北陸大学教職員組合ニュース第5号(1995.9.29発行)


第3回団体交渉(9月22日)実施される





9月22日(金)第3回の団体交渉において、理事会側より「給与の改訂」について以下の通り回答がありました。この日の団交では回答を受け取り、もっぱら回答の内容について質問するにとどめ、後日、組合員大会を経た後に交渉することとしました。
以下にその内容を掲載します(下線部を中心に以下で解説をします)。

1.平成7年度給与改訂について
@.年収ベースで平均21%増とする。ただし、職位・年齢・勤続年数・現給与等を考慮に入れて個別精査を行い、改訂する。
A.今年度の賞与は、人事考課のうえ平均6ヶ月支給とし、扶養手当を算定基礎に入れる。
B.扶養手当は、配偶者を除く扶養家族の3人目以降を1,OOO円から5,500円に改訂する。
C.住居手当は、最高限度額を20,000円から27,OOO円に改訂する。
D.一般職員の管理職手当について、改訂を行う。
E.入試に係わる業務に対し、別紙のとおり手当を支給する。(裏面参照)
F.初任給について、教育職員修士了助手の場合を221,100円、一般職員大卒の場合を180,500円とする。
2.実施について
@.給与の改訂は、平成7年10月度給与より実施する。
A.改訂給与は、平成7年4月1日に溯って適用し、給与および夏季賞与について差額を支給する。
B.今年の年末賞与は、人事考課のうえ平均4ヶ月分の支給とする。


これを受けて、9月26日(火)午後6:OOより臨時の組合員大会が行われました。多数の参加があり、執行委員会から第3回団体交渉の経過説明と上記の「回答」について解説がありました。その後組合員から質問と活発な意見が出され、全体で意見交換があり、最終的に以下のことが確認されました。


臨時組合員大会(9月26日)での合意・確認事項


組合員大会では、基本方針として「給与の改訂交渉」は今回で終わりではなく、今後も交渉を続けることを前提として、今回この「回答」を受け容れることで合意がなされました。ただし以下の点については、組合側の要求として今後もねぱり強く交渉していくことが確認されました。

(1)「年収ぺ一スで平均約21%増」について

「回答」の中にある「年収ぺ一スで平均約21%増」とは、様々な手当および賞与1ヶ月分増を含めた上のことであり、実質的には、「基本給」でのアップ率は平均14%となります。また資料として示された以下のグラフから読み取ると、職員の場合のアップ率は年収ぺ一スで平均約39%(基本給で平均31.7%)増となります。

年俸比較表(教育職員)・・・略
年報比較表(一般職員)・・・略

(2)「人事考課」について

「人事考課」については、これまでのような明確な基準も説明もないままに実施することには強く反対していくことが決まりました。理由は、これまでのような明確な基準のない「人事考課」は、教職員の間に不必要な誤解や憶測を生み、ひいては職場の雰囲気を悪くするからです。今回の組合員大会では、当分の間いかなる「人事考課」も行わないか、もしくは組合との協議の上でなけれぱこれ実施しないよう強く要求していくことになりました。

(3)「動続年数」については、今回の給与改訂のさいに、教員の場合にも「勤続年数」を十分に考慮するよう要求することが決まりました。

(4)「住居手当」については、近年は持ち家の場合にも住宅ローンをかかえている場合が大多数なので、この点についても配慮し、支給するよう要求することになりました。

(5)「個人契約」の場合の給与の改訂について、教職員の中には給与の「個人契約」といったケースもあります。この場合にも、今回の給与改訂にさいしては、普通の教職員と同じよラに扱い、10月に改訂給与を明示し、すみやかに支給するよう要求していくことが決まりました。

(6)入学試験の手当については基本的に、右の表の案を受け容れることとするが、ただし「問題作成・答案調査委員」については仕事の分量、作業に要する時間、拘束日数を考えると妥当な金額とは言えないし、「地方試験場責任者」についても、仕事の内容、責任の重大さを考えるなら普通の監督員と同じ金額では納得できず、さらにこれを引き上げるよう要求することにしました。

入試に係わる業務を特殊業務と位置付け、以下のとおり手当を支給する。

試験区分
担当区分 金額
学部入試
入試副委員長 250,000(通年)
入試実施委員長
250,000(通年)
問題作成・答案調査委員長
300,000(通年)
○問題作成・答案調査委員
200,000(通年)
調査書調査委員長
40,000
調査書調査委員
40,000
○地方試験場責任者
10,000(1日)
面接委員
10,000(1日)
監督委員
10,000(1日)
小論文テーマ作成者
10,000

平日
5,000(1日)
基本手当
土曜日 10,000 (1日)
日曜日
15,000 (1日)

編入学入試
問題作成・答案調査委員 50,000×1回
面接委員
10,000(1日)
監督委員
10,000(1日)

留学生入試
問題作成・答案調査委員 35,000×5回
(本科・別科) 面接委員
10,000(1日)
監督委員
10,000(1日)

大学院入試
問題作成・答案調査委員 35,000×2回
面接委員
10,000(1日)
監督委員
10,000(1日)


今後の予定について

(1).今後は、理事会側からの「回答」を受けてさらに組合側の要求を実現すべく、理事会側との協定実現をめざして詰めの作業(予備折衝〉に入ります。
(2).この詰めの作業には、組合三役および給与関係担当執委員が出席し作業にあたります。
(3).最終的な協定書の内容を、次回の団交の庸で確認することとします。

以上の三点について、今後の交渉を執行委員会に一任するということが、臨時組合員大会で了承されました。

(以上
広報担当執行委員)


北陸大学ニュース第2号について


「北陸大学ニュース」第2号でみるかぎり、大学側が一方的に給与改訂を行おうとしているように見えるが、このニュースは組合との交渉の経過を伝えたに過ぎずわれわれの闘争の成果を、恩恵であるかのように粉飾するものである。執行部は交渉中の案をあたかも決定のように伝えた「北陸大学ニュース」第2号に厳重に抗議を申し入れた。


ワンポイント解説(今後の課題について寄せられた意見を紹介します。)

雇用保険:「強制加入」
9月22日に開かれた団交で、法人側の姿勢が岬われました。
組合側:「一般職員は、是非とも、雇用保険に加入するべきである」
「雇用保険は強制加入である。任意は、農林業で、常時5人以下の事業所だけである」
法人側:「雇用保険は強制加入です」

強制加入を知っているのになぜ入らなかったのでしよう。

雇用保険加入は、とりわけ一般職員の願いでした。組合にも、「加入したい」という職員の声が多数寄せられていました。雇用保険への加入により、(1)失業中に保険料が支払われるだけでなく、(2)就職中でも、例えば、育児休業で職場にいかなくても、休業直前の給与の25パーセントがこの保険から支給されるのです。パートタイム労働者(短時間就労者)も、週20時間以上、一年以上の雇用予定、年収90万以上の場合は、「本人の意志にかかわらずすべて被保険者」となるのです。権利は、知っているだけでは権利にならず、自分で主張し、実現して初めて権利になります。

未加入のまま、大学を去っていった多くの人々の無念な思いを受け止め、泣き寝入りをするのはやめましょう。今後も声を挙げていきましょう。執行委員は、組合員、非組合員を問わず、皆さんの声を拾い、それに基づいて、働き、教えがいのある大学、人権の確立のために、皆さんと共にがんばります。多くの声をお寄せ下さい。皆さんはもう今や一人ではありません。隣に連帯し、団結する仲間がいるのです。(T)(一組合員より)

雇用保険

雇用保険は、相互扶助の精神から成っており、労働者を一人でも雇用している事業所は、必ず加入しなければなりません。いわゆる当然(強制)適用事業となります。

そうすることにより、労働者相互が、イザ失業というときに、生活の保障が得られることになるからです。

皆さんの会社は加入していますか、まだでしたら早速加入の手続をしてもらいましょう。

ただし、農林水産業のうち、5人未満の個人経営の事業所は当分の間任意加入となります。
(『働く助成のためのガイドブック』石川県商工労働部労政課発行)


☆☆☆法律ワンポイント講座(1)☆☆☆

◇労働条件に関する取り決めの優先関係について

一般に労使関係に於ける契約は、労働者側に不利な条件が課せられる場合が多い。
従って、労働者保護の立場から一般に法令および判例は法律(労働基準法)を最低の労働条件とし、労働協約、就業規則、契約はそれを堰B労使関係が法廷闘争にまで発展した場合、それらの条件の中で労働者にもっとも
有利なものを有効とするケースがほとんどである。
この点をふまえ、本学での年次有給休暇の取り扱いについて考察してみよう。

◇年次有給休暇(年休)について
◆年休を、どのような条件で何回取得できるか?

年休日数については、労使ともに誤解があるようである。労働基準法(労基法)第39条では、「雇用目から起算して6ヶ月間継続勤務(出勤率80%以上)することにより、1O日間の年休が与えられ、その後1年ごとに1日が加算され、最大20日間の年休を与えなければならない」としている。これに対し、本学の現行就業規則では、採用2年目から20日間となっていて評価できるが、以前まで次年度に繰り越し加算していた年休日数を考慮に入れず、年間に請求できる年休日数の上限を20日間としている。労基法第115条は、「賃金その他の請求植は2年間で時効消滅する」とし、年休についてもこれが適用されると解釈されている(昭22.12.15 基発501号)。
従って、未消化の年休日数は、次年度に限り繰り越す(最大40日)ことができる(就業規則で繰り越を否定しても無効)。

具体例:繰り越し日数を加えて35日間の年休を有する教職員が、病気で30日間欠勤した場合(残りの5日間は、次年度に繰り越しされて25日間)に、20日間の年休しか認めないで残りの1O日間を欠勤扱いとしたり、賃金カットや賞与のマイナス査定を行うことはできない。

◆年休を取るときは?

教職員が年休を具体的に取るとき、年休の回数の範囲内で、使用者に休暇の始めと終わりを特定して事前に申告すれば、有給で休むことができる。ですから、使用者が、教職員に、年休の理由を述べさせたり、使用者の承認を得なければ休ませないとすることはできない。ただし,その日に休まれるとどうしても業務上支障があるという場合は、双方の話し合いで決める必要がある。

◆パートの年休の扱いは?

勤務日数と年休日数とのバランスがとれるように、パートに対しては年休の比例付与の制度が設けられている。1週間の勤務日数が5日以上(35時間以上、1年間の勤務日数が217目以上)であれば正社員と同じ扱いになる。また、1週間の勤務日数が4日以下(1年間で216日以下)の場合の年休は、下表のとおりである。


一週間の労働日数
1年間の労働日数
勤続年数

6ケ月
1年6ヶ月
2年6ヶ月
3年6ヶ月
4年6ヶ月
5年6ヶ月
4日
169〜216日





10
3日
121〜168日






2日
73〜120日






1日
48〜72日