北陸大学教職員組合ニュース第74号(1997.6.6発行)

 

国庫補助がカットされるほど高額な役員報酬

 

「経営責任を負っているから当然だ!」

 

法人理事、団交で発言

 

 第28回団体交渉が、6月3日(火)に行われました。北元理事長が出席していないので、組合側が「28回も団交を重ねているが、一度も出席しないのは無責任ではないか。理事長はどう考えているのか」と糺したところ、中川理事は、「次回までに、理事長の考えを確認する」と約束しました。

 

<団交要旨>

1.給与改定で法人側は、年俸ベースで2.65%アップ、 賞与年間6ヶ月を提案した。

2.名誉教授の称号授与拒否問題について法人側は、相変わらず誠意ある説明をしない。

3.薬学部実験助手の身分について法人側は、当分の間一般職員に据え置くとした。

4.4月の法学部教授会で推薦を決めた3氏の人事案件が、人事委員会に届いていないと

中川理事が述べた。

 

(1) 平成9年度給与改定交渉

[経緯]本年度の給与改定に当たり、法人側は、「年俸ベースで2.65%アップ(定昇込み)、賞与は、平均年間6ヶ月とし一律金の上乗せはない」を提案し、本学の平均給与、近隣私大7校、全国私大400校の平均と比較したデータを示し、教員、一般職員とも、近隣私大を上回り、全国水準に達しつつあると強調した。また、県内企業の賃金水準とも比較し、なんら遜色はないとした。

     近隣7大学:富山国際、高岡法科、金沢経済、金沢学院、金沢工大、福井工大、北陸大

 

法人:本年度の春闘は、日経連調査では平均2.8%(基準内賃金2.46%)アップであった。   本学の財政事情を種々検討の上、本年度の給与改定案を策定した。

組合:データの信頼性に問題がある。何も全国平均に近づければよいというものではない。給与水準の設定をどう考えているのか。

法人:平成12年の臨時定員増廃止の予定を含め、本学の中長期の財政ビジョンを見据えて、財政の許せる範囲内で設定している。

組合:法人役員の給与は異常に高い水準にあり、教職員のそれとバランスを欠いている。

法人:我々役員は、経営責任を負っている。債務(保証)のこともある。役員報酬を別枠で考えている。このバランスが本学の体質である。

組合:近年、本学教職員の給与や退職手当金の基準が引き下げられたのと対照的に、役員報酬が異常に上昇した。本学の体質がどこかで変わってしまったのではないか。

法人:大学の体質は色々ある。

組合:財務諸表を開示するのも経営責任を果たす1つであろう。なぜ公開できないのか。

法人:財務諸表は、立場によってその見方が違うもので、論点が違う労働者側に見せる必要性を感じない。ここは賃金交渉の場であって、給与設定におかしいところはない。

組合:給料をちゃんと支払っているから、経営内容に文句を言われる筋合いはないという態度はおかしい。財務諸表は、誰にでも説明できなければならない。最近の不祥事で本学のイメージが著しく低下したことは、重大な経営責任ではないのか。

法人:・・・・・・・・・

組合:全国に多くの私大があり、いずれの法人も経営責任を負っている。学生納付金と国民の税金でやっている大学に、財務諸表を見せられないような経営があるのか。本学は他大学にない特殊な使途をしているのか。理事長が出てきて説明して欲しい。

法人:・・・・・・・・・

 

夏期賞与の人事考課について

法人:夏期賞与は人事考課の上、平均2.5ヶ月とする。支給は6月末を考えている。以前から懸案であったが、人事考課実施の細部検討のための小委員会の設置を提案する。

組合:人事考課は必ずしも否定しない。しかし、今は実施できる状況にない。考課をする側とされる側に信頼関係がなければ、職場に混乱をもたらすだけだ。退任勧告さえ出されている今の学長や学部長には、教員を考課する資格はない。

法人:考課は、プラス考課も当然あり、考課されていない現在に不満がある人も多い。

組合:我々の中にもプラス評価して貰いたいと思っている人はいるが、今はそれをいうべきでない。どちらに評価されても納得できる環境を作ることが先決だ。

法人:人事考課は必要だ。

組合:自ら信任を問うことができない学長や学部長を作っておきながら、実施しようとする感覚を疑う。見送るべきだ。もし強行して混乱すれば、経営責任が問われる。

法人:教員の場合はそうかも知れない。しかし、一般職員の人事考課は、給与設定、配置、昇任を行う上で必要である。提案の返答はどうか。

組合:事務職員の場合でも同様である。法人は、お互いの信頼関係を築き、公平に人事考課できる職場環境を作ることに第一に努力すべきだ。現在、そのような土壌がない以上、無理である。提案は拒否する。

 

(2) 薬学部名誉教授発令拒否

 

組合:名誉教授の件は、理事会等で再検討されたのか。

法人:していない。しばらく時間が欲しい。

組合:何のための時間なのか。発令拒否した理事会決定に問題があるからなのか。

法人:理事会決定に問題はない。なぜ時間が必要なのかの理由はいえない。

 

(3) 薬学部実験助手の取り扱いについて

[経緯]実験助手の過去2年分の時間外手当の支払は、ほぼ決着がついている。しかし、

 身分をこのままにして、今後も時間外手当を支給するならば、一般職員並の労務管理が必要になると法人側は主張する。

 

法人:実験助手の過去2年分の時間外手当の支払はまだである。前回団交で5月末といったのは、支払いの結論を出す期日であって、そちらの勘違いだ。支払いは必ず行う。

組合:勘違いを認める。早く支払って欲しい。今後の取り扱いについても早く結論を出さないといけない。実験助手を教員とし、もう1つ給与体系表を作ってはどうか。

法人:種々考え方があってすぐにはできない。薬学部にも意見を聞いてみる必要がある。

組合:どこで意見を聞いてもかまわないが、どのような就労条件にするかの決定は労使交渉の場で行われる。就業規則の変更は、組合との調印が必要である。

法人:当分は現行通り一般職員とする。時間外勤務の指示等の管理方法は、主任に説明する。

 

(4) その他

人事の遅滞について

[経緯]昨年から昇任人事の遅滞が頻発している。特に外国語学部、法学部での1月発令の遅滞人事について、その理由説明および4月遡及発令措置の要求を、法人はその必要はないとして拒否し続けている。

 

組合:これまで団交で、幾度も文書による回答を要求したにもかかわらず、無視している。法人がこういう不誠実な態度を続けるならば、それなりの手続きを取らせてもらう。

   ところで、現在も懸案になっている人事があるが、どうなっているのか。

法人:現在は、何もないはずだ。

組合:4月の法学部教授会で推薦した3氏の人事案件があるはずだが。

法人:案件があれば理事長から人事委員会に出されるが、人事委員会には届いていない。

組合:おかしい。誰がストップしているのか。

法人:知らない。

 

 その他、薬学部実験助手から助手への昇任にともなう教員用ネームプレートの件、防火管理者等の件がありました。 

 

お詫びと訂正:第72号組合ニュースにおいて、衛藤氏のお名前を「江藤」とミスプリントが

        ありました。お詫びして、訂正いたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

組合アピール(3)

 

大学の経理公開を要求しよう!

 

 本学に教職員組合が出来るまでは、法人や大学の情報は法人当局に全く独占され、理事会(理事長)によって認められたもの以外の情報は、ほとんど知ることができなかった。当局にとって都合の悪い情報は全く秘匿され、批判的なビラが出れば警備員を使って徹底的に探索し、完全な情報管理の状態が維持されていた。しかし、組合ニュースが出るに及んで、状況が変わりつつある。そのうえ、北陸大学の現状は、今やマスコミの関心事としても報道され、文部省も行政指導に乗り出すなど、情報の開示が進みつつある。しかし、大学の経理に関しては、当局は、度重なる組合の要求にもかかわらず、かたくなに秘匿を続けている。

 当局が定め、金科玉条として自己評価している北陸大学の「現行規程」の最初に掲げられている「学校法人北陸大学寄付行為」には、次のような規程がある。

(財産目録の備付)

 「第33条 この法人の財産目録、貸借対照表及び収支計算書は、毎会計年度終了後 2ヶ月以内に作成し、監事の意見を付して、常にこれを事務所に備えて置かなければな らない。」

(書類及び帳簿の備付)

「第40条 この法人は、次に掲げる書類及び帳簿を、常に事務所に備えて置かなけ ればならない。

 1 寄付行為 

  2 役員及び評議員の名簿及び履歴書

  3 収入及び支出に関する帳簿及び証ひょう書類

  4 その他必要な書類及び帳簿   」

 

 法人は、これらの規程があるにもかかわらず、経理内容を全く公開していない。法人自身が規程に違反する行為をしてはばからないのである。

 法人の経理は、国庫助成を受けている限り、文部省に報告しなけばならないのはもちろん、多額の学費を収めている学生や父母に対しても、また大学の教職員に対しても、常に公開され、恒常的な批判にさらされなければならないのは、むしろ当然である。

みんなで声を大にして、経理の公開を要求しよう。

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