北陸大学教職員組合ニュース第84号(1997.8.21発行)

 

 

文部省に対して虚偽報告した

 

 

「有限会社 フォワード」の実体を問う

 

 

松村幸男常務理事へ質問書を提出

 

 太陽が丘キャンパスの体育施設は、スポーツセンター「サウンドトラック」と呼ばれ、学生便覧には、プールやトレーニングルームなどのある一階部分だけが示されています。ところが、実は二階部分が存在し、そこには豪華なサウナや休養室があり、その使用には特別料金が必要で、しかも学生は入れないとのことです。

 

 この体育施設は、法学部新設許可の条件として平成5年に大学が建設したものですが、二階部分の存在を秘匿して一階部分のみを文部省に届け出ました。そればかりでなく、問題の二階部分は、「フォワード」なる営利事業を行うことを目的とした有限会社の所有にし、その管理・運営を行っていることにしていたのです。その「フォワード」なる会社は、平成5年4月に資本金300万円で設立され、本学校法人理事の松村幸男氏が資本金全額を出資して代表取締役に就任しています。しかし、専任の従業員もおらず、形式的には大学とは直接の関係はない形になっていますが、実質はおそらく法人が営利を目的として設立したペーパーカンパニーと思われます。

 教職員組合では、一昨年からこの「フォワード」なる会社と「サウンドトラック」の二階部分について、団交などで厳しく追及してきました。そのためか、昨年6月に突然その会社を解散してしまいました。

 

 文部省への虚偽報告は、「二階部分」の存在を秘匿して「サウンドトラック」を届けたことと、「フォワード」なる会社の存在を隠していたものです。特に二階部分については、文部省の係官の実地調査の際には、昇り口などにシートを張って巧みにその存在を隠蔽したとのことです。

 「国への虚偽報告」は、新聞紙上でも大きく報道され、本学の名誉と信用を著しく損ねる不祥事です。その虚偽報告の主要な部分が「有限会社フォワード」であり、今回の文部省からの行政指導に従って北陸大学を正常化し、われわれの教育環境を改善するためには、その会社の実体と虚偽報告の責任の所在を明確にする必要があります。

 

 そこで、まず「有限会社フォワード」について、その代表取締役であった松村幸男氏に下記の質問書を提出しました。

 

* 8月20日を過ぎても未だなんらの回答もありません。引き続き強く回答を求めます。

 

 

 

学校法人北陸大学    平成9年8月1日

常務理事 松村幸男殿  北陸大学教職員組合

 執行委員長 土屋 隆

公開質問状

          

本年3月、文部省高等教育局私学部局より発せられた本学への行政指導は、「理事会と教学の意思疎通が円滑ではない」こと、「理事会が大学運営を独断的に処理している」こと等を基本認識とし、極めて多岐にわたるものであつたと聞<。かかる指導が行われたという事実は、貴殿らが専らにする本学運営に重大な疑念と危惧を抱かせるに十分なものである。

 特に、「文部省に対する虚偽報告」として指摘され、新聞紙上等報道関係でも大きく取り扱われた「サウンドトラック」をめぐる問題は、何人の眼からも正常とは言い難い。我々は、この点に関し、貴殿の果たしたであろう役割の重要さに鑑み、貴殿自ら、以下の質問に関連する諸問題点について真実を公表し、本学の正常化の緒に就かれんことを求めるものである。

  1. サウンドトラック建設に際し、貴殿は平成5年に「有限会社フォワード」なる企業を設立し、その代表取締役に就任したとされるが、有限会社フォワードを、どのような事業を営むことが目的で設立したのか、また、北陸大学との関係を伺いたい。
  2. 「有限会社フォワード」の設立にあたり、資本金300万円全額を、貴殿一人が引き受けているが、設立直前に私的目的で大学から同額の貸付を受けたと聞いている。事 実確認と両者の関連を伺いたい。
  3. 登記簿によると、「有限会社フォワード」の本社所在地は、金沢市石引2丁目13番  3号となっているが、同地に、かかる企業が存在したことを示す何らの証拠も見いだ  せない。そもそも、実体のない企業の設立のために登記をなすことは、公正証書原本  等不実記載罪(刑法第157条)に該当する犯罪である。有限会社フォワードなる企  業に実体があったのかの事実関係と、実体のない場合は犯罪であることを貴殿は認識  していたのかを、伺いたい。

4.「有限会社フォワード」は、「サウンドトラックをめぐる虚偽報告」の中核をなす存在であり、本学の名誉を著しく損ねる重要な要因である。登記の時点で、犯罪性の認識を有していたか否かにかかわらず、その代表取締役であつた貴殿の責任は重大である。貴殿は、この件に関して、学校法人から何らかの処分を受けたのか伺いたい。

5.今回の2度にわたる「文部省への虚偽報告」に対する事情と責任の所在についての貴殿自身の見解を伺いたい。

  なお、本質問に対する回答は平成9年8月19日までに文書でお願い致します。以上

 

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