北陸大学教職員組合ニュース第64号(1997.4.17発行)

 

 歴史は繰り返された!

文部省から行政指導再び

責任の所在を明確に!

 

 4月2日のNHKニュースを皮切りに、県内報道各社は北陸大学に対する文部省の行政指導を報じました。「北陸大学に異例の行政指導」(NHK)、「国に虚偽報告2度」(読売)、等の見出しで、センセーショナルな報道でした。想像したよりも具体的かつ深刻な内容ですので一例を再録します。

 「今回の指導では、大きく分けて5つの指導項目が伝えられたわけだが、その背景にはいくつもの問題点が指摘されたようだ。その一つが文部省への嘘の報告であった。問題が指摘されたのは北陸大学の体育館サウンドトラックであった。92年に文部省に提出された当初の計画では1階だけの体育施設と報告されていた。ところが、実際に建設された施設は2階建てで、そこにはサウナ風呂や喫茶店も設置されていた。さらに事実が発覚した去年5月、文部省の事情聴取に対して2階部分の増設費用は大学が負担したと報告していたが、大学の関連企業が資金の一部を負担していた。この体育館は法学部設置許可申請にともない文部省の指導で作られた経緯がある。度重なる嘘の報告に文部省は顛末書の提出を求めたと話しているが、設置許可の取り消しまではできないと話している。」(MRO:4月3日)

 北陸大学は昭和56年春 (1981) にも、学生の入学に絡む寄付金問題で文部省から行政指導を受けています。当時の新聞が伝えるところによると、入学許可と引き替えに寄付金を「隠し口座」に納入させたなどの不明朗入試が指摘され、私学助成補助金の返還命令が出されたというものです。

 学校法人がその監督官庁である文部省へ虚偽報告したことは重大な不祥事でありますが、この行為は、我々北陸大学教職員、4000名学生とご父母、更には教育を負託した社会に対しても、紛れもない背信行為です。我々は、真理の府の構成員として、1度ならず2度までもなされた虚偽報告に対して、その責任の所在を明確にし、北陸大学の体質を正常化しなければなりません。このことについて、組合は前回の団交(第25回)で法人側の釈明を求めていますが、未だに教職員に何の説明もありません。今後、徹底追及する予定です。

 なお、「学長・学部長公選制を求める教員有志」および「学長選任無効確認訴訟原告団」は、4月11日、文部省の行政指導の報道を受けて、3月31日の要求書につづき「再要求書」を提出しています。組合は設立趣旨に基づき、資料として皆様にお知らせいたします。

 


 

(資料:再要求書)

平成9年4月11日

北陸大学理事長 北元喜朗殿

 

再要求書

要求事項

 (1)文部省からの行政指導にすみやかに従うこと

 (2)3月31日の各学部決議を尊重すること

 (3)「教員の意思を反映できる大学運営」のための協議再開

 

 3月18日、学校法人北陸大学は文部省から行政指導を申し渡されました。4月2日から4日にかけてのテレビおよび新聞によると、「異例の行政指導」(NHK)である、あるいは、文部省法人調査課の談話として「かなり異例で問題がある」(MRO)と報道されました。指導内容は「理事会の運営体制の見直しと法人の管理運営の適正化」や、「学長選任問題に関しても、教員側との協力関係の確立」など「厳しい内容」と伝えられ、おまけに法学部の設立にからんで「嘘の報告」があり、 「度重なる嘘の報告に文部省は顛末書の提出を求めた」とも報知されました。これは昭和56年の寄付金問題の悪夢を思い起させる、大学にとって極めて不名誉な事態です。

 しかしながら、北陸大学理事会は、先に衛籐氏選任決議を一方的に破棄して物議を醸したにとどまらず、3月29日には文部省の深刻な行政指導をも無視する決定をしました。指摘された運営体制を改善するどころか、「教員との協力関係」を一顧だにすることなく、以前とまったく同じ手法のまま、次期学長等を一方的に決定したからです。この行政指導無視に対して、我々は重大な関心と危惧を持たざるを得ません。異例の行政指導を受けたこと自体、大学の信用を著しく損なうものであるのに、それを無視してさらに信用失墜の上塗りをしているからです。このような事態は大学の存立を危うくするものと言わざるを得ません。それにもかかわらず、理事会は3月31日付けの理事長声明文では相変わらず従来からの独断、独善的主張にこだわり、「一部教員」と故意に事実を誤認して、大多数教員の意思を否定し、処分の恫喝を繰り返しています。このような態度も問題解決のための相互協力を放棄し、同じく大学の存立を危うくするものと言わざるを得ません。

 よって我々は、学校法人北陸大学理事会が、「理事会等の運営体制」をどのように見直し、「教学組織との協働関係」をどのように確立するのかを明らかにし、もって文部省の行政指導にすみやかに従うことを要求します。

 もとより、学長・学部長選任に関して、現行規程の下でも理事会がその気になりさえすれば、教員の意思を問うことはできたはずです。まさに行政指導で指摘された通り、理事会運営に問題があったとしか考えようがありません。3月31日には北陸大学のすべての学部で、一方的な理事会決定に対する反対決議がなされました。この決議に対し、理事会はまだ何らの回答を示していません。我々は、3月29日理事会決定の学長および3月31日決定の学部長に関して全教員の信任を問うこと、もしくは学長・学部長選任規程を早急に制定し、選任をやり直すことを再度要求します。さらに、このことのために中断状態の協議を早急に再開することを要求します。

 以上のことにつき、すみやかな回答を求めます。

 

学長・学部長の公選制を求める教員有志

学長選任無効確認訴訟原告団