北陸大学教職員組合ニュース237号(2006.9.19発行)
法人理事会、団交拒否か?
現在、教職員組合と法人理事会の間には、交渉によって緊急に解決すべき問題として、主要なものが二つ存在しています。一つは、今年度の給与改定、賞与問題であり、もう一つは、今年3月に発生した「雇用関係終了」問題です。これに加えて、薬学部における組合所属教員の6年制薬学部および大学院からの排除、という不当労働行為問題がありますが、既報のように、また裏面の報告のように、石川県労働委員会での調停事項となっています。
給与問題に関しては、法人は組合と協議することなく4月に一部の教員だけ改定を実施した、と組合に伝えてきました。その内容は不明であり、規程上の根拠および事実そのものを秘密にしたままです。給与問題は決して一部教員だけの問題ではありません。組合の改定要求に対し、法人側は第一回団交の席で、給与体系を見直したいと表明したままになっています。既に9月を過ぎている段階に至っても、いまだ改定交渉に応じる姿勢を見せていません。
雇用関係終了問題も同様です。教職員組合は、4月6日に中川幸一専務理事と河島進学長宛に「質問書」を提出し、理不尽な通告に対する説明を求めました。しかし、それに対する回答も、未だに不十分なままです。団交拒否に近い現状をお知らせします。
第3回団交報告 − 学長、「ドタキャン」
第3回団交は8月11日に開催されました。教職員組合は、整理解雇問題と給与改定および賞与に関して交渉に応じるように要求しました。その際、解雇完全撤回と、「質問書」に対する文書回答および学長の出席を要求しました。この開催日は、学長が出席できる日を事前調整した結果、組合は開催日の遅延を容認した上で、合意されたものでした。しかし、団交当日、法人理事会側は、学長がその夜急に「学外の会」に出席を余儀なくされたという理由で、「公務優先」を主張し、お詫びの言葉ではなく、「ひとつよろしくお願いします」と述べて、学長出席取り消しの言い訳を締めくくりました。時間に制約されない文書回答を頑なに拒否し、おまけに団交を「ドタキャン」です。
前回の第2回団交においても、学長出席のために事前調整をしたにもかかわらず、開催冒頭に用事があるからと、1時間の出席に限定しました(既報:『教職員組合ニュース236号』)。「質問書」に対する回答には、そして何故いきなり解雇なのかについて事実確認のためには、学長の責任ある説明が是非とも必要なことです。労務担当理事では回答できないから、第2回と同様に、学長出席のために第3回団交日を調整し、設定したのです。学長自身の欠席に関するメッセージはなく、誠意が感じられず、また代理説明(例えば副学長)要求に対しても、理事会側は拒否しました。これに対して組合は組織としての責任ある対応に欠けると抗議し、当日中に、学長宛「抗議書」を手渡しました。
交渉は、前回団交時に要求した3つの質問に対する回答から、実質協議に入りました。第1質問は、「3年後に科目がなくなる」ことを決めた時期はいつか、ということです。これは、雇用関係終了がいつ決まったのかということを確定する上で重要です。理事会側の回答は、一ヶ月前の第2回団交の席で調べておくと約束した事項です。この質問に絞って要点をピックアップすると以下のような質疑でした。
組合側:お願いしておいた、我々の呼び方では宿題についてお答えを願う。
理事会側:内容を確認させていただきたい。三つあった。一つは3年後に科目がなくなることを決めた理事会の開催時期。二つ目が解雇を決めた理事会の開催時期。三つ目が解雇回避(努力)。
組合側:そうです。
理事会側:科目がなくなるという質問ですが、その前に外・法の廃止というのを決定している。
組合側:それはいつですか?
理事会側:それは14年の12月。
組合側:14年12月は、その決定ではない。14年12月の決定は2学部4学科の募集を停止すると。それは学部の廃止ではない。
理事会側:学部の廃止という意味からすると、その前提が廃止だということで理解していただければよい。
組合側:もう一度戻るが、雇用関係の終了を決めたのは、いつですか?
理事会側:学部廃止を決めたのが平成14年の12月。
(この後、学部廃止およびその時期の説明。質疑かみ合わず)
理事会側:質問の内容ですが、3年後の科目がなくなることを決めた理事会という風な質問だけど、理事会の中では学部学科、外・法がなくなるというのは理事会で決定している。
組合側:それはいつか?
理事会側:それは新学部の設置の届け出の理事会ですね。15年の9月。
組合側:そうすると、3年後に科目がなくなる、つまり雇用関係の終了を決定したのは、平成15年9月であるということですね?
理事会側:雇用関係の終了ということは明快に決めていない。だけど、審議の中で科目がなくなることが明快になっているから、こういった方については18年度で原則終了する、そういう認識で話はしている。
組合側:平成15年の9月に科目がなくなる、こういう教員が出るということは理事会で決めたということまでは確認ですね。ただし、その科目のなくなる教員が雇用関係の終了となるかどうかということは理事会で決めていないと言ったのですね、今?
理事会側:雇用関係の終了は当然話題にして、あるいは当然議事として出ている。
組合側:しかし決めていない。話題に出たが、決めていないということですね?
理事会側:決めてないとは言っていない。そこまで内容は言わないということを今話している。
理事会側は、結局、第一質問事項の3年後の担当科目の終了、それと関連する雇用関係終了の決定時期を明快に説明せず、あるいは質問から一ヶ月以上経つのに説明できず、また、学部廃止の決定時期も説明が混乱しました。
交渉は、しばらく交渉議題にとって本質的でない応酬に時間が費やされ、その後、組合側は、解雇はいつ決めたのか、という次の質問に入りましたが、理事会側は、まだ時間があるのにそれに答えようとせず、「会議の進め方が最初から異常だ」と組合側を非難して、一方的に団交を打ち切りました。
教職員組合は、8月11日の第3回団交後、問題の深刻さを考え、解雇撤回要求を掲げて、翌12日に、第4回団交を8月下旬に開催するよう申し入れました。しかし、開催要求日に1週間の幅を持たせたにも関わらず、回答期限の8月18日を過ぎても回答は得られませんでした。組合はそれ以降、申し入れから1ヶ月が過ぎた9月13日までに、既に、10回におよぶ問い合わせと開催要求をしましたが、法人理事会側の対応は「学長の出席の目処が立たない」、「来週開催できるように調整中」、「開催日をはっきり言えない、努力中」といった返事だけで、一向に応じる気配を見せていません。組合は、学内交渉によって解決に漕ぎつけたいこと、このままでは誠実交渉義務違反に相当することを法人理事会側に強く表明しました。
また、今年度の給与改定、賞与問題については、解雇問題とは別個に団交を開催することも提案しています。
6年制薬学部・大学院担当外し問題−報告3
第
石川県労働委員会:理事会への求釈明は8項目
2回調査日は9月28日
薬学部組合員に対する不当労働行為に係る第1回調査日は8月7日でした。この日、第2回調査日を9月28日とすることと、今後の審問計画が策定されました。石川県労働委員会は法改正に伴い、1年以内の裁定を目標に、審問の迅速化を目指しています。北陸大学事件は最初のケースということで、労働委員会も、モデルケースにしたいという意向を強調していました。
策定された計画によりますと、審問は11月6日に開始されて、毎月1回のペースで審問し、遅くても3月には最終陳述書の提出を求め、4月には裁定を出すという日程です。目下関係組合員は全力で、準備に当たっています。
申立後の進行状況は、法人理事会の答弁書に対して、それに反論する教職員組合側の第1準備書面の提出、労働委員会からの両当事者への求釈明、と進んでいます。労働委員会が求めた釈明事項としては、組合側に対しては@労働組合の支配介入に関して、A不利益取り扱い主張のうち、経済的な不利益の額について、でした。釈明の書類作成にあたり組合側は、賞与給付方式が不透明なので、算定できず、理事会側にそれを明示するように質問しましたが、人事課からは明解な回答を得ることはできませんでした。
一方、労働委員会が理事会側に対して求めた釈明事項は多岐にわたります。
@人事関係規程、人事管理状況、
A財務状況、
B大学の将来構想、未来創造学部、6年制薬学部に係る学部再編関係資料、
C整理解雇との関連で新規採用教員の必要性、
D組合員の解雇、
E組合員加入教員の配置、
F6年制薬学部教員および大学院、センター教員、4年制薬学部教員、担任教員の配置基準、
G上記教員の経済的な収入等の差異の有無、程度
などです。
これらすべては、組合が従来から大学側に説明、公開を要求してきた事項に関わるものです。公的機関の下で、法人理事会が団交で明らかにしようとしなかった不明朗な大学運営の実態が明らかにされるものと考えています。北陸大学を明朗な普通の大学とするための戦いは、これからが本番になります。教職員のみな様のご理解とご支援をお願い致します。
教職員組合結成11周年記念パーティー開催される
組合結成11周年記念パーティーが,8月8日(火)KKRホテル金沢において開催されました。林敬執行委員長の開会の挨拶に始まり,来賓の土屋隆初代執行委員長および越浦良三元学長より激励の言葉をいただきました。また,本年は特別ゲストとして(株)トナミ運輸の串岡弘昭氏,日本私大教連書記局次長の三宅祥隆氏の二名をお招きし,パーティー中に講演を行っていただきました。
串岡氏は法律で禁止されている会社の闇カルテルを内部告発(公益通報)したことで,会社から徹底したハラスメントを受け,それに対したった1人で30年間にわたり闘ってきた方です。金銭で解決しようとする会社や和解勧告を迫る裁判所に対し,貧しさに耐えても正義を貫き,最後まで謝罪を要求した経緯が生々しく語られましたが,まさに現在の北陸大学においてタイムリーな内容でした。一般に企業秘密は守られるべきことではありますが,違法な行為についてはその限りではありません。
三宅氏には労働委員会,執行委員会等にも参加をお願いし,常日頃お世話になっていますが,当日の講演では本学に類似の学園労使紛争ではことごとく労働者側が勝っている事が述べられ,組合員も大いに元気づけられました。
最後に,田村光彰書記長より労働委員会への不当労働行為救済申立てに関する現状報告などの総括があり,パーティーは実りあるものとなりました。
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