北陸大学教職員組合ニュース第111号(1998.3.18発行)

 

「行政指導」から

無視しつづける現理事会が北陸大学の危機を招く

「理事長退陣」は、本学再生のキーポイント

 

 昨年の平成9年3月18日、文部省は本学北元理事長に対し、異例の厳しい「行政指導」を行った。あれからちょうど1年、そして昨年9月に再度の行政指導を受けてからも6ヶ月を経過した。法人理事会は“基本的に行政指導に従います”と文部省に約束したにもかかわらず、北陸大学の体制・運営を真摯に改善してきた様子はまったく見えない。それは、文部省から指導のはじめに「基本認識」として指摘された次の3項目を法人理事会がどのように取り扱ったのかを省みれば、一目瞭然である。

「基本認識」(1) 理事会と教学との意志疎通が円滑でない。

      (2) 理事会が大学運営を独断的に処理している。

      (3) 理事会および評議員会の構成に問題があり、適正に機能していない。

 これに基づいて異例の多項目について指導されたのであるが、各項目に対する法人理事会の対応を表(次頁)にまとめてみた。あらためて理事会の無責任さに怒りを禁じ得ない。

 

「理事長退陣」は必須事項になりつつある

 行政指導にしたがい迅速に体質改善することが、本学の教育研究体制を活性化し、大学のイメ−ジアップにつながることがはっきりしているのに、法人理事会がこれをやらない理由は何なのか、我々には理解できない。危機的状況に対する意識、管理能力が欠如しているとしか思えない。「北元理事長の退陣」は、北陸大学立て直しの最大のポイント である。これは、もはや否定できない“学内世論”になりつつある。

 

中央からも大きな関心がよせられている

 教職員組合のインタ−ネット・ホームページにアクセスしてくる政府関係者や政党関係者がいることに我々は驚いている。衛藤氏問題をはじめ、内実が報道されて有名(?)になった北陸大学が、文部省の指導下にあって1年が経過するも、依然として混乱している 状況は、誰が見ても異常である。“正常な教育が遂行されているのか、国税が正しく使われているのか、人権侵害や差別が行われていないか”と中央(文教関係者?)が関心を示しはじめたのは当然であろう。もはや学内問題ではなく、社会問題化している。

文部省の行政指導と法人理事会の対応

 

 

指 導 事 項

法人理事会の対応(改善など)

理事会等の運営体制の見直しと法人の管

理運営の適正化

 

  1. 理事会と評議員会の構成員が特定のグループに
    偏っている。また、学外の公正に発言できる理事
    や評議員、特に学外の学識経験者がいない。

(2) 役員退職金、役員退職功労金、役員報酬などが
  理事長一任になっていて、これらを理事長が専決
  できるのは宜しくない。

(3) 役員功労年金制度などは異例である。

(4) 法学部開設時(平成4年)の施設、設備に関し
  て文部省に虚偽の届出を行い、平成8年5月にも
  また、虚偽の変更届出を行ったこと。

(5) 学校法人が全額出資している会社が、大学に無
  関係な企業グループに出資、資本参加し、役員を
  兼務させる等、関連企業との関係が不明朗であ
  る。

(6) 大学運営と直接関係ない不動産などを関連企業
  から購入する等しているが、その決定過程が理事
  会決議によったり、あるいは理事長専決によった
  りで、不統一であり、また、不明朗である。

(1) 3月の指導後、5月に理事会・評議
  員会の一部を変更したが、9月に再
  度指導された。指導を遵守していな
  い。

(2) 理事会関連の諸規程を公開しないの
  で、改善したかどうかは不明であ
  る。

(3) 「役員功労年金制度」は廃止した。

(4) 虚偽報告は、昨年10月に教職員に一
  部報告した。しかし、文部省への「顛
  末書」の内容は秘密にしている。理
  事長の辞任並びに関係者の処分はな
  く、教職員・学生父母への釈明や謝
  罪もない。

(5),(6) 改善したか不明である。

  学事部の幹部が、営利企業「太陽ア
  ソシエイツ」の役員を兼務し、本来
  の大学業務をおろそかにしていると
  の指摘がある。

理事会等と教学組織の協働関係の確立

 学長選任等につき、理事会と教学とが適切な意思疎
 通を図りつつ、速やかに次期学長等の選任を行うべ
 きである。

全学教授会が「学長任用規程(案)」を議決(平成10年2月3日)したが、理事会側はこれを認めず、教学の意思を無視しようとしている。協働関係を築く意志がない。

内部監査機能の強化

 監事に係る適切な体制を整備すること。顧問弁護士
 が監事を兼任すること等も問題である。また、評議
 員会が監査機関として機能していない。

監事は交代。新監事は行政指導下において自己の役割を理解しているか疑問。評議員会も同様で、法人の御用機関である。監事・評議員会の構成は、再度指導事項。

諸規程の整備

 不動産取得に関する規程、役員への金銭貸付に関す
 る規程、役員報酬や役員功労金などに関する規程等
 を整備すること。

法人側の説明はない。組合は理事会関連の諸規程の開示を要求しているが、理事会は未だに公開しない。よって、どの程度整備したのかわからない。

事務処理体制の改善、事務処理機能の充実強化

 今後虚偽の届出が生じること等のないように体制の
 改善を図ること。

「管理局」の名称を改め、事務組織を並列の「管理本部」と「学事本部」に区分した。しかし、幹部職員に法人業務と大学業務の明確な区分意識はなく、実態は以前に同じ。すべて理事長の“指示まち”である。

 

経理内容の公開

(昨年9月の再度の行政指導で追加された項目)

平成10年度決算から公開すると約束。現在の経理は、なぜか秘密である。

 

 

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