北陸大学教職員組合ニュース258(2007.11.22発行)



−今年度第2回団体交渉速報:給与・賞与交渉−


理事会、年末賞与具体案提示せず

本格交渉は11月末以降

組合は夏季賞与時の学長通達に強く遺憾表明


 1115日に今年度第2回団体交渉が開催された。この団交は形の上では3回目であるが、実質第1回である。教職員組合は、410日に第1回団交を申し入れ、給与および賞与等に関する要求事項を提出した。周知のように、この団交が開催されたのは、夏季賞与支が給された後であり、しかも、労務担当理事は欠席であった。当然、要求事項に対する回答は皆無であった。もう一つの団交は、410日付石川県労働委員会の命令履行だけを要求した緊急団交であった。この時理事会は、話し合い解決はまったく念頭になく、頑なに中労委へ再審査を申し立てた。今回の団交は、実に628日に申し入れた第2回団交である。組合は、催促書、再催促書、再々催促書と3回催促した。口頭による催促は7回に及ぶ。1019日には金沢地方裁判所へ、これまで3年間の実質団交拒否に対して、賞与分に関わる損害賠償請求を提訴した。

 交渉は、年末賞与支給も近づいたことから、賞与交渉が中心であった。組合側は、先ずそれと関連して、今年度の入試志願者状況の説明を求めた。説明によれば、前年比で薬学部の落ち込みが激しかった。組合側はその原因の分析と責任の所在について説明を求めた。理事会側の説明は、終始、薬系学部増と少子化、6年制による薬学志願者減という、全国一般情勢の説明であった。組合側が投げかけた、「全国高校指定校」制の影響については、学内でまったく検討評価された形跡が見られず、何故かそれに触れることはタブーの印象であった。組合側は、全国情勢はわかりきったことであるから、そのような状況下での経営責任を問題にしたが、理事会側は、経営責任については全否定であった。組合側は、経営者が負うべき責任を賃金に関わるところで働く側に転化することはやめてほしい、と主張した。

 賞与そのものについては、組合の要求は4月であったが、理事会は、この時期になっても具体的案を提示できなかった。具体的提示がなければ交渉にならないので、組合は、せめて大枠の方針があるのかどうか質した。具体的には、この大枠もしくは方針に関して夏季賞与支給時の学長通達を問題にした。そこでは、このような支給は今回が最後、と書かれていたからである。その真意は何か、組合は不本意であったが業績評価による支給も受け入れ、今は一律支給ではない。3月を入れて年3回支給というこれまでの大枠の変更はあるのか、という組合側の質問に対し、理事会側は業績評価などについて種々言及したが、結局「もう1回確認して返事する」とし、明確な回答はなかった。組合側は、学長が、賞与支給について組合と相談なしに一方的に宣言したことに対し、強く遺憾の意を表明し、11月中の賞与交渉を要求した。理事会側は、(支給を)公務員より早くと考えている、と表明するとともに、11月末までに賞与交渉できるように努力することを約束した。

理事長の昇給に関する事実確認を拒否

 給与交渉では、最初に前回団交の時の質問に対する回答を求めた。理事長の昇給に対する質問である。組合は、前回、理事会で検討して回答するように要求した(「組合ニュース」251号)。理事会側の返事は、「前回も噂とか、伝聞とか言われたが、ここでは答えられないと答えた。今日も同じ」、あるいは「誰がということではなくて上げたり下げたりすることはあるが、固有名詞は答える必要がない」というものであった。しかし、「噂」とか「伝聞」は言葉の綾に過ぎない。組合側は、「大学で働いている職員、特に理事は私的な事業で生活しているわけではない。公益法人だ。文科省から補助金を得て、税も優遇されている。極端に言えば1円たりとも私物化できない。6年間も職員の給与は据え置かれている(実際は賞与が減少した分、減収になっている)、厳しい状況は皆同じだ。その中で自分だけを上げた、ということは事実かどうか尋ねた」と迫った。この事実確認の背後には大学経営に対する不信がある。大学運営の公正さが問題なのだ。理事会はこの問題の重要性を認識していないかのように見える。団交で事実確認できないなら、理事長本人に質問しなければならない。

給与に関しては、組合側は『月報私学』(日本私立学校振興・共済事業団発行)及び『With』のデータを基に、重要な経営指標である「帰属収入収支比率」を基準に見ると、本学の財務状況は全国水準より遙かに良好であること、それにもかかわらず「人件費比率」は低く、給与も他大学と比べてかなり低いことを主張し、改めて今年度は現行規程による昇給を要求した。理事会側は、地域性や経営指標の読み方に言及しながら、とりあえず財務細目の開示の仕方を工夫する必要があると認めたが、昇給そのものについては具体的交渉に入ろうとしなかった。

成果型賃金制度を示唆

 ところで、給与に関して、理事会はここ数年新しい給与体系を構築するとして交渉を先延ばししてきた。約1年前、1020日の第5回団交で、理事会側は「給与制度改革の概要」というA4判一枚の紙片を出してきた。そこでは本俸と諸手当を合体させた「職位責任給与」という考え方が提示されたが、その後、具体案が出てくることはなかった。今回の団交で理事会は「責任等級制度(案)」という、やはりA4判一枚の紙片を提出した。「『年功型』から『成果と仕事型』を評価した責任等級制度」と銘打たれた案では、賃金制度は、事務職員をT(局長・本部長)〜Y(一般職)等級、教員をT(助手)〜X(教授)等級に区分し、「等級別に賃金の上限を設け、ある一定賃金水準で昇給スピードが徐々に減速し、一定レベル以上の評価が得られない教職員は、昇給がストップ体系」と示されている。その運用は「職員の昇給は半期ごとの人事考課に基づいた昇給とし、教員の昇給については別途検討」というものである。

 時間の関係で、この案の説明を聞くことはできなかったが、この案が実施されれば、給与に関して大きな格差が生じることは必至と予想される。それも、上述のように公正さに不審がもたれている状況においてである。教育・研究のような目に見えない部分の大きな仕事は、本来、計量的な評価にはなじまない。組合は、今年度については現行規程による昇給を要求する方針であるが、今後、組合員並びに非組合員の皆さんに、自らの賃金体系の本質的且つ重大な変更について真剣に考え、団結して組合とともにあるべき賃金制度を要求するように要請したい。

(近日中に給与に関する意識調査や現行水準の調査を行う予定です。)


祝!! 富山国際大学に教職員組合が結成されました。