北陸大学教職員組合ニュース第88号(1997.8.28発行)

 

学生監禁事件の事実関係を明らかにして謝罪せよ

北元喜朗理事長に謝罪要求書提出

 教職員組合は、8月22日に、北元喜朗理事長に対し、1994年11月に法人管理局がおこした外国語学部学生の「逮捕・監禁事件」について事実関係を明らかにし、当該学生に対して謝罪するよう、要求書を提出しました。事件は、学生の教育環境に深くかかわる重大なものであり、組合としても看過しえないものです。北陸大学の真の正常化を実現するために、この事件は徹底して解明されなければなりません。

 現在、組合が把握している範囲では、問題の学生は、北元親子の理事長職の世襲や大学運営のあり方を批判するビラを学内で配付しているところを管理局職員に発見され、その後、事務局内の一室に8時30分から午後4時まで監禁状態にされ、尋問を受けました。その間、学生は授業に出ることも拒否され、トイレにまで職員が同行しました。

 これは逮捕・監禁を禁じる刑法第220条に触れる行為と考えられます。

 ことはそれだけにとどまらず、さらに数日後、学生とその父親が法学部棟6階の理事長室に呼び出され、そこで北元理事長みずから、ビラに書いてあった内容の情報源を執拗に学生に問いただしました。そのとき理事長は、「放学」ということばを用いて、言わなければ退学させる旨示唆したことが判明しています。

 学生の入学・退学は、学校教育法施行規則第67条にあるように、教授会・学長にその権限が属しています。法人には何ら権限はありません。北元理事長の言動は、明らかな越権行為であり、違法行為です。

 この事件は、外国語学部教授会・全学教授会のいずれにおいても教員が取り上げようとしましたが、学部長・学長はきわめて消極的態度を取り、学生が被害者である重大な人権侵害問題であるにもかかわらず、一般の教員には事実関係の報告がまったくなされませんでした。しかし、某雑誌記事でこの事件が明るみに出て、管理局職員・理事長一体となった違法行為は、広く一般市民の知るところとなり、北陸大学の名誉は著しく傷つけられました。

 教員側はこれまで、多数の署名をつけた上で、北元理事長に対して、何度も事実関係の説明を要求しました。また、組合も質問をしています。しかし、「決着はついている」という回答が一度あったのみで、実際にどんなことが起きたのかということの詳細については、いまだ北元理事長からの説明は皆無です。

私たちの知りえているかぎりにおいては、この事件に関して法人管理局および北元喜朗理事長が学生に対して行ったことは法をも恐れぬ犯罪行為です。もし、そうでないというのなら、理事長はただちに事件の全容をすべての教職員と学生・父母に対して明らかにし、その行為の是非を問うべきでしょう。

 

 

学校法人北陸大学    平成9年8月21日

理事長 北元喜朗 殿 北陸大学教職員組合

執行委員長 土屋 隆

 

要 求 書

 

学生監禁事件について

 1994年11月17日、当時外国語学部に在籍していた男子学生(今春卒業)が、事務職員によって身柄を拘束され、以後7時間半余にわたって自由を奪われるという、いわゆる「学生監禁事件」が発生した。以後、同月24日まで、当該学生に対する事務職員らによる執拗な取り調べが断続的に行われた。中でも11月20日には、貴殿自身が、「私は君に怒っている。殴りたいくらいだ」、「誰から情報を得たのか正直に私に話したならば放学にはしない」などと、何らかの「供述」を強要した事実が判明している。

 当該学生の行ったことは、貴殿の理事長就任を揶揄するビラを学内に配布したというものである。貴殿に、観念的に学内全般にわたる管理権があることに異論はないが、少なくとも学生に関する懲戒権は教学にこそ存するものである。学則や教授会規程を持ち出すまでもなく、貴殿や事務職員には学生の懲戒権はない。したがって、「放学」という言葉を用いて何らかの「供述」を求める資格は貴殿にはないはずである。貴殿の行為は、「放学」という言葉をもって学生を畏怖せしめ、義務無き「始末書」や「供述」を強要したものである。これは、重大な人権侵害であり、逮捕監禁として法的非難を免れないものである。

 しかるに貴殿らは、教員各位からの抗議をことごとく無視し、再三にわたる事実確認の求めにも、「監禁」そのものがなかったと強弁し、犯罪行為の重大性すら認識しようとはしない。それどころか、学生のみならず一般の教職員に対しても監視体制を異常なまでに強化し続けている。かかる貴殿の姿勢は、学生の間にも事務職員はもとより大学全体への不信感を醸成せしめ、社会における本学の評価を低下せしめ、正常な教育環境、即ち、我々教職員の職場環境を破壊する元凶となっている。

 よって我々は、当該学生の卒業を機に貴殿に対し、当該学生に対する加害行為を認め、同人に率直に謝罪するとともに、その事実を教職員、学生すべてに伝え、もって「急務となっている北陸大学の正常化」の第一歩とすることを強く要求する。

 この要求に対する回答は8月末日までに文書で求めるものである。

                                   以上

なお、この要求書は、組合ニュースに掲載し公開することを申し添える。

 

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