北陸大学教職員組合ニュース 245 (2007.3.30発行)
2006年度定期総会報告
新執行部や活動方針を決定
T 定期総会概要
教職員組合定期総会は、2007年3月22日に開催された。今年度の総会は、薬学部における組合員排除、太陽が丘キャンパスでの解雇通知だけでなく、突然降ってわいた教育職員任用基準に基づく理事・学長面接など、ますます管理強化される中での開催であった。議長と記録者選出のあと、今年度の活動報告と収支決算報告があり、続いて新執行委員選出や活動方針採択などの議事に入った。
選出された2007年度執行委員は次の方々である。
委員長* 林 敬 (* 書記長となっていましたので,後日訂正しました.)
副委員長 佐倉直樹 木津治久
書記長 田村光彰
会計 松原京子
執行委員 荒川 靖 岡崎和子 田端淑矩 三国千秋
会計監査 桐山典城
新執行委員長挨拶のあと、2007年度活動方針と大学法人に対する要求事項が新委員長から提案され、満場一致で採択された。さらに、組合規約の改正が審議され、定期総会時期と会計年度の改正が承認された。改正点は、組合活動の実状に合わせて、現行規約の会計年度10月1日から9月30日までを4月1日から3月31日までに変更し、それに伴い定期総会期日を3月中の開催としたことである。この改正により、2007年度の収支予算は時限的に2006年10月1日から2008年3月31日までの1年半の期間で提案され、承認された。
U 活動報告
前年度の活動報告は、石川県労働委員会に申し立てた事件と、解雇問題に関する団交でのせめぎ合いの経過説明にほとんどの時間が割かれた。特に解雇問題では、@1年前に8名に対し平成19年度から担当する授業がないことを理由に整理解雇を予告して、自主退職を迫り、昨年12月になって4名に対して初めて退職条件を示し3月31日の退職を勧告し、A今年2月に2名に対して就業規則の整理解雇条項に基づく解雇通知を発したこと、しかし、数回の団交で、@解雇の理由とされた「担当授業がなくなる」ということについては、解雇を避けようとすれば、カリキュラムは追加変更できる、教員の業績から見て、現状でも担当できる授業は存在すること、A整理解雇4条件については、実際の学生数の推移から見ても、大学の財政状態に問題はなく、経営上は整理解雇に該当しないなど、4条件のどの項目も充たしていない、などが明らかになったこと、Bそれに対し、大学法人から明確な回答あるいは説明がなされなかったことが、団交ごとの質疑の様子を交えながら詳細に報告された。さらに、一覧表にまとめた資料により、教員配置基準等の後出しの変遷も時系列に沿って説明され、上記問題に対する大学法人の対応がいかに不誠実であったかが報告された。
給与関係では、交渉のための財務資料提示がないので昇給要求の根拠は人件費比率ということになるが、過去5年間の人件費比率は全国平均(50%)に比べて本学(40%)は著しく低いことが、私立学校振興・共済事業団のデータと『With』のデータから説明された。特に、本学の平成17年度人件費比率は36.5%であったが、しかし、大学法人は数年前から給与制度改定を示唆し、一貫して組合要求(3%昇給)に応じず、平成18年度も年齢給のみの昇給(一般職及び教育職平均で0.5%昇給)にとどまったことが報告された。
解雇差し止め訴訟を全面支援
V 活動方針
下記のような方針が採択された。
1 教職員組合は学内民主化、即ち正常な大学運営による、教育・研究環境の改善と生活の向上を運動の目的としてきた。前年度発生した組合員教員個人に対する理不尽な処遇は、このような組合に対する攻撃と受け止めて、
(1)解雇通知を出された2組合員について地位保全の仮処分の申立と解雇差し止めの本訴を全面的に支援する。
(2)薬学部における不当労働行為・支配介入に対しても継続して闘う。
(3)設立が予想される「2教員の訴訟を支援する会」に全面的に協力する。
2 給与制度改革と昇給について
平成13年度から6年間、年齢給だけの昇給となっている。団交での説明では、事務職と教育職を平均して0.5%昇給である。組合は例年3%の昇給を要求したが、まったく実現しなかった。隔たりがあまりにも大きい。来年度から実施予定と予告された給与制度改革を機に、人件費比率45%までの昇給を要求する。ちなみに、私立学校振興・共済事業団発表の医・歯学系を除く大学の全国平均は、過去10年以上50%台から52%台を推移している。賞与については公平な支給基準と運用を要求する。
3 組合活動の再構築
ここ数年の幹部組合員に対する攻撃と教員管理の強化により、組合活動に一部で萎縮傾向が見られる。しかし、一方で、大学の現状は無責任なリーダーシップにより、かえって研究教育に専念できる環境が破壊され、以前にも増して組合の存在が重要になってきた。それゆえ、おかしいことをおかしいと言い、北陸大学の研究と教育を向上させるためには、改めて教職員の連帯を強める必要がある。そこで
(1)被解雇通知者支援活動と不当労働行為に対する闘いを拡げることによって、組合活動の新たな担い手を増員する。
(2)闘争資金確保と組合の体力強化の意味でも組合費の納入を促進する。
大学法人は人件費を抑制しすぎている
W 2007年度要求事項
経理公開など団交に必要な資料の提示や給与改定などで組合は無理な要求はまったくなかった。それにもかかわらず、前年度までの諸要求で実現したものは一つもない。しかも、県労働委員会から提出を要求されると、例えば、6年制薬学部や新学部の人事関係基準のように後出しで出してきたりする。したがって、資料提示など前年度の要求をほぼ踏襲して要求する。
しかし、過去6年間年齢給以外の昇給が凍結されている給与の改定に関してだけは、総会での審議の結果、前年までの3%昇給でなく、給与制度改編にかかわらず10%以上の昇給を要求することとした。要求の根拠は以下の通り。
(1)『With』に掲載された大項目だけの収支資料で見ても、大学法人が上限としてきた人件費比率45%に対し、平成13年から平成17年まで5年間の人件費比率の平均は39.8%であり、5.2%開きがあった。(この開きを埋める昇給を要求する。)
(2)帰属収入の5年間の年平均は62億8140万円であり、過去5年間の人件費の年平均は24億9920万円である。したがって、
帰属収入平均 × 45% = 現行人件費平均 ×(1+妥当な昇給率)
から、妥当な昇給率は13.1%となる。
なお、前述のように、人件費比率の全国平均は平成17年度で51.3%である。
さらに、帰属収支差額比率(帰属収入から消費支出を差し引いた帰属収支差額の帰属収入に対する割合)について見てみると、本学では過去5年間19.6%から23.4%までであり、全国平均の9.1%から12.3%までを大きく上回る。最新データの平成17年度については、全国平均9.6%に対し本学は20.1%であった。
また、本学は320数億円(平成17年3月)という学生数に比して巨額の自己資金を蓄積していることなど、財政状態の安定ぶりが際だっている。
<採択された主な要求事項>
1 団体交渉について
(1)資料の提示 (2)北元理事長の団体交渉出席 (3) 団体交渉による妥結
2 給与・賞与・手当などについて
(1)給与改定
@平成19年度に予定されている給与制度改正移行時に、給与を平均で旧本俸と扶養手当を合算した額の10%以上引き上げることを要求する。
(2)賞与
@一律年間6か月分の支給を要求する。夏季賞与は6月に一律2.5か月分、冬季賞与は12月に一律 3.5か月分を支給することを要求する。
A学部、センター間の格差を撤廃すること。
B賞与支給式を行わないこと。
C賞与は現金手渡しではなく、給与同様銀行振込とすること。
(3)住居手当 廃止には反対する。
3 経理公開
4 大学運営における組合員の排除について
(1)担任については、組合員の排除をやめること。
(2)組合員の授業担当を外すことをやめること。
(3)組合員である教員が担当していたドイツ語・スペイン語などの外国語科目を復活させること。
(4)学内の各種委員会等からの組合員排除をやめること。
なお、 6年制薬学部からの組合員排除については石川県労働委員会の命令と大学法人の対応を見てから要求すべきことを要求し、解雇については当面法廷決着を全力で支援することとし、今回の年次要求には含めないが、別途要求する。
X 2007年度収支予算
次年度予算編成の特徴は、県労働委員会申立関係弁護士費用と解雇関係訴訟のための多額の支援費用を予算化したことである。そのために、これまで備蓄してきた闘争資金の半分以上を使用することになる。さらに、予想される将来の闘争のための多額の資金が必要になることを理解頂いて、組合費の納入をお願いする(組合は分割納入など柔軟に対応する)。今年度の会計期間は1年半という変則期間となるが、これまでの繰越金があるので、今年度に限れば予算編成に支障はない。
Y その他
組合総会の最後に、その他の議事として、早急に設立が予定されている「2組合員の訴訟を支援する会」を全面的に支援することが改めて提案され、承認された。