北陸大学教職員組合ニュース251(2007.7.3発行)



今年度第1回団交報告

 組合が410日に要求していた「第1回団交」が、622日にやっと実現した。団交における交渉事項は、3月の組合総会で決定した年次要求事項、給与改定及び賞与等(『組合ニュース245号』)についてと、解雇撤回及び石川県労働委員会からの命令履行についてであった。給与改定及び賞与については、6月に入ると時間が切迫するので、早くから何度も開催を促していた。しかし、賞与に関しては、今年度は、前年度までよりもさらに組合を無視する支給方式となった。前号でお知らせしたように、団交予定日の前日に突如翌日の支給が通知され、当日、団交開始時間前に支給された。大多数の教職員はその日の朝に通知書を見る、という慌ただしいものだった。給与に関しては、法人側は、この時期になっても、まだ交渉のための準備が整わないとの言い訳に終始した。


(夏季賞与)

理事会側団交代表者、交渉前賞与支給に「お詫び」

組合は検証を要求

 団交では、まず、何故このような異例の事態になったのか、何故組合の交渉要求を無視することになったのか、説明を求めた。

 理事会側団交代表者から、最初に、「昨日のような事態になったことは、私どもとしては誠に遺憾に思う」との「お詫び」が言われた。この「お詫び」は、その後、次のような議論で、団交代表者により理事会を代表する発言と確認された。

組合側:理事の個人的な気持ちを訊いているのではない。「抗議書」は理事長及び理事会宛てに出した。

法人側:昨日のことに関して、今日はたまたま代表だからそうなっているが、その立場で言っている。

組合側:理事会の代表ですね。個人で感想を言っているのではないですね。

法人側:代表して言っている。

 しかし、何故組合無視の事態になったかについては、明確な回答は得られなかった。問答形式で議論を再現する。

法人側:(支給は)昨日決めた、それまで、伝えられるような具体案が煮詰まっていなかった。

組合側:(賞与は)年中行事だ。支給日の前の日に煮詰まるとは、まともな経営感覚ではない。毎年この時期に賞与を支給しているが、それを決めるプロセスの中に、組合に説明するということは入っていないのか?交渉する意思はないと、始めから決めていたのか?

  法人側:そういうことはない、結果的に昨日の今日で、そういうことになった。

 組合側は、プロセスに入っていたのなら、どうして今回のような事態になったのか、今後の交渉のために今回の検証を求めた。

法人側:紙に落とした計画というよりは、当然交渉しながら、決定する前には交渉、相談しなければならない、という前提でものを考えて作業してきた。

組合側:交渉のプロセスに入っていたと言っているが、全然そういう様子はなかった。誠実な交渉の意思があるとするなら、今回どうしてこんな風に遅れたか、検証してその結果を文書で知らせて頂きたい。

 この件については、法人側は報告書を出すように努力することを明言した。

 組合側は、法人側の意図に反したとの経過に関する説明を受けて、今回の前年比0.2月分減額について説明を求め、再交渉することを要求した。法人側の回答は、「賞与の交渉はこれで終わりということはないと思う、これから先私どもは誠実に交渉していくつもりだ」、しかし、「夏はこれでお願いしたい、と思っている」とのことだった。このところの法人側の決まったパターンは、大学環境の変化を語り、今は財政状態は悪くないが、将来は安泰なわけではない、と漠然と前置きし、「定員」、「教育目標」、「成果」などの抽象語を列挙することである。組合側は、それを金額で説明するとどうなるのか、財政上の数字に落として説明することと、それに基づいて交渉することを重ねて要求した。

 

学長、一方的な賞与廃止?宣言

 一方、河島学長は賞与支給に際し、全教職員に宛てた学長通達を配付した。その通達で、学長は、団交における法人側発言とまったく異なった意味で、今回の支給が「適切ではなかった」と言明した。今回の支給は、「特段の成果」を反映したものではなかったから、という意味であった。その上、「特段の成果」のない支給は、今回を最後とする覚悟であり、賞与は「賞め称えるという意味におけるものにしたい」と宣言した。この宣言は、「北陸大学運営規程」で定められた学長の任務を逸脱し、しかも、労使交渉をまったく無視している。学長は、いつから給与関係の、それも治外法権的担当理事になったのか?今回の学長通達は、労働組合法が指示する、交渉を基調とする健全な労使関係上問題である。

 賞与については、給与交渉同様、法人理事会はここ数年曖昧、且つ組合無視の態度をとり続けている。平成16年に就業規則及び給与規程の改正案が配付され、ここで賞与の位置づけが一方的に変更された。賞与は給与の一部ではない、という位置づけである。この一方的変更(給与規程からの削除)に対し、組合は団交の席上問題点を指摘し、『組合ニュース』で、労働基準法第11条「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他の名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」を引用し、給与も賞与も賃金であると主張した(『組合ニュース』219号、220号)。これに対し、法人はまったく取り合わなかったが、しかし、奇妙なことに、この案の正式決定は未だに通知されず、規程集にも収録されずに放置されている。施行日付の入っていない配付案がHUNETの「事務」のサイトに掲載されているだけである。その後、組合は年次要求事項として賞与の他大学並み支給を要求しているが、毎回お知らせしているように、支給額に関しても、位置づけに関しても、実質交渉はまったくなされたことがない。誠実交渉義務違反を繰り返し、挙げ句の果てに、今回の団交当日の強行支給に加えて、この学長宣言である。明らかな不当労働行為である。このまま交渉もなく宣言通りに実行しようとするなら、給与交渉における交渉先送りと合わせて、組合としては労働委員会への提訴を検討しなければならない。


(給与改定)

給与交渉、相変わらず先延ばし

理事長の昇給に関する事実確認は給与交渉の前提

 給与交渉に関する法人側の態度は、特に平成15年度の交渉から不誠実さが顕著になった。平成15年度給与改定の理事会案提示が遅れた理由説明として、その年度末になって新しい給与制度に言及したが、この給与制度の改革がその後の実質交渉回避(5年間昇給凍結)の言い訳に使われた。(『組合ニュース』208号、211号他)。以来3年余、平成19年度の給与改定交渉に至っても、「まだ案を作っている段階、遅れ遅れになっていることは申し訳ない」というばかりである。

 それより先、平成13年には、法人は組合の要求に対し、「今後の人件費については、帰属収入に対する人件費比率の上限を45%に設定し、健全な財政を将来にわたって維持していくことを基本とする」と文書回答をした(『組合ニュース171号』)。このことは、全私大の人件費比率がほぼ50%である中で、本学の特殊性を強調して、45%までは健全ラインと宣言したことを意味する。しかし、その後、何度も『組合ニュース』は伝えているが、平成17年までの5年間の人件費比率は39.8%であった。自ら宣言した健全ラインとの開きは5.2%(絶対額約3億円)であり、全国平均との開きは平成17年度で14.8%である(『組合ニュース』245号他)。この間、東海地区私立大学(私大教連加盟)の標準賃金とは、昇給分だけで月額約5万円(本俸ベース)の差になった(『組合ニュース』248号)。昨年4月には、薬学部助手の一部に対する昇給実施があったが、この件に関しては、組合に対する通告も、組合の質問に対する文書回答もなく、詳細は不明である。

 ところが、このような賞与と給与を巡る情勢のときに、組合は今春、確かな筋の情報として、理事長の報酬アップがあったという情報を入手した。その情報は一般にも流布していた。組合側は、二つの理由から理事長の昇給について事実確認を求めた。一つは、過去5年間に及ぶ実質昇給凍結を考慮すれば、理事長の報酬アップは昇給交渉の重要な前提であるからである。というのは、給与交渉では人件費比率が一つの目安、昇給要求の要因であり、計算の基になる人件費には法人役員報酬も含まれている。もう一つは、もし事実とすれば、大学を取り巻く環境の変化と将来の大学財政不安を理由に(団交その他での説明)、財政に余裕がありながら5年間昇給を抑えてきた決定権者自らが、自分だけ昇給させたことになり、道義的に疑問だからである。組合はこの情報に重大な関心を持っている。事実か否か、事実ならば、その理由が説明されなければならない。

 法人理事会側の回答は、伝聞を理由に、一貫して「ここでは答えられない」、あるいは「答える必要はない」というだけで、否定はなかった。前回の「緊急団交」において、松村常務理事は、別件であったが、「仄聞」による質問は取り消して頂きたいとしながらも、質問の内容についてはきっぱりと否定した。それと比べると、今回の回答にははっきり違いが見られた。事実確認については明確な回答が得られなかったので、組合は、理事会で検討して回答するように要求した。

 給与改定そのものについては、組合は、制度改定の見通しがまだ立っていないなら、現行規程で昇給交渉をするように要求した。要求昇給率は10%であるが、これは現行職能給表でもできる。しかし、法人側の回答は、タイムリミットがあることは認めながらも、「今年度については新しいもので行くのか、旧のもので行くのかはこの場で答えというのは、無責任ですが…」というものであった。組合は、この件でも、次回の交渉を早期に開催することを要求した。(628日に、711日から13日までの間の開催を文書で申し入れた。)


(不当労働行為、及び解雇撤回)

 不当労働行為、及び解雇問題については、学生や志願者募集への影響を考え、組合は、公的機関の訴えとは別に、団体交渉においても解決の糸口を見出そうとした。法人側は、方針に「変化がない」と言うだけで、交渉による学内解決に対する意欲は見られなかった。


中労委報告1

 薬学部における不当労働行為は、法人側の再審査申立により、舞台を中央労働委員会に移されたが、その第1回の調査日が、8月7日に決まった。それに先立ち、中労委は大学法人に対し、法律に従って、中労委の決定が出るまでは、県労委の命令は有効だから、命令を履行しなければならない、従って、履行状況を報告するように、と法人、組合双方に指示が出された。法人からどのような報告がされたのか、組合は情報を入手していないが、法人は未だに命令を履行していない。また、法人の再審査申立の理由書は、中労委の指定期日よりも遅れて提出された。


「支援する会」報告1

 3月に申し立てた地位保全の仮処分は、これまで3回の審尋を経て、720日に最終審尋が行われる予定です。決定は、それから1〜2ヶ月は要するというのが代理人の予測です。当事者二人は、様々な不安にもめげず、元気にこれまでの仕事を継続する傍ら、自らの陳述書を書き、代理人が執筆する準備書面の作成に協力しています。

 「田村・ライヒェルトを支援する会」は、6月に入ってから募金活動を始めましたが、6月末現在で、多くの方から、ご寄付がありました。最近の状況により送金等の取り扱いが厳格になり、ご不自由をおかけしています。さしあたり、名案もありませんが、できるだけ多くの方のご支援をお願いしたいと思います。特に、組合員の方のご支援を期待しています。ご面倒でも下記の方法、または、ご都合の良い方法でご寄付をお願い致します。


応募方法:  下の郵便振替口座にお振込み下さい。

  口座番号: 00740-8-57417  加入者名: 田村・ライヒェルトを支援する会

  その際,振替用紙の通信欄に次の事項をお書き下さい。

  (1)氏名,(2)氏名公開の可否,(3)住所, (4)メールアドレス

  (5)支払い項目の分類(年会費[1,000,寄付,年会費と寄付

  寄付は1口を5,000円とします

 本会のメールアドレスにご連絡いただければ郵便振替用紙をお送りします。