北陸大学教職員組合ニュース第89号(1997.8.29発行)

 

  北元喜雄前理事長の

 

     法外に高額な退職金を返して貰おう

 

        約2億円の返還要求書を理事長に提出

 

 北元喜雄前理事長へ約3億円という桁外れに高額な退職金がどのようにして支払えるようになったのかの「からくり」については、組合ニュース54号(本年2月17日発行)で解説しましたが、再度概略を説明します。

 昭和54年に制定された従来の「学校法人北陸大学役員退職金規程」で計算すると、在職20年で退任時の月給230万円の前理事長の場合は、退職金は約9000万円です。

 ところが、平成5年12月の第100回理事会で、役員の退職金を大幅に増額できるようにその「役員退職金規程」を改訂しました。それで計算すると約1億7000万円に倍増します。さらに退職功労金(額は理事長が決定する)の付加を可能にして、約3億円支給できるようにしたのです。結局、従来の3倍以上になった訳です。

 そればかりでなく、上記規程の改訂と同時に「学校法人北陸大学功労年金贈呈規程」(年金の額は理事長が決定する)なるものを新たに制定し、北元前理事長に適用して、おそらく月額230万円以上を終身年金として支給していたものと推定されます。

 

 しかし、今回の文部省からの厳しい行政指導により、「新設の功労年金規程」は廃止せざるを得なくなりました。そこで、北元喜雄氏には、従来の「創設功労年金贈呈規程」(昭和54年制定:退任時の給与を終身支給する)の適用に戻して、月額230万円(推定)の年金を支給することにしたとのことです。

 文部省の行政指導は、異例な「新設の功労年金規程」の廃止のみならず、同時に改訂した「役員退職金規程」の不合理をも指摘していると解釈すべきで、当然これももとの規程に戻すべきです。

 そうすれば、冒頭に従来の規程で計算した約9000万円が北元喜雄氏の退職金ということになります。

 

 したがって、約3億円との差額約2億円は返還すべきです。そのために右の要求書を北元喜朗現理事長に提出した次第です。

 このうな計算に基づくまでもなく、大学からの退職金3億円と年額3000万円近くの終身年金は社会常識からも法外に高額で異例です。(ちなみに、20年勤続の教授の場合は、退職金は1600万円程度で、もちろん大学からの年金などありません。)

 本学の教育環境の改善と大学の私物化を防ぐためにも必ず返還させましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校法人北陸大学 平成9年8月21日

理事長 北元喜朗 殿 北陸大学教職員組合

執行委員長 土屋 隆

要 求 書

 

 我々の調査によると、貴殿の父君にして本学前理事長の北元喜雄氏に対して支払われた退職金は、約三億円の高額にのぼるはずである。我々は、北元前理事長ならびに貴殿に対し、当該金額から、貴殿らが本学の従来の役員退職金規程を改定して増額した分の即時返還を要求する。

 貴殿ら北陸大学理事会は、平成5年12月24日、第100回理事会において、「常勤役員退職金規程」を改訂し、同時に「役員功労年金贈呈規程」を策定した。これら規程の制定改訂により、役員退職金の大幅な増額ばかりでなく、従来は不可能であった役員退職功労金と終身功労年金の二重支給が可能となり、更に、退職功労金の大幅な上積みを行ったことにより、上記のごとき非常識極まりない高額の退職金支給が実現したのである。

 文部省私学部局によると、私立大学理事長の退職金が1億円を越えた例はわずかに1件を数えるのみで、しかも、特殊な事情を文部省に申告し指導を経た上での支給であったとのことである。しかるに本学の場合は、金額は前代未聞の非常識なものであるとともに、国庫からの助成金を受けながら、監督官庁には何ら申告もしていないものと思われる。

しかも最も問題なのは、基準を暖味にして理事長である貴殿一人の専権で給与、退職金や功労金などの金額を増減できるよう改訂したことである。それにより、平成5年に学生納付金を値上げしながら、経営困難を理由に一般の教職員の昇給を数年間に亘って極度に低<押さえた。そのために、我々の待遇は全国私立大学の平均をはるかに下回るものとなり、それに加えて退職金を減じるように一般職員の退職手当支給規程をも改悪した。その一方で役員等に対してだけは、待遇を全国でもトップクラスにしている。北元前理事長には、約三億円の退職金のほかに、他に例のない「月額二百数十万円」の年金が終身支給されている。これでは言語道断の「大学私物化」と言われても致し方あるまい。

本年に至り、文部省の行政指導を受けた貴殿は、確かに「役員功労年金贈呈規程」は廃止した。しかし貴殿に対してなされた行政指導には、貴殿の一存で高額退職金を決定できる制度が常識に反する、という一項が存していたはずである。当該指導は、貴殿と前理事長によって自らの利益のために規程を改訂したことが、確認されたことを意味する。

上記行政指導は、第100回理事会で制定改訂された規程の不合理を指摘したものである。よって当該理事会により不法に改訂された功労金規程を基準として算出された上記退職金のうち、「二億円余」は不当利得であり、大学の基本財産に対する悪質な侵害行為といわざるをえない。直ちに不正な金額を大学に返還し、改訂された規程を旧に復し、事実関係を教職員、父兄、卒業生に公開し、謝罪することを厳重に要求する。

 この要求に対する回答は、文書で8月末日までに求めるものである。

                                            以上

 なお、この要求書は、組合ニュースに掲載し公開することを申し添える。

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