北陸大学教職員組合ニュース第82号(1997.7.27発行)

 

 

第32回団交で法人側

 

「虚偽報告」の事実を認める!

 

理事会の責任問題に発展か?

 

 第32回団交(7月17日)の席上、中川理事は、文部省への「虚偽報告」の内容の一端を明らかにしました。法学部設置申請時に、スポーツセンターの2階部分の建築費が規定限度額を越えたので、やむなく別会社を設立して支払った。大学施設としてぜひ必要と考え、文部省を騙したというものです。これがもし本当なら重大な不祥事です。

 しかも、団交での説明にも虚偽があります。大体、豪華なサウナ設備などがある2階部分は、学生便覧(1997)にも記載していないもので、これが学生のためだったという理由にすることができるでしょうか。反省どころか、いまだに我々まで騙そうとする理事者の態度に呆れるとともに、美しくあるべきキャンパスが、このような理事者によって汚されていることに怒りすら覚えます。

 教職員組合は、今回の不祥事の解明と、北元理事長を含め理事・監事らの責任を今後、徹底的に追及してゆきます。

 団交の要旨ならびに概要は以下の通りです。

 

<要旨>

1.事前に組合側が提出していた質問書「理事長の団交出席拒否の理由」及び「財務諸  表開示拒否の理由」に対する文書による回答を法人側は拒否した。

2.「虚偽報告」について、法人はその不正の事実を認めたが、責任については無言の

  ままであった。

3.給与交渉は、前回提示案より前進せず、物別れに終わった。

4.法人側は、賞与の人事考課の協議を一方的に進める提案をしたが、組合側は、前回  取り交わした「確認書」の内容を尊重すべきとして、提案を拒否した。

     

1.質問書に対する文書による回答

 これまで、組合側が幾度も要求していた「理事長の団交出席拒否の理由」及び「財務諸表開示拒否の理由」を法人側は、回答をはっきりさせず、まじめに対応してこなかったので、今回文書による回答を要求した。

 

法人:文書による回答はできない。

組合:正式に文書で質問していることに回答できないのはおかしい。なぜだ。

法人:回答を文書にするかどうかは、こちらが決めることだ。

組合:労使交渉の基本を無視している。これからも同じ要求を行う。財務諸表の公開拒否に

   ついて改めて答えてほしい。

法人:双方に信頼関係が無いから、開示できない。

組合:信頼関係の有無にかわらず、法人なら開示できなければおかしい。公開できない内容

   だからではないか。 団交になぜ理事長が出席しないのか、代表責任者でしょう。

法人:団交に誰を出席させるかは、こちらが決めることだ。

 

2.「虚偽報告」

 法人理事会が文部省に2度も虚偽報告をしたとされるマスコミ報道があったが、それ

が事実なら重大な不祥事である。これまで法人から学内者に何の説明も、釈明もしていない。

 

組合:内容を説明していただきたい。また不祥事の責任はどなたがお取りになるのか、

中川:じゃ、説明しましょう。

   法学部新設にあたって、設置申請のための施設として建築したスポーツセンターが、   文部省の建設費限度額を超えたので、2階部分はないとうそをついて文部省を騙しま

   した。これが1回目の虚偽です。

   ところが、誰か投書があったんですわ、文部省に。2階部分が作られていると。

   そこで、大学として、文部省に2階部分を建設しましたと届け出ました。そのとき、   この建設費に関してフォワードという個人会社をそこに設立していたということを   隠したわけです。これが2回目の虚偽報告です。

組合:そのときのフォワードの社長は誰ですか。松村理事ですか。

松村:ええ。

組合:フォワードという会社の営業目的は何ですか。

松村:そりゃ、いろいろありますが。えーと定款に書いてありますが。

組合:何と書いてありますか。

松村:そりゃ、会社を作るときは届け出なければなりませんから・・・。失念しました。

組合:所在地は、石引町何々と聞いているが、実在しているのか。

松村:実在していません。

組合:なぜ、そんなややこしいことをして文部省を騙したのか。2階部分も、本当に学生の   ために作ったものなら、費用が若干オーバーしちゃいましたと正直にやればよかった

   のではないか。

中川:ええ、文部省からも、“そんなことでしたらそのとき相談してくれればよかったのに”   といわれているくらいです。

組合:この虚偽報告に、どなたが責任をお取りになるのか。

法人:文部省のほうには、「顛末書」を提出してお詫びしています。理事会では、当時の担

   当理事が報告をして深く詫び、二度と発生しないように皆んなで誓い合いました。

組合:謝ればいいという問題ではない。監督官庁に謝ればそれで済むんですか。

法人:・・・・・(無言)

組合:当時の担当理事は誰ですか。

中川:私です。

組合:文部省に顛末書を出し、理事会で反省をしたということは、この虚偽を認めたのです

   ね。

法人:認めました。

組合:不正の事実を認めたのなら、責任をとるのは当たり前じゃないですか。認めた以上、

   目で見えるかたちで謝罪するのが本筋でしょう。

法人:これは理事会内部の問題ですから、そちらの質問にとやかく答える必要はない。

組合:我々が追及するから、謝罪する、しないの問題ではない。今、不祥事ということに世

   の中の常識はどうなっていますか。

法人:世の中の常識ぐらい知っています。

組合:大体、理事会内の問題だとは何事ですか。虚偽報告とあれほど大きく報道されたこと   ですよ。皆んなに、学生、父母になぜ謝罪しないのか。

法人:・・・・・(無言)

組合:それはできませんよね。「私共は不正をやっておりました」と公言すれば、誰かが責

   任をとらなければならない。責任をとりたくないから、謝罪しないのではありません

   か。それで、経営責任を果たせますか。

法人:・・・・・(無言)

組合:理事会は責任をとるのですか。はっきりしてください。

法人:お答えできません。

組合:以前本学で起きた不祥事には、それなりの方が責任をとって、お辞めになっているん

   だ。あなた方は無責任じゃないか。

法人:・・・・・(無言)

組合:何のための理事会ですか。誰のための大学ですか。あなた方は本当に学生達のことを

   考えているのか。

法人:・・・・・(無言)

組合:不祥事はこれだけではない。5項目にも及ぶとされる行政指導を受けたこと自体、重   大な問題である。組合は今後も徹底的に追及する。

 

3.給与交渉について

 夏期賞与の交渉で、中断していた給与交渉であるが、「With Plus」と組合ニュースで判明したように、双方の給与水準の資料に差異があり、資料を公開しない法人側に問題があることも指摘されている。

 

法人:組合側の資料を入手して検討した。そちらが示したものは、教職員数が500人以上

   の学校であり、本学と比較にならない。

組合:大学の給与水準を職員数で比較するとは、あまりにも単純だ。どうかしている。

法人:財務諸表は公開できないが、法人提示のアップ率2.65%には根拠があるので、説明

   したいが、どうか。

組合:その必要はない。高額な報酬で補助金収入が減じられている現状で、役員給与の是正

   を棚上げにして、職員の方だけ算定根拠があるというのは矛盾である。

   大体、2.65%から定期昇給を引けば、ベースアップは0.7%程度にしかならない。

 

4.人事考課について

  賞与の人事考課の実施等については、前回団交で「確認書」を取り交わしている。

 

法人:冬期賞与の人事考課に向けて協議したい。考課項目などを検討する小委員会の設置を

   提案する。

組合:前回、合意して取り交わした「確認書」の内容は、双方の主張の併記であったはずだ。   組合は信頼関係を主張したが、今日の団交の冒頭で、法人側は双方に信頼関係は無い

   と明言した。これでは、そちらの提案に応じるわけにはゆかない。

 

5.その他

 

組合:本学の経営・経理に関することと思われるから、付随して質問する。

   あれほど大きな問題になり、本人にも多大な迷惑を掛けた衛藤氏の件で、法的措置を   とらせていただくとした衛藤氏に、大学は、高額の金銭で解決したといわれているが、

   事実か。その金額はいくらか、そしてそれを学生の授業料から支払ったのかについて

   も答えていただきたい。

法人:そのような情報は知らない。ともかく、法人は1銭も支払っていません。

組合:それはおかしい。理事会で衛藤氏を次期学長に決め、理事会でそれを白紙撤回した。   そして、衛藤氏から賠償を求められた。これに大学が対処していないというのは、お

   かしい。なぜうそをつくのか。

法人:大学は1銭も支払っていません。

組合:衛藤氏の問題で、我々をまき込み、世間を騒がせ、マスコミからはお粗末と書かれ、   信用を失墜させた。その後始末はどなたがとるのか。当の衛藤氏からは「理事長の

   責任」といわれた。こんなことでいいのか。理事会では責任問題は出ていないのか。

法人:理事会内の議論は、お答えできません。

   

 組合は、次回の団交にもこれらの問題を取り上げ、理事会の経営姿勢を追及する予定です。

 

 

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