北陸大学教職員組合ニュース252(2007.8.9発行)



中労委、6年制薬学部担当を前提に和解を勧告

 87日、大学法人からの再審査申立を受けて、第1回の中労委調査が開催されました。公益委員、労働者側、使用者側各参与委員、及び申立人、被申立人双方から代理人、補佐人が出席しました。芝増上寺近く、共立薬科大に隣接する労働委員会会館6階において、午後2時から5時過ぎまで、途中、片方ずつに対する審問を挟みながら約3時間の調査でした。

 この日の調査に先立ち、大学法人からは県労委命令に対する「不服理由補充書」1通が、教職員組合からは準備書面1通及び陳述書6通が提出されました。石川県労働委員会の認定は明確な「不当労働行為」でしたが、今回主張された大学法人の不服理由は、新たな証拠の提出もなく、概ね、県労委の段階で組合側により確実な証拠をもって反論された主張の繰り返しでしかありませんでした。しかし、如何にレトリックを駆使して、県労委が判断した組合員外しと「組合嫌悪」の関連を否定し、本人の業績や資質の問題にすり替えようとしても、判定基準とその運用の公正さを、証拠をもって論証できない以上、県労委の認定を覆すことはできないのは自明です。

 出席者の確認のあと、始めに法人側に対する審問があり、ついで組合側に対する審問がありました。組合側に対する審問では、いきなり3人の当事者それぞれに質問がありました。その内容からは、中労委の各委員が、書類提出から調査日まで極めて短期間でしたが、大量の提出書類を実に丹念に読み込んでくれたことが窺えました。組合としては心強い限りです。組合側代理人は、当事者の教員生命上の損失及び出張経費の関係から再審査の短期終結と県労委命令の履行勧告を求めました。

 双方の審問を終えた後、この日の結論が申し渡されました。次回の調査日には、3名の6年制薬学部担当を前提に協議する、それが不調の場合は、双方から申請された証人に対する尋問を行う、というものでした。これは、組合が主張する佐倉教授、荒川、田端講師の6年制薬学部担当と佐倉教授、荒川講師の大学院担当を前提とした和解の勧告です。組合は、大学法人がこの勧告を誠実に受け止め、石労委の認定と命令を尊重する結論に至ることを望むものです。


私大教連、北陸大学事件に関し全面的に支援

 日本私立大学教職員組合連合(私大教連)は、加盟169単組、組合員数約2万人の全国組織です。北陸大学教職員組合も、ほぼ結成と同時に加盟しています。早稲田、慶應等の有名大学の教職組のみならず、中部地区では名城大、愛知大、中京大など、25私大の教職員組合が加盟しています。私大教連は、21世紀に入り、少子化と大学の規制緩和等により私立大学の経営環境が混迷状態に陥る中、その役割と存在感をますます増しています。

 北陸大学事件(不当労働行為)に関しては、当初から私大教連書記局の懇切な支援をいただいていました。不当労働行為事件代理人弁護士との打ち合わせ、「田村・ライヒェルトを支援する会」の立ち上げ等、ほとんど毎回のように東京から書記局員が派遣され、各種調査への協力や適切なアドバイスをしてくれています。

 今回は、右ページに貼り付けた「私大教連NEWS LETTER」の記事のように、北陸大学理事会宛て不当労働行為中止要請を全国の加盟校に呼びかけてくれました。私たちは、全国の加盟校および会員に見守られながら、北陸大学法人の不当労働行為に対してねばり強く闘っていきたいと思います。


大学法人、給与改定交渉をさらに先送り

 教職員組合は、賞与支給日に開催された第1回団交後、628日に第2回団交を申し入れました。前号(「組合ニュース」252号)で報告したように、今年度第1回団交では組合からの要求事項は何一つ回答を得られなかっただけでなく、賞与に関しては、交渉前に支給するという、完全な団交および組合無視だったからです。給与交渉に関しても、ここ数年、大学法人は交渉の意思をまったく見せていません。第2回団交も、申し入れ以来再三の催促にもかかわらず、88日現在、大学業務多忙を理由に応じる気配がありません。

 北陸大の給与は年齢給と職能給に分けられていますが、職能給の昇給は平成13年度以来6年にわたってストップしたままです。年齢給は少額(1865歳平均約2400円)ですから、実質昇給(ベースアップではない)は交渉によるしかないのです。組合は、『WITH』で示された大枠の財務状況から妥当な数字を控えめに算出して要求しました。決して無理な要求をしているわけではありません。しかし、法人は、交渉に必要な説明資料すら提供せず、ここ数年は、給与規程全面改革を理由にしてまったく実質交渉に応じていません。そうした中、理事長を含む一部の昇給に関する情報が流布しました。事実であれば背信行為です。しかし、この件に関しても、組合の質問に対し、法人は回答および説明責任を回避し続けています。給与交渉を実質拒否されては、組合の存在理由はありません。組合は、中労委への準備書面において不誠実な団体交渉の実状を訴えました。組合は、今年度交渉は現行規程に基づく改定を要求していますが、今後も公的機関への提訴を繰り返すなど、あらゆる手段で給与・賞与交渉と昇給を実現したいと思っています。皆さまのご協力をお願いします。


組合創立記念パーティー開催

 恒例の創立パーティーが、83日、KKRホテル金沢で開催された。参加者は約30名と例年より少なかったが、来賓の土屋元執行委員長始め歴代の委員長から、現在闘われている不当労働行為事件と解雇事件に対する勝利確実の見通しと、力強い励ましのことばを賜った。会場では、和気藹々の雰囲気の中にも、北陸大学の将来のために組合の存在意義と重要性が再確認された。