北陸大学教職員組合ニュース第85号(1997.8.25発行)
「衞藤氏問題」の責任はどう取るのか
北元喜朗理事長は公開質問書を無視して回答せず
教職員組合は、これまで何度も団体交渉の席で、法人側に対し、北陸大学の学長に予定された衞藤瀋吉氏(前亜細亜大学学長)の選任決定を、理事会が直前になって突然に撤回した経緯について説明するよう求めてきました。これについては当事者である衞藤氏自身すら納得がいかないとして、法的手続きに訴える可能性を示唆していました。しかし、団交での法人側の回答は「With」(2月27日)に掲載された「衞藤氏に来てもらう状況にない」という「説明」の域を一歩も出るものではありませんでした。
衞藤氏の説明によれば、衞藤氏の学長選任は特に北元理事長の強い要請にもとづくものであったとのことです。この件で最初に衞藤氏と接触したのも理事長です。そして、選任撤回を衞藤氏に伝えたのも理事長です。北元理事長は、最初から最後までこの選任・撤回劇に中心人物として深くかかわっていたことになります。しかも、法人の最高責任者として、この件に関与していたのですから、北元理事長は、北陸大学の全教職員に対して、自らのことばで事情説明をする義務があります。そこで今回、北元理事長に右のような質問書を提出した次第です。8月1日のことです。しかるに、8月20日の回答期限日までに北元理事長からは何の連絡もありませんでした。完全な無視です。これは法人の最高責任者として許されない行為です。
8割の教員の意思を無視し、一方的に次期学長を選任し、半年後には一方的にその決定を撤回して当事者から損害賠償を請求される、という今回の一連の出来事は、北陸大学の権威と社会的信頼を著しく傷つけました。そして今、衞藤氏との間に金銭による和解が成立したとの風評があります。その額は数千万円とも言われています。その和解金はどこから支払われたのでしょうか。出処についても明らかにされねばなりません。
就業規則第93条には、懲戒解雇にあたる事由として、「学校法人北陸大学の権威を著しく失墜させた場合」という旨の条項があります。もしも、今回の衞藤氏の選任決定から撤回までの一連の過程が、衞藤氏の主張や報道のとおりに、すべて北元理事長の独断で行われていたのなら、北陸大学の権威と名誉をかくもおとしめた原因は理事長にあるので、当然、北元喜朗氏は責任を取って理事長を辞めるべきです。
北陸大学の名誉と信頼にかかわる重要問題に対して、北元理事長がこれ以上沈黙を続けるなら、北元理事長はその職にふさわしいだけの職務遂行能力がないとみなさざるをえません。 北元喜朗理事長、組合の質問にご自分のことばで答えてください。
学校法人北陸大学 平成9年8月1日
理事長 北元喜朗 殿 北陸大学教職員組合
執行委員長 土屋 隆
公開質問書
貴殿は、学長は教員の意向を汲んで決めるようにとの大多数の教員の要望を全く無視して、衛籐瀋吉氏(前亜細亜大学学長)を本学の次期学長(本年4月からの)として一方的に選任し、昨年9月9日に抜き打ち的に公表しました。それを貴殿は、約半年後のそれも年度末近くの本年2月26日にもなってから突如として理由も明らかにせずに撤回しました。この撤回劇については、多くの新聞、雑誌、テレビなどで全国的に、しかもその多くは揶揄的に報道され、北陸大学のイメージを極度に悪くしたばかりでなく、いまだに多く
の疑惑と憶測が飛び交つています。つぎの質問に対して、この件の当事者であり責任者でもある北元喜朗理事長自身の誠意ある文書での回答を要求します。
1.衛籐氏撤回に至った経緯と理由を伺いたい。
法人幹部や学長などの撤回理由の説明はあいまいで、その都度異なり、衛籐氏本人も
「納得できる経緯説明がない」と明言している。責任者としての明確な納得できる撤
回理由の説明を要求する。
2.衛籐氏との間で和解をしたと聞いているが、その事実確認と和解金の額および出所を伺いたい。
貴殿達理事者側の不誠実な対応で渦中に巻き込まれた衛籐氏怒りは察するに余りある。貴殿は何らかの方法で衛籐氏に償うべきであり、抗議に対しては誠意をもって謝罪し和解すべきである。しかし、これに関しては多くの憶測が乱れ飛んでいる。正確な情報に基づく信頼関係を築かなければ、衛籐氏にも再度迷惑が及ぶことになるのを危惧する。
3.本件の責任をどう取るのかを伺いたい。
今回の学長問題で、貴殿が一方的に学長を決めて勝手にそれを撤回した結果がもたら した、本学の社会的信用の失墜と、4千名の学生や7千名に及ぶ卒業生に与えた苦痛 に対する責任をどうとるのか。衛籐氏や報道関係者も「理事長はお辞めになるべき」 と言っているように、常識的には貴殿の責任は重大である。これに関する見解を問う。 以上
なお、本質問に対する回答は、8月20日までにお願い致します。
MENU