北陸大学教職員組合ニュース第116号(1998.5.26発行)

 

本質のない平面的な議論!

誰のための“大学”か?

With」No.6 に見る法人の姿勢に疑問

 このところ矢継ぎ早に「With」が発行されている。数年前まで発行されていた「学報」や「大学だより」など、正規機関誌はどうなったのか。わからないことばかりだが、法人理事会が何かをアピールしようとしていることは確かである。

 さて最近の「With」(No.6) では、「大学教育改革の学生認知度調査から」として、専門雑誌を参照したとみられる記事が掲載されている。いつもの如く中味のない非常にわかりにくい文であるが、あえてその意を解釈すると以下のようになろう。

 記事に書かれている「アンケート」では、対象となった学生が、自らが在籍する大学で、所定の項目に該当するような「教育サービス」が行われているかどうかについて、5段階で評価をした。学生が「こうしたサービスがある」と認識した項目として、第1に「1、2年次からの専門分野」が上げられ、総じて「授業の充実」という方向に学生の関心が向けられている、というものである。「With」もこれに同調、追随している。

 至極もっともな結論である。大学大綱化が全国的に実施されたのが平成5年頃であるから、「1、2年次からの専門分野」の議論は、本学でも数年前に終わっている事柄である。それにしても、こうしたアンケートに真面目に答える学生なら、「休講になった」とか「単位が取りやすい」といった、即物的欲求を満たす事象に満足することはないだろう。本学の学生も、こうした前向きの姿勢を示す諸君がより増えることを期待しているが、このアンケートは、記事に書かれているように、最低30人の回答数で結果を出しており、本学の学生諸君がどの程度参加したのか、「With」には、まずこの点について一言の注記もない。また,回答数30人以上の252大学がどのような大学であるかも不明である。さらに「With」は、高得点?の項目の大学別ランキングでベスト50入りしたものについて1頁を使って紹介しているが、よく読むとベスト50入りの13項目のうち,6項目はマイナス点がつけられているものである。よって、ベスト50入りしたというだけで、学生がマイナス評価したものまで得々として記事にしている姿勢がなんとも理解できない。これは、学生が期待する教育の本質を棚上げにして、「他大学よりはましだ」というだけの薄っぺらな議論である。我田引水以前の話しである。

 そしてこの「With」にはもっと大きな欠陥がある。本学の学生がもっと否定的に評価した項目、あるいは、高い認知度を示したが本学にあてはまらな項目について、全く言及されていないのである。本学の学生が、図書館の蔵書数に満足しているか、自習室等施設面で満足しているか、情報機器などの環境整備に満足しているか。答えは「否」である。薬学部の食堂施設の劣悪さに薬学生はみんな怒っている。法人は、やれ予算削減だ、やれ少子化だと逃げ口上だけは沢山持ち合わせているようだが、これまで指摘されてきた「学生の不満」に対して、解決への努力を見せたことがあったか。これら物的な不備は、一日で解消することはできないにしても、今日まで多年にわたって放置しなければならないほど解決困難な問題であったのだろうか。

 今、本学の学生諸君は、ようやく声をあげようとしている。先ごろ「学生有志の会」が求めた事柄には、学生諸君の身近な、そして切実な問題が列挙されていた。こうした声をそらせるために、法人はこの「With」を発行したと考えるのがもっとも妥当なところであろう。

 ところで、法人側の努力不足を棚に上げ、教員の「評価」にだけスポットを当てようとした試みが過去に一度だけあった。例の、学生による授業評価アンケートである。何の議論もなくいきなり実施されたあの得体の知れない、どこで誰が管理しているのかさえあいまいなアンケートが、なぜ1年限りで行われなくなったか。理事の方々は、あのでたらめなやり方をとくと思い出していただきたい。

 では、法人理事会の今やるべきことは何なのか。このようなアンケート記事も正しく評価できないまま、「With」を発行することではないはずだ。自らの大学運営の責任や怠慢

については一切触れず、教職員の声を阻害し、学生の声を無視することが答えであるなら

ば、もはや本学に明日はないであろう。

 

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2つの審理近づく、皆様の積極的な参加を!

 

1.「名誉教授問題」 地労委にて 5月29日(金)13:30から

 

   本組合が訴えた薬学部前教授2名(松井勝彦氏、薮邦彦氏)の名誉教授称号授与拒

  否にかかわる審理である。今回は、法人側の高倉 健理事が証言する。

 

2.「北陸大学訴訟」 金沢地裁にて 6月5日(金)13:00から

 

   学長・学部長地位不存在の訴訟で、原告団の1人である土屋 隆前教授(前執行委

  員長)が証言台に立つ。本学法人理事会の独断専行の歴史、実態が証言される。