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北陸大学教職員組合ニュース272(2008.6.27発行)



他大学並みの待遇を!!


組合員の指摘

 523日、2008年度第1回団交が開かれました。今回は、執行委員だけではなく、一組合員が参加し、経営側に北陸大学の現状の問題点を鋭く指摘し、改善を強く訴えました。

 給与に関しては、学会で出会った同級生から次のように言われた経験が披露されました。「これほど長く大学に勤めて、これだけしかもらえないのか、余程、仕事ができないか、過ちを犯したか、どちらなのか」。この組合員の指摘はさらに続きました。「全国平均並みの給与を出すべき」であり、「よし頑張ろう、という気になれる給与を支給すべきである」「給与体系がバラバラである」「薬学部では、(平成16年度から)530名もの学生が入ってきた。在学学生数は開学以来の最多で、その分学納金が増えたにも関わらず、教員にその実感が全くわかない」「教員が辞めても人員の補充がなく、その分、過重労働を強いられている」。

中労委での和解にもかかわらず3人の薬学部教員が外されていることや、採用から日が浅い教員が授業を担当していないことに関し、「ここ23年多くの学生が入り、授業コマ数が増えているのに、何も担当させてもいない教員がいる。全くやっていられない。(昇給が全くなく)年間800円の年齢給のみの上乗せではひどすぎる」「せめて他大学並みに支給するべきである」と発言しました。


人件費比率:全国平均を10%以上も下回る

団体交渉では、理事会は一貫して財政状態は「良好」であると主張しています。これは裁判でも同様です。2人の教授の解雇理由の説明に際して、「本件解雇について、財務状況の悪化を理由としているものではない」(理事会側『答弁書』平成20215日、33頁)と述べています。それもそのはず、理事会側は、経営の「良好」さを隠せないのです。第1に、北陸大学の人件費比率が全国平均を10%以上も下回り、第2に、定員超過率も、創立以来23年を除いて、一貫して1.0を上回っているからです。


組合:人件費比率がなぜ低いのか、理由を説明して欲しい

経営:突然低い、と言われても・・・前もって言ってくれればいいのに(松村常務)

組合:突然ではない。1ヶ月前に提出した2008425日の「2008年度組合要求事項」に書いてある。(該当箇所を読み上げる)今日は、その回答をして頂く日である。


組合は、「2008年度組合要求事項」(後掲別紙)で、給与の低さを次のように述べ、引き上げを要求しています。「人件費が帰属収入に占める比率でも、全国平均は平成18年度が52.0%であり、この10年間殆ど変化がない。ところが北陸大学の理事会は、平成13年度以来それを大きく下回る45%という数字を、組合に対して何ら合理的根拠を示すことなく設定し、一方的に人件費を抑制してきた。・・・平成17年度は、36.5%であった」。人件費比率の顕著な低下は、現行給与表の職能給の凍結の結果であり、平成13年以来年齢給のみの適用が7年間も継続している。そこで、その累積した未達成要求額を根拠として、あまりにも低水準の待遇を他大学並に近づけるために「給与を平均10%以上引き上げることを要求する」。

今回のみならず、組合は常に人件費比率の低さを一貫して問題にしてきました。にも関わらず、「突然低い、と言われても」などという言説が出ること自体、理事長から全権を委譲されているはずの松村常務が、いかに当事者能力を有していないかを示しています。

経営側は、これだけ低い人件費比率を資料に基づいて説明したことは、ただの一度もありません。経営側が資料に基づく回答をして、初めて団交の第一歩、すなわち交渉、協議が開始されます。私たちは、組合員、非組合員の声に基づいて、今後も断固として10%以上も低い人件費比率の説明を求めていきます。


経営側の無責任:全員一致協力を、しかし、排除

現状(薬学部教育)が、「緊急事態」と認識せず

組合は、中労委での和解条項を経営側が遵守するよう求め、条項に沿って薬学部3人に科目を担当させるよう今回も主張しました。


経営:薬学部卒業生の国家試験合格順位を挙げるためには、全員一致協力しなければならない。

組合:ならば、今こそ、3人の教員に科目を担当させ、全員一致で力を合わせる時だ。なぜ、担当させないのか。中労委和解では「研究業績を待つことなく」、「可及的速やかな時期に」科目が担当できることになっている。

経営:和解条項に沿ってやっている。「可及的速やかに」という通りに。

組合:「可及的速やかに」とは、薬学部の緊急事態にあっては、今こそ「速やかに」担当させるときを意味するのではないのか。

経営:緊急というのは、教育が差し迫った状態のことだ。

組合:ということは、薬学部の現状は、差し迫ってはいないという認識か?

経営:「・・・」

組合:重ねて尋ねるが、今が緊急だという意識を持っていないのですね。

経営:「・・・」


薬学部の入学生が定員を大きく割り(入学生215/定員306人)、さらに北陸大学薬学部史上最大数の560人の学生の卒業と国試受験を来年に控えた今日、教育は「差し迫った状態」にあり、「緊急」事態だからこそ、教員を排除するのではなく、「全員一致協力」する必要があるのではないのか。今回の団交で示された経営側の認識は、現場教員の実感とはかけ離れており、和解成立後も、6年制薬学部の科目担当から3教員の排除を継続する方針に固執する姿勢のみが顕著であった。経営のこの認識不足はまた、過重労働のなかで、一人でも多く合格させようとする教員側の努力に水を差すものである。



以下は、組合への投書です。4月に寄稿されたものですが、前号に掲載の投書と同様に、大幅に遅れてしまったことをお詫びします。


薬剤師国家試験の合格率は67.7%で38私学中37位、低迷の原因は何処にあったのか。

卒業の認定を厳しくして精鋭を受験させている大学が多いと言われる中で、本学は4年制卒業者を対象とする国試が経過措置を経て廃止されることを背景に、「国試受験の機会を増やす」ことを理由にして卒業認定の基準を緩めた。この方針は「トップ」が予め合格率の低下を容認した事実上の「トップダウン」であった。この措置で卒業できたことを喜んでいる学生は多いが、その多くが国試に落ちた。果たしてこの措置は「親切」だったのか。それだけではない、この「親切な方針」があるものと受け止める在学生への悪影響は計り知れないであろう。

国試の受験機会を増やすという発想は、落ちる可能性の高い学生であることを自覚した上での判断である。これまでは合格する力があることを前提にしてきたのに、何故今回から落ちることを前提にするようになったのか。言わずもがな、大幅定員増+定員オーバーで力不足の学生を大量に抱え込んだからではないか。では何故、そこまでして学生を入れたのか。外国語学部・法学部の縮小による授業料収入の減少を補う意図があったのであろうか。しかし、減収を補うだけであれば、薬学部の授業料は外・法より高いので、必要最小限の定員増でも良かった。理系の定員を増やすことは困難であることを知らないはずはないであろうに、人数を減らすことなく薬学部の定員に180名をそっくり組み入れたのだから、収入増を狙ったと見られても仕方がない。実際、収入は増えた。それで何が変わったか。教員の報酬はこの数年間、大幅に減少している。組合ニュースで既報のように人件費比率は大幅に下がったのである。大学の基本金は大幅に増えた。目に見えるところでは、理事長の公用車が高級になり給与も上がったらしい。結局、大学は、目先は儲かったことになる。

来年の合格率の予想は悲観的である。現4年生が今春卒業生より頑張ったとしても、560余名をも教員がどこまで押し上げられるのか、一方で、サポートしなければならない既卒の未合格者は200人を超える。60%を切りかねないだろう。国試の実績が志願者に直結するというのが大方の見方である。学生を増やせば国試合格率が下がることは当たり前の話であるにもかかわらず、それを承知で金儲けに走り、挙げ句の果てには「国試受験の機会を増やす」という親切ごかしで学生を放り出すのが本学の特性であることも知れ渡った。そうなるとこれまでの実績も反古同然、来年の入学者は50%割れを覚悟しなければならない。破局は急激に襲う。

今我々は何をしなければならないか。一刻も早い本学のイメージの刷新である。新生北陸大学を世間に印象づけなければ全てを失う。理事の総退陣、入試の正常化と授業料の低減に、直ちに取組まねばならない。



(別紙)

平成20425


2008年度組合要求事項

1 団体交渉について

(1)資料の提示

組合は理事会に財務資料など、賃金等の交渉を進める上で必要不可欠な種々の資料の提示を要求してきたが、理事会はこれまで資料の提示には極めて不十分な対応しかしてこなかった。要求された資料に対しては、誠実に準備し、組合に提示することを要求する。とりわけ賃金交渉に必要な財務資料については、可及的速やかに組合に提供することを要求する(財務資料の詳細については第3項「財務情報の公開について」に記載)。

(2)団体交渉による妥結と懸案事項の早期決着

労働案件は大学法人の一方的な通告ではなく、大学法人側の交渉参加者に決定権を委任し、団体交渉によって解決することを求める。

この数年間の給与交渉において、理事会は給与改定案を提示することなく、年度末の時間切れによって年令給のみの給与改定を一方的に実施することを繰り返してきた。平成20年度の給与交渉は、遅くとも夏季賞与以前に妥結できるよう、誠実に団交を行うことを要求する。

(3)団体交渉の手続き

組合の団体交渉開催要求に対して、理事会は数回にわたる督促にもかかわらず実施までに2ヶ月以上を要したこともあった。また団交実施の口頭回答の2日、3日後に実施日を提案し、開催通知、議題は団交当日に提示することが多い。平成20年度の給与交渉については、組合の実施日提案期間内に、そして少なくとも1週間の余裕をもって団交の実施日、議題の通知を行うことを要求する。

(4)北元理事長の団体交渉出席

これまで、組合は何度も北元理事長の出席を求めたが、組合結成以来、理事長は一度も団交に出ていない。北元理事長は、学校法人北陸大学の代表権者として、団交に出席することを要求する。


2 給与・賞与・手当などについて

本学の帰属収支差額比率[(帰属収入−消費支出)/帰属収入。自己資金の充実度、経営の余裕度を示す]は、医歯系法人を除く大学法人の平成18年度全国平均の8.0%を大きく上回る13.0%であった。それ以前は実に20%前後の高水準を重ねてきた。一方、人件費が総帰属収入に占める比率でも、全国平均は平成18年度が52.0%であり、この十数年間殆ど変化がない。ところが、北陸大学の理事会は、平成13年度以来それを大きく下回る45%という数字を、組合に対して何ら合理的根拠を示すことなく設定し、 一方的に人件費を抑制してきた。 しかも実態は、 ここ5年の平均で40%前後であり、 平成17年度では36.5%、平成18年度は39.7%であった。

昨年12月に組合が実施した本学の給与に関する調査からも、以下の特徴が明らかになっている。

1.給与水準が10年前より相当低い水準になっている。

2.55歳で給与は頭打ちになる。

3.職位・年齢がほぼ同じ階層でも、給与にばらつき・格差がある(しかも、最高額
でも10年前の全国水準より低い)。

4.従って、給与表(職能給)の運用は極めて恣意的であり、信頼性にかける。

それゆえ、以下の要求に応じることを求める。

1)給与改定

@ 給与を平均10%以上引き上げることを要求する。

2)賞与

@ 一律年間6か月分の支給を要求する。現行の人事考課に基づく3月支給を廃止

して、夏季賞与として6月に一律2.5か月分、年末賞与として12月に一律3.5

か月分を支給することを要求する。

A 学部、センター間の格差を撤廃すること。

B 賞与支給式を行わないこと。

C 賞与は現金手渡しではなく、給与同様銀行振込とすること。

3)住居手当

廃止には反対する。


3 財務情報の公開について

 現在の経理公開は、『With』誌上に、三表が大項目のみ公開されるだけで、極めて不十分なものであった。また、「財産目録等閲覧規程」は、教職員組合としての閲覧とその給与交渉への反映を実質的に妨げるものである。 組合は、経理公開を義務付ける私立学校法第47条に基づき、以下のことを要求する。

1)平成16723日に出された文部科学省高等教育局私学部長による通達(16
科第304号)を遵守し、そこに示された様式に則り、下記の財務資料を組合に提
供すること。

@平成15年度から18年度の消費収支計算書、資金収支計算書、貸借対照表およ
びそれぞれに附属する内訳表・明細表

(平成19年度分については、決算終了次第直ちに提供すること。)

A上記と同年度分の財産目録、事業報告書、監査報告書

2)評議員会に出された平成20年度の予算書を提示すること。

3)本学教員の年齢と年収額の平均を示す資料を提示すること。

4)給与支給の偏差実態を示す資料を提示すること。


4 大学運営における組合員の排除について

1)中労委における和解を遵守すること。

2)組合員の授業担当をはずすことをやめること。

3)担任制において、組合員の排除をやめること。

4)ドイツ語、その他の外国語科目を復活させること。

5)学内の各種委員会等からの組合員排除をやめること。


5 週休2日制と休日出勤の日当支給について

法人理事会は、平成1078日に組合と交わした確認書で「平成1041日以降は土曜、日曜週休二日制とする」としている。一方、学生募集活動の強化、年間250日授業の実施などに伴い、教職員の休日出勤が増加しているが、休日出勤の代休をとることは、週日の過密な教育スケジュールの中では、事実上、不可能な状況である。組合は法人理事会が今後も上記確認書の内容を継続遵守し、労働環境の改善をはかることを要求する。

1)休日の出勤に対しては、その都度、正当な手当てを支給すること。

2)職員の残業を減らし、サービス残業を完全になくすこと。


6 組合活動の自由の保障

1)学内に組合事務所の貸与をすること。

2)学内に組合の掲示板を設けること。 以上