北陸大学教職員組合ニュース232号(2006.5.10発行)





新執行部選出される

 北陸大学教職員組合は、4月27日(木)に組合総会を開催しました。活動報告、決算報告、予算案を承認し、新執行部を選出しました。予算案と新委員長挨拶の中で、次年度の方針の大筋が公表されました。選出された執行委員は以下の通りです。近年、職場環境がとみに悪化してきました。改善に向けてご協力をお願い致します。

執行委員長 林  敬

副執行委員長 佐倉直樹、木津治久

書記長 田村光彰

会計 松原京子

執行委員 桐山典城、上森良男、田端淑矩、荒川靖、三国千秋、

ルート・ライヒェルト、アルベルト・カニャス、尾崎徹

会計監査 山本健次





執行委員長就任挨拶 − 組合は大学の良心 −



                    北陸大学教職員組合執行委員長 林  敬

 数えてみましたら、1995年の教職員組合結成以来、今度の委員長は7代目になります。歴代の委員長は皆さんリーダーシップを発揮して教職員組合の柱となってこられましたから、私も7代目の新委員長として抱負を述べなければならないところです。しかし、組合の現状を考えると、残念ながら抱負と言えるようなものはありません。自分の個人的な事情からすれば、本当はお引き受けすべきではないとも考えたのですが、長距離スケートで言う「責任先頭」を果たすという気持ちで引き受けました。正直なところ、何かを達成するというより、存在することに意味がある委員長という風に理解していただきたいと思います。

 存在することに意味があるといえば、そもそも組合自体がそうだと言えるでしょう。独善はいつでも反省しなければいけませんが、私は今や、組合は大学の良心、あるいは良心を守るセーフティネットだと思っています。「改革」はある意味で「永久革命」に似ています。それは一つの理想のラディカルな、原理的に終わりのない追求だと思いますが、そこから人間的なものが常に脱落する危険が潜んでいます。それに対し、組合は共生が原点です。「自然を愛し、生命を尊ぶ」、それは他者を思いやる共生の原理であり、良心の源泉に他なりません。

 とはいえ、この1年は組合の存亡をかけた切実な1年になると覚悟しています。組合の結成から5,6年は、組合は北陸大学を大学らしい大学にするために、民主化・正常化と待遇改善に取り組んできました。例えば、組合が支援した学長・学部長選挙制実現は大学にとっても大きな成果でした。しかし、大学の現状を見ると、結成当時よりはるかに後退してしまいました。今では、教職員組合は、世間一般の労働組合と同じように、賃金交渉と労働強化反対、解雇反対が主要な任務となりました。そして、数年前から予想されたことですが、解雇反対がついに現実の問題として浮上してきました。というのは、3月下旬に大学当局は8人の組合員教員に対し、「雇用関係終了」を予告してきたのです。それゆえ、薬学部における問題、こちらは今の段階では組合員差別という「不当労働行為」ですので、地労委で争うことになると思います。外国語学部・法学部における問題、こちらは解雇問題ですので、学内交渉で解決しなければ、裁判で争うということになると思います。この二つが今年度の最大のテーマです。

 薬学部の問題はすでに組合ニュースでも報じられていますが、今回の外・法学部の解雇問題はそれにもまして、理不尽という他ありません。なぜなら、大学当局は8人の組合員教員に対して、「外国語学部・法学部の担当科目がなくなるので、平成18年度末をもって本学との雇用関係が終了します」と言うだけで、それが解雇を意味するのか、解雇ならば就業規則のどの条項が適用されるのか、どのような回避努力をしたのか等の、当事者の切実な質問に全く答えないからです。合理的な理由があれば、この時代、解雇はある程度仕方のないことかもしれません。しかし、質問に対する回答も、解雇理由の説明もなく、一方的に解雇するとすれば、それは学部閉鎖の責めを大学経営責任者でなく一生懸命努力してきた一教員が理由不明なまま負わされるということになります。いったい、大学当局は何故当事者の人生に関わる質問に答えないのでしょうか?学部閉鎖の責めを何故8人の組合員だけが負わなければならないのでしょうか?

 組合はこれまでよほどのことがない限り、学内交渉での解決を目指してきました。しかし、直接人権に関わる不当労働問題や解雇問題に関しては、大学当局に誠意がなければ、最終的に大学を存立させる社会の道義と法に訴えても闘わざるを得なくなるかもしれません。同時に、この闘いは決して現在当事者になっている人たちだけのための、例外的な闘いではないと思います。組合は、当事者の意思を確認しながら、さしあたり当事者の納得がいく「解決」を得られるように支援しなければならないと思いますが、私は、執行委員長として、正々堂々と大学の良心を問う闘いとして臨みたいと思います。至らないこと、ご迷惑をかけることがあるかと思いますが、各位のご理解とご協力をお願い致します。

 その他、組織維持問題や団交不具合の問題等、基本的な問題、また、組合結成当時の認識からすれば到底容認できないような教学運営問題も山積していると思いますが、特に、前述した任務の残り二つ、最近差別昇級があったようですが、賃金交渉と授業担当偏向・格差の問題も労働組合の立場から日常の問題として地道に取り上げていかなければならないと思います。ただし、前のテーマにも共通するのですが、いたずらに対決するのではなく、相互に良識を重んじ、問題解決のために大学当局に公正と誠実な交渉姿勢を望みたいと思います。

 最後にもう一つ、私たちが良心の誇りをもって進めてきたこれまでの組合運動を風化させないために、これまでのこと、運動に託した様々な思い等を『10年史』という形できちんとした記録にとどめておきたいと思います。皆さんの力で自分たちの『10年史』を刊行したいと思いますので、こちらの方もご協力よろしくお願い致します。

 以上、いつの日か曙光が射してくることを願いつつ、就任の挨拶と致します。





経営側:「雇用関係終了」を予告



 法人理事会は3月下旬に8名の組合員教員を呼び出し、「雇用関係終了」を予告しました。この予告は深刻な内容にもかかわらず不明確さがつきまとっています。組合はこの件に関する事実確認と根拠について質問をしましたが、回答はまったくありませんでした。日頃学長は式典ごとに学生に対して「他人の痛みのわかる人間」になるように訓辞します。その学長がリーダーシップをとる大学で、このように人間の運命をもてあそぶことが許されるでしょうか?

 この問題はいずれ訴訟に進展することが予想されます。北陸大学の将来のために、組合員のみならず、非組合員の皆さまにもご理解とご協力をお願いします。



法人に対する質問書







北陸大学教職組発162

                               200646

学校法人北陸大学

中川幸一 専務理事 殿

河島 進 学長 殿



                           北陸大学教職員組合

                           執行委員長 佐倉 直樹





質 問 書



 平成18年3月17日から27日にかけて、当組合調査では教育能力開発センター所属の北陸大学教職員組合員8名が貴職により個別に学長室へ呼び出されました。席上、1名は中川専務理事より雇用条件の不利益変更を再確認する「通告書」を手渡されましたが、これに関しては先の「通告書」に対する当事者回答の主張を再度主張します。残りの7名は中川専務理事より口頭で、外国語学部および法学部閉鎖にともない授業担当科目がなくなるので、平成18年度末日(平成19年3月31日)をもって本学との雇用関係が終了する旨告げられました。当組合はこの事態を黙過できませんので、新たに7名の件に関して基本的な事実確認をしたく、また「雇用関係終了」の予告を受けた組合員の素朴な疑問にお答えいただきたく、以下の4項目の質問をします。



1 河島学長は外国学部教授会や法学部教授会で、平成16年度以降の教員配置表や当該センター委員会規程案を示しながら、当該センターが全学の教育に関わる組織であり、所属教員も学部教員と区別なく全学の教育に関わる旨のことを説明されました。また、平成1814日付『平成18年度の学長方針と具体策』の教育能力開発センターに関する項(課題3)では、「外国語学部及び法学部教育の完結と併せて、これらの学部のみの担当教員の未来創造学部への移動などの活性化を含む処遇措置の実行」と、センターに関する「新たな教員組織の構築と補充・充実」が言及されています。これらのことと「授業担当科目がなくなるので雇用関係が終了する」という予告は矛盾するのではありませんか?



2 未来創造学部の学士の称号は学科によりそれぞれ文学士と法学士でありますから、当該学部は外国語学部および法学部を引き継ぐ学部であると思われます。開設科目に関しても、名称の違いはあっても外国語学部および法学部とほぼ同じ内容の授業科目が少なくありません。現に教育能力開発センター所属の多くの教員が外国語学部あるいは法学部における実績に基づいて未来創造学部の授業科目を担当しています。さらに、各学部合同の授業も実施されています。従って、外国語学部および法学部閉鎖による当該学部の担当授業科目がなくなることは、教育能力開発センター所属教員の北陸大学における授業担当科目がなくなることと決して同義ではありません。そこで質問ですが、1)今回の件の教員が、現状で担当しうる科目が存在する人も含めて未来創造学部あるいは薬学部の授業担当から外される根拠は何ですか? 2)当該教員を現に未来創造学部あるいは薬学部の授業を担当している教育能力開発センター所属教員と区別する根拠は何ですか? 3)実績と資質を備えた当該教員の教育能力を生かすために、理事会はいかなる努力をしましたか?



3 中川専務理事から「雇用関係が終了する」旨予告された当人たちのうち、誰も学部閉鎖により自動的に雇用関係が終了する旨の取り決めを結んだことはありません。また、学部閉鎖により一部の者だけが自然的に雇用関係が終了することはあり得ません。従って、「雇用関係が終了する」とは解雇を意味するのですか?



4 雇用関係終了を予告された各人の採用時の了解では「学校法人北陸大学就業規則」記載の退職事由以外の退職(雇用関係の終了)は考えられないところですが、「授業担当科目がなくなるので雇用関係が終了する」という場合、その根拠として「学校法人北陸大学就業規則」のどの条項が適用されるのですか?それ以外の場合はいかなる雇用契約に基づく雇用関係が終了するのですか?



 当然のことながら、学部閉鎖は大学法人理事会の責任です。それゆえ、何故一部の教員だけがその責めを負わなければないのか理解できません。「雇用関係が終了する」旨予告された教員は、ほとんどの者が学部開設期あるいはそれ以前から、人生の重要な時期を長年にわたって北陸大学の教育に献身してきました。口頭だけの一方的な「授業がなくなるので雇用関係が終了する」旨の予告は理不尽と言わざるを得ません。当事者は多大な困惑と深刻な精神的苦痛を感じています。以上4点について平成18年4月13日までに文書にて誠実な回答をお願いします。

                                    以上