北陸大学教職員組合ニュース第126号(1998.9.2発行)

正常化に努力しないで、

北陸大学に明日はあるのか?

 

1.大学審議会答申と経理公開

 さる8月6日、本学学長と総務部統括部長から教職員全員に対して、6月30日付で大学審議会が発表した中間まとめ「21世紀の大学像と今後の改革方策について」が配付されました。この「中間まとめ」には、96頁の(大学情報の積極的提供)の項の中に、「大学の財務状況に関する事項についても公表を促進することが必要である。」と記載されています。

 しかしながら、北陸大学にあっては、今もって財務状況がひた隠しにされています。この財務状況を公表するようにという資料を全教職員に配付する一方で、一切の経理公開をしないということはいかなることなのでしょうか。行政指導によって、法人理事会は「平成10年度分(来年3月末)から公表する」と文部省と約束しているようですが、なぜ即座に実施できないのでしょうか。

 組合がこれまでも主張してきたように、私立大学として国民の税金から補助金をもらい、かつ公益法人であることを踏まえるならば、経理はガラス張りにすべきであるのは理の当然です。また、学費納付者である学生自身が署名をしてまで経理公開を求めたのは記憶に新しいところです。なぜできないのでしょうか?

 本学の学費は全国的にも高水準です。これから入学試験の時期に入りますが、受験生は高い授業料で、しかもその使途がはっきりしない大学に大きな魅力を感じるでしょうか?学生が集まらなければ、大学存続の危機に見舞われることは必定です。本学法人が本気で大学経営を考えるなら、この大学審議会の答申に応じて一刻も早く経理状況を公表し、本学に対する信頼を回復し、正常化の第一歩を踏み出すべきでしょう。

 

2.「株式会社KBM」への薬学部工事の発注について

 今年の3月、太陽が丘キャンパスに、金沢中警察署の刑事5人(捜査1課)が出動してくるという事件がありました。

これは、3月4日の夕刻、法学部棟1階の太陽アソシエイツ(株)の事務室(COME ON内)で、株式会社KBMの社長で、当時、太陽アソシエイツ(株)の取締役でもあったM氏が、当時同じく太陽アソシエイツの取締役であったO氏(北陸大学職員・組合員)と顔を合わせた際、いきなりO氏に「お前は理事長の恩を忘れて組合を作った。けしからん。さっさと辞めろ」と脅迫し、暴行事件寸前の行為におよびました。そしてM氏が学生や本学職員のいる1階ロビーにまでO氏を追いかけて執拗につきまとってきたため、O氏は身の危険を感じ、やむなく警察の助けを求めたのでした。警察は、事情聴取の結果、M氏に対して大学キャンパス、特に太陽アソシエイツ内への立ち入りを禁止し、厳重注意をしました。ところが今度はM氏は、O氏の身元保証人に対して、「O氏を辞めさせろ」と迫ったのです。

 その後、太陽アソシエイツの取締役会で、M氏が辞任したことで、この件は一件落着したかのように見えました。

 ところが、実態はそうではありませんでした。というのは、直後の4月の本学の入学式にM氏が数少ない来賓の一人として招待され、本人もなにくわぬ顔で登壇していたのです。

 さらに今回、法人がKBMに対して、薬学部キャンパスの数千万円にも達する防水工事を発注したという事実が明らかになりました。しかも驚くべきことは、このKBMは数年前にも薬学部棟の防水工事を請け負い、その後水漏れ事故を起こし、各階の講義室や研究室を水浸しにしてしまった業者なのです。

 大学内で他人に危害を加えようとして事件を起こし、警察から出入禁止を命ぜられた人物を入学式に招き、さらにその人物が社長をしている会社、しかも事故を起こして問題になった会社に多額の発注をするというのはおよそ普通の常識では考えられないことです。

 組合は、このことを7月29日の団交で取り上げ、法人側の説明を求めました。常務理事は、暴行・脅迫事件について、「太陽アソシエイツ内部の出来事であって、大学とは関係ない」と突っぱねました。しかし、この事件は純然たる大学キャンパス内での出来事であり、その上、被害者のO氏は北陸大学の職員です。さらに太陽アソシエイツの社長、役員は北陸大学の幹部職員が兼務しているのです。

 一方、薬学部の防水工事の件ついては、理事らは、他の業者と相見積もりを取った上で業者をKBMにしたと返答はしましたが、学内での不祥事や過去の実績についてはなんら考慮せずに、KBMに発注していたことが明らかになりました。

 被害者のO氏が警察を呼ぶほど切羽詰まっていたとき、大学内にいた太陽アソシエイツの社長(北陸大学学事部統括部長)が何もしなかったことや、その後のM氏に対する法人の処遇をみると、この暴力事件は突発的とは思われず、法人幹部が関与していた疑いがあります。組合はこのことを強く追及しようとしたのですが、法人理事たちは何ら明確な説明もせず、8時過ぎ、「時間が来たので」ということを理由に団交を打ち切ってしまいました。

 

3.理事会・評議員会の構成の適正化

 以上の2つの事項だけを考えてみても、北陸大学の現法人理事会の大学運営には、常識的な社会通念とはまったく相容れないものがあります。教育・研究機関であるはずの大学の運営が、教育・研究とはまったく無縁の“別の理論”によって行われていると判断せざるをえません。やはり、文部省の行政指導の重要事項である、「理事会・評議員会の構成の適正化」を早く実現しないと駄目なのではないでしょうか。

北陸大学の正常化に、組合員はもっと結集・行動・奮闘しなければならないと思います。