北陸大学教職員組合ニュース速報第2号(1996.1.10発行)

 

オリンガー外国語学部専任講師に突然の契約解約通知

 

 暮れも押しせまった昨年の12月27日に、法人側は、突然、オリンガー講師に平成8年3月30日をもって解雇する旨の通知書を送りつけてきました。オリンガー講師は12月19日に契約更新のサインをしたばかりで、これはまさに晴天の霹靂でした。法人側の通知書によると解約を通知した理由は二つあり、(1)12月19日に同意した雇用契約書には「雇用期間内においても、三ヶ月前の書面による予告をもって一方の都合により解約できる」との条項があること、(2)オリンガー講師は、契約書に署名した翌日の平成7年12月20日に「担当希望科目が満たされない場合は、契約を破棄する」と申し出ており、この申し出は「講義編成上の教学の都合を無視するもの」であり、また契約交渉においてのオリンガー講師の「態度を勘案し」、オリンガー講師を4月以降雇用することは「相当ではないと判断」するというものです。

 しかし、たとえ、雇用契約書に(1)に記載されたような条項がある場合でも、「雇用期間内の解約」は解雇となるので、これは労働法に違反した、解雇権の濫用となります。ですから、(1)の理由は、法律上無効です。

 次に(2)の理由ですが、オリンガー講師は「担当希望科目が満たされない場合は、契約を破棄する」とは一切言っていません。オリンガー講師が言ったことは、契約書に自分の専門は国際関係と明記されているのに、それに関連した科目が持てないのは契約の趣旨に反しているので、関連科目が持てるように努力してほしいということでした。法人側は、これを曲解して「担当希望科目が満たされない場合は、契約を破棄する」と申し出たことにしているのです。また、契約交渉において、オリンガー講師は何度も国際関係系統の科目について交渉をしましたが、これは何ら非難されるべきものではありません。そもそも、国際関係の教員として北陸大学に来てほしいという現理事長自らの要請で、オリンガー講師は着任したのです。だからこそ、法人側は「専門は国際関係」の旨を契約書に明記することを認めたのであり、オリンガー講師がその科目を持たせてほしいと交渉するのはまったく正当なことで、それを非難する法人側こそ、契約違反の謗りを免れないところです。ですから、(2)の理由も無効となります。

以上の理由で、オリンガー講師に対する解約通知は、明白な不当労働行為です。組合は即刻法人側に対して、解約通知の撤回を求めて、団交を要求しましたが、まだ、法人側は明確な返事をしていません。組合は解約が撤回されるまで、必要となればストをも辞さず、徹底的に戦う予定です。

 

突然の「解約通知」の意味すること

 今回の件は私たち全教職員の問題です。オリンガー講師一人の問題ではありません。北陸大学全体に関わる問題です。通知の送られた12月27日に久野学長にオリンガー講師の解約通知に関して確認をしたところ、そういうことは聞いていないという返事でした。つまり、教学の最高責任者である学長が知らないうちに教員に対して解雇が決定されていたのです。法人は、学長抜きで教員の解雇をやろうとしたのです。これが北陸大学の現状です。

 教職員の知らない間に、教職員の身分に関わる重大事を、きわめてあいまいな材料に基づいて、こっそり密室の中で決定をしてしまう、そして、弁明や反論の機会を与えないようにぎりぎりまで隠しておき、ある日突然、抜き打ち的に教職員に通知をするーーこれが今回のやり方であり、今までも踏襲されてきた法人側のやり方です。民主主義のルールをまったく無視した、大学人の名にもとる卑劣なやり口です。組合は、このような非民主的な状態をこれ以上許すわけにはいきません。

大学を再生させるために、誰もが安心して働ける職場とするために、全組合員の協力と支持をお願いいたします。オリンガー講師に対する、法を無視した解約通知は他人事ではありません。次はあなたかもしれないのです。