北陸大学教職員組合ニュース第117号(1998.6.3発行)

 

学長任用規程はどうなったのか?

佐々木学長「所信表明」から1年

いったい何が正常化されたのか?

 昨年5月、佐々木学長は、全学の教員114名の辞任勧告を受けたさ中に、「理事会と教学との協働関係こそ重要」と題する文書を発表して(「With」昨年5月21日付け)、学長に任命されて以来はじめて所信を表明した。その中で佐々木氏は、「一日も早く協働関係を築き、現在抱えている諸問題を解決したい。・・・・・ そのために全学教授会を中心に努力をしたい」と述べている。

 それから今日までの1年間の佐々木学長の言動はどうであったのか、そろそろ総括しなければならない。最も深く関係した学長任用規程について、どのような審議をして何を得ようとしたのだろうか。佐々木氏は、正常化に努力するとしながらも、最初は真面目に協議事項として取り上げなかったため、夏ごろまでに全学教授会メンバーからボイコットを受けてしまった。しかし幸いなことに本学法人は9月に再度の行政指導を受けて、教学側と意思疎通を図ることをより強く要請されたため、全学教授会がその任を負うということになった。佐々木氏はこれまでの議事運営のまずさを謝罪し、「学長任用規程の成案を得るべく努力する」と約束した。そして、文部省から示された「具体案骨子」を振りかざして、「この具体案骨子の審議をもって、北陸大学の正常化の第一歩にしたい」とさえ決意を述べたのである(昨年10月中旬、中川理事とともに各学部の教授会で)。

 今度こそ順調にことが運ぶかに見え、教員達は全学教授会に大学の正常化を期待した。しかし、そうはならなかった。教員側、法人理事会側の二つの任用規程案が出揃い、各学部教授会での意見聴取も終わって結論を出すときになり、「法人理事会案」が通りそうもないと判明するや否や、佐々木氏は今度は採決拒否を行って議場を後にしたのである。昨年の12月17日のことである。このことにより全学教授会は混乱し、再び佐々木氏はボイコットされてしまった。更に今年1月になってそのことを知った教員達は佐々木氏の言動に怒りの声を上げ、101名の教員署名を突きつけて、全学教授会の佐々木議長の交代を要求した。

 これもまた幸いなことに、入試判定という大学にとって避けて通れない事態に佐々木氏は救われた。入学試験の合否判定を行う名目で佐々木氏は議事進行を務め、学長任用規程案の採決を行うということで教員達は応じたのである。そして今年2月3日の全学教授会で、「教員案」が圧倒的多数(賛成10、反対2)で議決され、佐々木氏は「教員案」を「全学教授会案とする」と宣し、ここに学長任用規程の結論が出されたのである。会議室の外で見守っていた教員たちから思わず拍手があがったほどであった。

 しかし、これがまったくの茶番であったことが直ちに判明する。2月16日、法人理事会は「With」を発行して、学長は教授会の決定に従う必要はないし、教授会自体に自治は存在しないと論じたのである。結局、佐々木氏は「全学教授会案」を理事会に提出したのかどうか定かではないが、法人側から案は認められない旨の意思表示をされてしまったのである。このことは佐々木氏にとって先刻承知であったのだろう。なぜなら、常識的に考えれば、理事会から強い要請を受けて学長になり、“正規の機関”として理事会が認知した全学教授会の議長を務める佐々木氏は、このことで立場を失ったのだから、即刻北元 理事長に辞表を出すのが道理であろう。しかし、佐々木氏はそれをしなかった。みずからの職責を果たさなかった佐々木氏、全学教授会の意思を無視した法人理事会、この両者の不誠実な行為によって、全学教授会は“正規の機関”ではなくなってしまったのである。

 あれから4ヶ月近く、全学教授会では何の議論もない。そして佐々木氏にこのことを質せば、「現在、法人は理事会が考えた案をもとに、文部省を仲立ちにして教員有志の方と交渉をしているはずだ。全学教授会としては審議する気はなく、法人側からの指示待ちである」との言葉を繰り返すばかりである。1年前の「With」での公約とも受け取れる所信表明は一体何だったのか。

 この1年間、佐々木氏や法人理事会の言動に、教員達は翻弄され続けた。議論はさせるが、結論は別にあるといった法人側のやり方に、そうとは知らずに真面目につき合わされ、期待を持たされ、一喜一憂した教員達こそ、いい面の皮である。

 現在、組合は本学法人北元理事長の退陣を要求しているが、1年たっても「学長問題」ひとつ解決できないことだけでも、十分退陣の理由になるであろう。

 

 

 

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裁判近づく、皆様の積極的な参加を!

 「北陸大学訴訟」 金沢地裁にて 6月5日(金)13:30から

  学長・学部長地位不存在の確認訴訟で、原告団の1人である土屋 隆前教授(組合前執行委員長)が証言台に立つ。現本学法人理事会の独断専行の実態が明かされる。