北陸大学教職員組合ニュース第10号(1996.1.22発行)


第8回団体交渉が1月19日金曜日午後6時から8時まで行われました。今回の交渉では以下の事項について交渉が行われました。


オリンガー専任講師の解約通知撤回について



速報でお知らせしましたように、平成7年12月19日に契約更新をしたばかりであった外国語学部オリンガー講師に対して、12月27日に、突然、解約通知が出されました。それを承けて、1月6目、1月16日とオリンガー講師と法人とで語し合いが持たれました。オリンガー講師は、解約通知に、解雇の理由として、12月20日に「契約破棄の申し出があった」とあるが、そんなことは言っていないし、大学をやめる気もない、解約通知は誤解に基づくものであるから、撤回してほしいと説明をしましたが・法人側は、言ったことは言ったことである、だから撤回はしないとの態度をくずしませんでした。つまり、誤解に基づいてした決定でも撤回する気はないという恐るべき返答でした。そこで団交ととなりました。

団交の席でも、同じ主張が繰り返されました。言ったことは言ったことであるという意味のことが再び何度も何度も呪文のごとく繰り返され、解約通知は撤回しないというのが回答でした。やりとりの確信部分を要約すると、おおよそ次の様になります。

組合:法人の通知書には、12月20日に、オリンガー講師が、「契約を破棄する申し出た」とあるが、正式の交渉の場ではなかったではないか。いつも交渉の席に通訳として陪席していた外国語学部の日本人教員のいないところでの話である。しかも契約の破棄というきわめて重要な問題である。それにもかかわらず、法人は正式の交渉の場、あるいは、きちんとした確認の場を設けないで、12月27日に抜き打ち的に解雇の通知を出している。なぜ話し合おうとしなかったのか。
法人:それまで4ヵ月もかけて、誠意をもって交渉してきたのに、それが無駄になった。信頼を失った。
組合:では4ヵ月もかけてやってきたことを「破棄する」と言われたというのなら、ましてや、きちんと正式の場で確認すべきではなかったか。
法人:言ったことは言ったことである。その必要はない。
組合:8回の正式交渉の場では、オリンガー先生には通訳がついていき、法人も通訳にあたる人が出席していて、いわば2対2で交渉をして12月19日にサインをしている。それが12月20日の件では、オリンガー先生は1人であり、通訳にあたったのは法人の職員である。つまり、1対2で行われたことであり、対等ではない。それなのに、オリンガー先生が言ったとすることをたてにとって一方的に解雇だと通告するのはフェアではないのではないか。
法人:当方の通訳は優秀である。
組合:誤解に基づいて、しかもきちんと話し合いもしないで出された解約通知なのだから撤回すべきではないのか。
法人:撤回するとかしないとかの問題てはない。


このあと、法人側は、再ぴ「言ったことは言ったこと」の意味の主張を繰り返しました。

結局、法人側は、通訳を介してのことであり、誤解があったかもしれないことに基づいて、一方的な判断を下して解約通知を出し、後から、それが誤解であったと本人が申し立てているにもかかわらず、解約通知は取り消さないというのです。本人ときちんとした場で事実確認をしないで解約通知を出したことに一切問題はなく、自分たちのやり方に落ち度はなかったというわけです。これが北陸大学の法人の見識です。

さらに、ひとつだけ付け加えるなら、オリンガー講師が12月20日に申し出たという「契約破棄」について、通知書では「担当希望科目が、満たされないなら・・」というのをあげていますが、これは、教学上のことであり、法人側はこれまでの交渉ではすべて、教学のことは教学でと主張しておきながら、ここでは、教学上のことを解雇理由として出しています。これは明らかに不当です。12月27日の突然の解雇通知に至る過程で、法人側は重大な判断ミスをいくつも犯したのではないでしょうか。


「警告書」について



平成7年12月9日に法人側より、教職員組合に対して「警告書」なるものが出されました。就業時間内に団体交渉申し入れ書を持参したことは、就業規則第53条に定める就業時間中の無許可の組合活動に該当するというのです。これに対して組合は、これまでも文書の交換や団交の連絡などは、単純かつきわめて短時間で済むので、就業期間中に行われてきた事実を指摘しました。実際、ほとんどの大学や企業ではこのようなことは公認されており、団交さえも就業時間内に開く便宜がはかられているところもあります。それなのに、このことを急に問題として、突然、しかも一方的に「警告書」を出すというやり方は、あまりにも乱暴な話ではないかいうことを主張しました。これは、オリンガー講師の解約通知のやり方と同工異曲のもので、現法人の体質が如実に現われています。

さらに、これからの文書交換に関して、お互いが当初からやってきたとおり就業時間中でもいいかとの質問に対して、法人側の答は「持ち帰って検討する」というものでした。団体交渉の場には、法人側からは理事長以外の幹部の理事が全員出ています。それなのに、上のような簡単な要請に対して、そこで返答はできないというのです。団体交渉には、交渉事項を決定する権限を有するものが出席しなくてはいけないことになっています。しかし、現実は、残念ながらそうではありません。これは誠実交渉義務違反であり、実質的には団交拒否となります。


「回答書」について



組合は学長・学部長の公選制や、研究・教育向上特別委員会の解散、サウンドトラックに関係するとされている「フォワード」という会社、「理事会の貸し付け金」などについて、団体交渉の席上や団交の要求書で、説明、交渉に応じてくれるよう求めました。これに対して、法人は、「回答書」なるものを出し、理事会の運営に干渉するのは経営権に対する干渉であるから交渉には応じないし、学内運営の民主化も組合事項ではないから、交渉には応じないというのです。要するに全面拒否です。しかし、私学の教職員組合は労働組合としての性格とともに専門職としての教員の団体であり、学園の管理運営や教学事項も、教員の教育・研究などの労働条件や地位の向上に深く関わることが多く、したがって、それらについては当然団交事項となり得ます。これは組合ニュース第9号にも載せたとおりです。

法人側の態度は実質的な団交拒否です。組合としては、「回答書」を全面的に受け入れるわけにはいかないし、これからも上記の事項を交渉事項として要求を続けていくことをはっきりと表明しました。


「職員の雇用に関する取り扱い内規」および「覚書」について


昨年度から採用されている新しい教育職員の一部には、雇用の際に、「覚書」なるものが取り交わされており、それは年数を限って雇用をし、所定の年数経過したら、雇用関係を見直すというものです。つまり、実質的には契約制です。また、それは、おおやけにはされていない「職員の雇用に関する取り扱い内規」に基づいているらしいのです。組合は昨年の団交で、この内規の提出を要求しましたが、応じないので、今回も要求しました。彼らの返事は「今、改訂を検討しているので出せない」というものでした。出して、問題になっても困るとも言いました。つまり、つまり、現在、その内規によって現に雇用されている教員がいるにもかかわらず、公開できないというのです。何度言っても出せないということでした。しかし、法人側は該当する教職員に対しては、しかるべき措置を取り、他の教職負と同様の扱いであるいうことを説明する旨を約束しました。

それにしても、現在適用されている内規を公開できない、その理由は「内規に問題があるからだ」と公然と表明しておいて、まったくこちらの要求に応じない法人側の態度は、その本質を見事に露呈したものと言わざるを得ません。


今回の団交の意味すること


前回の団交で、私たちは、査定について法人と交渉をしました。査定については、現状では公正なシステムはまったく無理なので、見送るようにと要求をしました。それに対して法人は、公平に査定が行えるという根拠を示さずに、やりたいのだ、やるものはやるのだという、まったく非民主的な論理(?)で押し通し、こちらの主張に耳を貸さず、結局、査定を強行しました。つまり、団体交渉というのは協議の場であるはずなのに、法人は、自分たちの決めたことを主張するだけで、一見話し合いをしているようには見えても、実は、本当の話し合いをしてするのではなく自分たちの決定を押しつけているにすぎませんでした。

今回もまったく同じことでした。自分たちが決めてきたことは相手が何を言っても関係ない。決めてきたことを押しつけれぱそれでいい。ただし、話し合いに応じているふりはしなくてはならない。形だけは一応整えておこう…これが団交に対する法人側の態度です。気がついてみれば、このやり方は全学のあらゆるところで行われています。教授会、各租委員会など教員が主体であるはずの場でも、.見られます。「案」が出され、一応審議なるものに付されるが、実はすでにそれは決定であって、その「案」の修正変更は一切認められない。「案」はいつでもそのまま決定事
項となる。一方的に決定して、それをうむを言わせず押しつける、しかも、事実を確認したり、弁明を聞くこともせずに、不確実もしくは意図的に曲げられた情報や先入観に基づいて、物事の判断を行う−−こういう法人側の非民主的なやり方が北隆大学の全体に蔓延しているのです。

大学の運営は、本当の意味での話し合いを積み重ねて行われなければなりません。つまり、民主的に行われなければなりません。問題があれば、その所在を明らかにし、正確な情報に基づき、衆知を集めて解決をはかる。これが、憲法および北陸大学が「寄付行為」で遵守を誓っている教青基本法の原理である民主主義のルールです。現在の法人は民主主義に真っ向から反するものです。

私たちの北陸大学を民主化し、よりすばらしい職場にするために、組合員の皆さんのいっそうのご支援とご協力をお蹟いいたします。


賞与考課の追跡調査結果 速報
今回のアンケート調査は年末の慌ただしい時期であったのにも拘わらず、組合員でない方をも含めて大変数多く回答していただきました。皆様のご協力に感謝いたします。回答を集計しましたところ、

最高 4.04, 最低 2.90, 平均 3.97,

90%程度の方が4.00という結果となりました。(4ケタ目四捨五入)