日に、地労委より和解勧告が出されていましたが、9月4日に行われた第7回審問において、法人理事会は、和解を拒否し、あくまで争うことを明らかにしました。
和解勧告に対して、組合側が受諾の旨を表明したのを受けて、地労委は法人理事会側も和解を受け入れるように働きかけました。地労委が和解を働きかけた主な理由は、この救済申立がなされてから法人理事会が突然言い出した「名誉教授の規程については、役職を2つ以上経験していないと名誉教授称号を授与しないという運用をしている」との主張が過剰運用ではないかということです。つまり、北陸大学の名誉教授称号の授与規程には、そのような授与基準は一言も明文化されていないのに、それを「運用」の名目で、明文化されている規程よりも優先させて判断を下すのはおかしいという指摘です。
籔邦彦氏の場合ですと、4つの授与基準のうち2つの授与基準(教授として20年以上、学部設置認可申請書登載教授として10年)を満たしていますが、法人理事会は、「栄誉称号授与」の基準と、「名誉教授称号授与基準」の基準は別であり、後者の基準は対象者を理事会に推薦するための補助的基準にすぎないという奇妙な論理を展開して、籔氏に対する称号の授与を拒否しました。しかし、これは不合理きわまりない論理です。「栄誉称号授与規程」によって名誉教授の称号を授与するための具体的な基準を定めたものこそが「名誉教授称号授与基準」なのですから。にもかかわらず、法人理事会はその具体的な基準を否定し、この基準とは別の基準が「運用上」存在するというのです。それは「学部長もしくは役職を2つ以上経験していること」というものです。これは、少なくともこの事件が地労委に救済申立がなされるまでは、私たちの誰も知らなかった基準です。
もし法人理事会の主張がまかりとおるとするなら、明文化されている規程や基準はその存在意味をまったく失ってしまいます。そして、理事会は、すでに存在し明文化されている規程や基準をすべて無視して、随時必要に応じて、明文化されていない規程・基準ですべて「運用」できることになります。地労委の委員は、理事会の主張に対して、「基準以上の運用をしている」との発言をして、はっきりと法人理事会の規程無視のやり方を批判しました。言いかえれば、現在の北陸大学の運営は「おれが法律だ」という、法治国家にあってはならない運営になっているということなのです。
しかし、そのような地労委の厳しい態度にもかかわらず、法人理事会は和解勧告を拒否しました。運用のまちがいを指摘されても、法人側は「自分たちはそのような運用をしているし、これからもそのやり方でやる」という主張を行い、この開き直りとも言える非常識きわまりない態度は委員の面々をあきれかえらせました。
なお、今回の審問において、地労委が法人側に、以前本学教授であった上田氏,西田氏の名誉教授称号不授与の決定に関する理事会議事録を9月11日までに提出するよう要請しましたが、これも法人理事会は拒否しました。
法人側の和解勧告拒否により、今回で救済申立は正式に結審し、10月30日までに申立人、被申立人双方が最終陳述書を地労委に提出し、その判断を仰ぐことになります。最終回となった第7回審問の地労委の意見からも、救済命令が出されて、法人理事会が敗北するのは明らかですが、それにしても、地労委は、裁判所と同じくいわば法治社会を代表する機関です。組合側の申立を認めたくないからといって、社会に対してまで背を向けるような行為を行うことは、厳につつしまねばなりません。大学は世間の理解と支援がなければ存立できません。
地労委という公の場で、規則を無視してでも自分たちのやり方でやっていくと公言してはばからない現法人理事会の傲岸不遜は、現体制の本質の何たるかを示してあまりあるものがあります。さらに、今回の件は、文部省からの行政指導の重要項目である「運営体制の見直しと適正化」がまったく遵守されていないことを明らかにしただけでなく、現法人理事会はそれを実現する意思もないことを示している点できわめて重要です。
このように現理事会は文部省の指導を無視した運営を続けていくという姿勢をここではっきりと打ち出しています。少子化に伴って大学の危機が叫ばれ、臨時定員問題をはじめとして様々な課題が山積しているときに、あえて文部省に挑むようなことをする現法人理事会に私たちの北陸大学の運営をまかせられるのでしょうか。
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