北陸大学教職員組合ニュース第
70号(1997.5.16発行)
正常化に取り組まない佐々木「学長」に
辞任勧告書
が提出される
全学教員の3分の2の
114名が署名
さ
る5月1日、北陸大学教員(署名者114名)は佐々木「学長」に辞任勧告書を提出した。これは、北元喜朗理事長に対して学長選任の不当性を訴えた裁判などとは趣旨が異なり、佐々木氏が公選制を求める教員らの意思を無視したうえ、教員の信任が得られないことが分かっていながら学長職を受諾したこと、及びその後の全学教授会の運営をはじめ学内外における言動に対し、「学長」としての適格性を問題とする辞任勧告である。特に現在大学の正常化が急務であるにもかかわらず、また佐々木氏自身も「正常化に尽力したい」とマスコミ各社にわざわざ出向いて表明しておきながら、なんら有効な施策を打ち出さず、逆に全学教授会では改革案策定の提案を非民主的なやり方で一蹴するなど、新「学長」としての自主性の無さと反動的性向は、久野前学長以上である。佐々木氏は、3月に法学部で法学部長を不信任決議されたが、今回の辞任勧告で、いよいよ自らの立場を明らかにせざるを得なくなった。思えば、あのときもそうであったが、佐々木氏は現状認識が不足しているのではないだろうか。就任1ヶ月を過ぎた現在に至るも、佐々木氏は、「学長」として全教員になんら所信表明できぬまま、7割近い教員から早くも辞任を勧告されたことは、まさに異常であり、昨年8月以来の学長をめぐる混乱が何ら改善されていなく、教員不在の大学運営が行われている現状を如実に示すものである。かかる事態は、学園の発展に寄与しないばかりか、教育現場の荒廃につながるものであり、看過できない危機的状況である。
佐々木氏にとって受け入れがたい事態であろうが、このままではこれからも教員から「学長」として認知されず、学内運営に全学挙げての協力が得られないことは明白であり、ただ建前の権力構図の上に座して無為に過ごされるよりは、硬直した現状を打破し、新たな立場で真に大学の改革に取り組む勇気をおこされることを望むものである。
我々大学で働く者として、
「北陸大学は誰のものか」を今一度考えねばならない。別紙に[辞任勧告書]を掲載します。
組合アピール(1)
学長の公選制を復活させよう!
北陸大学の現行の学長任用規程は、理事会による任命制になっており、これを根拠にして、衛藤氏の任命や佐々木氏の任命が行われた。しかし、学長の任命制が本学の建学の精神や私学の独自性と関係がないことは、本学でもかつては学長の公選制が存在していたことからも明らかである。
昭和
57年に作られた旧「学長任用規程」および「学長選挙施行規則」は、本学の学長の任用を明確に「公選制」とし、その選挙手続を定めるものであった。その内容は、理事、学長、学部長、教授会選出の教授2名から成る候補者選考委員会の下で選挙管理委員会が組織され、候補者が2名以上のときは選挙投票が、1名のときは信任投票が行われるというものであり、現に58年2月にこの規程による信任投票で越浦学長が選ばれている。ところが、昭和
62年の選挙を前に、外国部学部の設置に伴う特例措置として、規程の効力を2年間停止して暫定的に理事会の任命によることとし、63年の新しい「学長任用規程」によって完全な任命制に変更されてしまったのである。この改正は、教授会に全く諮ることなく、急遽理事会で決定されたものであり、手続的にも重大な問題がある。これは、学長の公選制を定めた旧規程が、当時の教授会による実質的で慎重な審議の後に理事会がこれを承認するという民主的な手続を踏んだものであったことと比較しても、理事会の専権が表面化し、しかも内容的にも時代に逆行するものであった。当時の理事会による学長任用規程の改正の経緯と理由を、あらためて聞きただす必要がある。
今回任命された佐々木学長は、信任投票すら拒否しているが、それは信任投票が行われれば圧倒的に不信任の結果が出ることを恐れ、かつそのことを自認しているからである。任命制の下でも、教員の信任を得られないような人が学長になることは、およそ常識では考えられないことであり、今や教員会はもとより全学教授会に至るまで、佐々木学長に協力する体制が全くないという、きわめて異例の「不正常な」状態が続いている。
これを正常化するためには、早急に学長の公選制を「復活」させなければならないことが日々明らかになりつつある。モデルはすでに存在するのであるから、そのつもりさえあればすぐに具体化することが可能である。任命学長のイニシャチブは不要であり、かえって障害になる。かつての公選制の学長任用規程の制定と同様に、教授会の意向を全学教授会に反映して得られた案を理事会が認めるという民主的な手続に従えばよいのである。
佐々木学長に対する辞任勧告書
平成9年4月30日
佐々木 吉男殿
北陸大学教員 桐山 典城、紺谷 仁、
坂元 倫子、澤西 啓之、
土屋 隆、富森 毅、
橋本 忠、山崎 満、.
吉藤 茂行、岡野 浩史、
桜田芳樹、地蔵堂 貞二、
ジャン デイ デニス、
西川喜久子、林 敬、
コーニリアス マーカス、
ジェイムズ マチヤツト、
山本 健次、
ルート ライヒェルト、
飯塚 深、島崎 利夫、
曽村 保信、中山 研一、
三谷 嘉明、外90名
平成9年4月1日付けで本学学長に任命された貴殿は、以下の理由により学長として不適格であり、貴殿が学長職に留ることは本学に取り返しのつかない損害を与えること必至と思料されるため、即刻、辞任されますよう、ここに著名をもって勧告いたします。
一、本年3月31日、法学部は、圧倒的多数をもって法学部長であった貴殿に対する不信任動議を可決した。法学部長として、学部構成員の意見に全く耳を傾けない専断を重ねたこと等により、構成員に対し拭いがたい不信を植え付けた貴殿が、学長として不適格であることは理の当然である。
一、貴殿は、昨年8月、全学教授会において、いわゆる学生監禁事件の実態を調査すべきとの意見に強行な反対を唱え、法律家にあるまじき詭弁を弄し真相解明を妨げようとした。法学部で教鞭をとる貴殿が、学生の人権という学問の府において最優先されるべき案件につき、かかる言動をなしたことは、学長としての適格性以前の問題である。
一、貴殿は、全教員の73%が参加した「自主選挙」の不当性を強く主張し、今なお学長・学部長公選制の導入に対し強硬な反対を唱え続けている。学長・学部長選任に際して教員の意思を全く排除していることこそが、本学を不正常な状態に置かしめている最大の要因であることを、貴殿は全く理解できていない。本学が抱える課題の本質に対する理解が完全に欠如している貴殿が学長職に留ることは、今日の不正常な状盤をさらに悪化させ、本学の存立自体を危険にさらすのみである。
以上