北陸大学教職員組合ニュース228号(2005.07.14発行)




雇用条件の一方的変更に対して、弁護士より河島学長に文書を送付

 平成1766日に河島学長が組合員の教員に対して一方的に雇用条件を変更して、条件が達成されない場合「雇用契約を終了」との文言を含む通告書を出すという事件が発生しました。この通告書の内容は雇用条件に関わることでありながら、本人の了承を全く得ておらず、また、変更内容についても学長は「交渉の余地はない」としています。これは雇用契約の精神を無視した、前近代的な非常識なものであり、執行委員会は当該組合員と相談の上、代理人の弁護士から河島学長に文書を出してもらいました。また、この件は団交事項として組合を窓口として交渉する旨、第2回団体交渉の場で法人に伝えました.

 法人理事会による不当な差別行為、ハラスメントについては、すぐに執行委員にお知らせください。





「北陸大学財産目録等閲覧規程」は文科省への挑戦!


 昨年、私立学校法が改正され、学校法人は財産目録等の書類を作成し、事務所に置くだけでなく、請求があった場合には閲覧に供することも義務付けられるようになりました。

以下が、その該当箇所です。

(財産目録等の備付け及び閲覧)

47条 学校法人は、毎会計年度終了後2月以内に財産目録、貸借対照表、収支計算書及び事業報告書を作成しなければならない。

  1. 学校法人は、前項の書類及び第37条第3項第3号の監査報告書(66号第4号において「財産目録等」という。)を各事務所に備えて置き、当該学校法人の設置する私立学校に在学する者その他の利害関係人から請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならない。

 これを受けて、北陸大学でも「学校法人北陸大学財産目録等閲覧規程」が作られ、平成1761日から施行されました。しかし、この規程は、情報開示を促進するという私立学校法改正の精神に真っ向から反する非常識な内容となっています。

 まず、教職員が財産目録等を見ようとすると、就労中の閲覧を禁じ、かつ昼休み時間帯を閲覧時間から外している(第5条)ために休暇を取る以外に閲覧は不可能です。また、申請に対して閲覧日時も大学側が指定します(第8条)。このように閲覧自体をしにくくしていることがこの規程の特徴です。それだけでなく、この規程では閲覧に関しての禁止事項が次から次へと列挙されています。すなわち、「禁止行為」として第9条で5項目、「閲覧の停止又は禁止」が第10条で5項目、「閲覧の拒絶」が第11条で5項目もあり、さらに、それらの項目に違反した場合の「違反に対する措置」という条項が第12条にあり、処罰を示唆しています。 

 文科省は、平成16723日に出した文部科学事務次官通知(16文科高第305号)において、財務情報の公開については「今回の改正は、学校法人が公共性の高い法人としての説明責任を果たし、関係者の理解と協力を一層得られるようにしていく」ためのものであるとしています。また、「学内広報やインターネット等の活用」も強く勧めており、大学に公共性にふさわしい情報開示を求めています。

しかるに、「学校法人北陸大学財産目録等閲覧規程」は、禁止や制限ばかりの条項で、「関係者の理解と協力を一層得られる」ことを目的としているとは全く言えませんし、「公共性の高い法人として説明責任を果たそう」としているものとも受け取れません。閲覧をしにくくしているだけでなく、閲覧しても、その場でしか見られないようにして詳細に調べることを極めて困難にしているのです。コピーも禁止されています。規程の禁止事項の中には「閲覧した者は、閲覧内容を他に漏らしてはならない」という条項があり、内容をじっくりと時間をかけて検討し、議論し合う自由さえ許さないようになっています。つまるところ、この閲覧規程は、真に大学の経営状態について知らしめて理解をしてもらうための規程ではなく、閲覧させているという事実を示すためのアリバイ工作規程と言われかねないものです。そもそも「学校法人北陸大学財産目録等閲覧規程」の第3条第4項に「財産目録等の閲覧内容についての説明は行わない」とあり、最初から、説明責任を果たそうとするどころか、拒否の姿勢が明文化されているのです。

 文科省は、大学の財政について「説明責任を果たすように」と指導しているのに対し、北陸大学理事会は、開示のための規程に「説明は行わない」という条項をわざわざ作る――これはかつて、理事会が文科省から行政指導を受けた時に、「行政指導には従わなくても良い」という趣旨の文言を大学の広報誌に掲載した時の態度を思い出させます。傲慢かつ破廉恥です。

 このように文科省の指導に真っ向から反し、情報開示社会の流れにも逆行するような規程を作って恥じることを知らぬ理事会――このような理事会が果たして、各大学がしのぎを削ってサバイバルを図る時代に正しく大学の舵を取っていくことができるのか、答えは火を見るより明らかです。