北陸大学教職員組合ニュース第65号(1997.4.18発行)
北元喜朗理事長が卒業式翌日の3月18日に文部省に呼ばれて、「異例の厳しい行政指導」を受けました。このことは、4月2日から4月4日に亘ってテレビや新聞などの報道機関が、「運営体制の見直し指導」や「国に虚偽報告2度」などの見出しで一斉に報じたことで皆さんもご承知の事と思います。これは、昨年11月に130名の本学教職員が連名で上申書を提出したのを受けて、文部省が法人を調査した結果行われたものです。同省では、今後も理事会がどのように改善するかを報告させ、引き続き指導するとのことで、4月上旬に理事長と学長が再度呼ばれています。組合では、今回の行政指導のかなり詳しい内容を入手できましたので、それらをお知らせすると共に、学園の正常化を目指して指導事項の改善を厳しく要求して行く予定です。
学校法人北陸大学に対する文部省からの指導事項
文部省は、本学理事会に対する「基本認識」として次の3点をまず指摘したうえで、この認識に基づいて以下の「5項目の指導事項」を挙げ、さらにそれぞれの項目についてかなり多くの例をあげて厳しく指導している。
「基本認識」
(1)理事会と教学との意思疎通が円滑でない。
(2)理事会が大学運営を独断的に処理している。
(3)理事会および評議員会の構成に問題があり適正に機能していない。
「指導事項」
1。理事会等の運営体制の見直しと法人の管理運営の適正化
この項目については、たとえば次のような事項が例として挙げられている。なお、( )内の文章は、本文執筆担当者等のコメントです。
(1)理事会と評議員会の構成員が特定のグループに偏っている。また、学外の公正に発言のできる理事や評議員、特に学外の学識経験者がいない。 (それ故に、理事会、評議員会共に適正に機能しないことになる。)
(2)役員退職金、役員退職功労金、役員報酬などが理事長一任になっていて、これらを理事長が専決できるのは宜しくない。(これでは、理事等の役員は理事長の意のままにならざるを得ないことになるとの指摘。)
(3)役員功労年金制度などは「異例」である。(これについては、3月末の理事会で廃止を決めたとのことである。しかし、役員退職功労金に関する規程はそのままであり、金額は理事長が決めるというのが気に懸かる。)
(4)法学部開設時の施設、設備に関して文部省に虚偽の届出を行い、平成8年5月にもまた、虚偽の変更届出を行つたこと、およびこれに係る理事会議事録も不備であること。(太陽が丘キャンパスの体育施設サウンドトラックの二階部分と株式会社フォワードに関するものであり、これらについては一昨年来組合でも団交や組合ニュースなどで厳しく追求してきた。文部省もこの件を特に重視している。)
(5)学校法人が全額出資している会社が、大学に無関係な企業グループに出資、資本参加し、役員を兼務させる等、関連企業との関係が不明朗である。(太陽グループのことで、特に同グループの負債が膨大であることなどを含めて、文部省はかなりこれらの企業と大学との関係を危惧しているようである。)
(6)大学運営と直接関係のない不動産などを関連企業から購入するなどしているが、その決定過程が理事会決議によったり、あるいは理事長専決によったりで、不統一であり、また、不明朗である。(前項に関連するもである。)
2。理事会等と教学組織の協働関係の確立
学長選住等につき、理事会と教学とが適切な意思疎通を図りつつ、速やかに次期学長等の選任を行うべきである。
(この文部省の指導を完全に無視して、教学との意思疎通を全く図ることなく、理事会が一方的に佐々木氏を学長に選任したばかりではなく、各学部長までも多数の学部教員の意向に反する人物を独断で決めたことは、言語同断である。)
3。内部監査機能の強化
監事に係る適切な体制を整備すること。顧問弁護士が監事を兼任することなども問題である。また、評議員会が監査機関として機能していない。
(もう一人の監事も問題である。それゆえに理事会が独断専行できるのである。)
4。諸規定の整備
不動産取得に関する規程、役員への金銭貸付に関する規程、役員報酬や役員功労金などに関する規程などを整備すること。理事長一任などは他に例がない。
(経理の不明朗感の基になり、理事会が経理の公開をあくまでも拒むのも第一項目とこの辺が原因か?)
5。事務処理体制の改善、事務処理機能の充実強化
今後虚偽の届出が生ずること等のないように体制の改善を図ること。
(管理局ではなく、事務局として誠実、迅速に事務処理ができるような体制にすべき。
担当の事務局員は板挟みになって苦悩しているようです)。
6。その他
組合が昨年から地労委に提訴までして要求している「経理の公開」については、文部省は各学校法人に対して経理は公開するように一貫して指導しているとのことである。
今回のこのような多項目に亘る行政指導は異例で、かつ厳しいものであり、学内外の識者や報道関係者から注目されています。特に、文部省への虚偽報告は本学にとっての重大な不祥事であり、今後これらの責任の所在を明らかにする必要があります。