北陸大学教職員組合ニュース227号(2005.07.12発行)
給与改定交渉に法人側は一切資料を提示せず
平成17年度第1回団体交渉報告
5月18日に平成17年度の第1回団体交渉が行われました。今回、組合側は、今年度の要求事項に対して文書回答を求め、そこから様々な要求項目の交渉に入る予定で団交を要求しましたが、法人側は、「文書回答だけが誠実な交渉」ではないとして文書回答を拒否しました。組合側は、文書回答があってこそ、そこから本格的な交渉が始まるのだとして、誠実な対応を法人側に改めて要求しました。
今回、法人側は団交の議題として、二つの議題を出してきました。一つは給与改定、もう一つは特別休暇についてです。給与改定については、「年令給のみ改定する。一律の給与改定は今年が最後で、来年度は違った給与体系としたい」という発言がありましたが、資料の類は一切示されず、法人側に交渉しようとする意思は全く見られませんでした。組合側は、資料を提示して、再提案をするよう要求して、給与改定交渉についてはすぐ打ち切りました。
特別休暇については、夏休みは昨年同様、3日間に有給休暇を2日間加えて8月の3週間の間の任意の時期を休みとしてもらうという説明がありました。年末年始は12月29日から1月3日まで、という説明でした。組合側は夏休みについてはせめて5日間として、有給休暇を出さなくても良いようにすること、また、年末年始も最低1週間程度はあってしかるべきだということを主張しましたが、この件も法人側には全く交渉の意思は見られず、交渉にはなりませんでした。
今回の団体交渉中に、職場環境が悪化していることを、組合側は話題としました。それに対して松村労務担当理事からは、「職場環境が悪化しているという認識はない」という回答があり、この2年間で30名近い教員が退職していることについて意見を求めると同理事からは「先生方それぞれの事情で辞めていくのであり、職場環境が悪化しているからではない」という、全く現実を無視した見解が披露されました。
平成17年度第2回団体交渉報告
7月5日18時から平成17年度の第2回団体交渉が行われました。実は、この団交は5月24日に申し込んでありました。しかし、こちらからの催促を何度も理事会は無視して、賞与支給の直前まで団交を開きませんでした。実質的には組合との交渉なしで賞与を支給するという、例年どおりの卑劣なやり方を理事会は今年も踏襲しました。
今回の賞与交渉では、今までとは違う重要な点がありました。それは私立学校法が改正され、財務資料の開示が義務付けられたことです。それは6月1日までに行われねばなりません。ですから、組合は、法人理事会が法を遵守して当然団交に財務資料を出すだろうと考えていました。しかし、残念ながら期待は見事に裏切られました。
以下、概要です。
○賞与・財政資料開示について
組合:資料はこれだけしかないのか。学生一人当たりの教職員数、学生数の推移、帰属収入の推移、そして薬学部の全国での設置状況――これでは全く交渉にならないではないか。財務に関する資料は、平成16年度の帰属収入が64億8300万円、平成17年度の予算が62億9100万円という数字だけだ。これだけで賞与交渉などやれるわけがない。冗談ではない。財務資料を出してほしい。
法人:今年、私立学校法により北陸大学も新しく、財産目録等開示についての規程を作ったので、組合だけ特別扱いして団交に財務資料を出すわけにはいかない。規程に縛られているから出せない。
組合:財産目録の規程では、経理に関する説明は一切行わないということを、わざわざ規定として入れているが、公開して説明責任を果たすというのが大学の義務ではないか。
法人:説明というと、きりがなくなるからやらない。近隣の大学でもやってない。
組合:公明正大な経理公開をやって、学生の授業料や国からの補助金が、真に学生のために使われていることを示すのが経営者ではないのか。その方が学生募集にも好影響を与えるだろう。金の使い方がはっきりしないような大学に学生は来ない。新しいことは何でも率先してやるのが北陸大学なのだからこのことでも先鞭をつけたらいいだろう。
法人:そのような観点では財務資料の開示は考えていない。
組合:今年の賞与は昨年並みとはどういうことか。なぜその提案を文書で出さないのか。
法人:文書はない。昨年と同じということだ。
組合:根拠は?
法人:昨年と同じということだ。
組合:既に支給は昨年より2週間遅れているが、要するにもう計算や検討が面倒になって昨年並みという決定にしただけではないか。
法人:そんなことはない。きちんと検討した。
組合:それなら、なぜ数字をきちんと挙げて説明しないのか。なぜ昨年並みなのかの数的根拠は全く説明されていない。また、学部間の格差をなぜ今年も続けるのか。なぜ薬学部だけ支給率が高くなるのか。
法人:大学への貢献度が格段に大きい。国家試験に向けて仕事の量が多い。
組合:貢献度と言うなら、他の学部やセンター所属で薬学部の授業も持っている先生もいる。差をつける根拠にならない。仕事の量にしても、新学部でも昨年と比べてかなりのはずだ。
法人:それは業績評価に反映させる。
組合:それはまた別の話だ。根本のところでの差別はおかしい。要するに、そういうところをきちんと検討しないで「昨年並み」などという提案は不真面目も甚だしい。説明責任を全く果たしていない。
結局、団交の翌日、組合が要求書を出して、ようやく理事会から以下の回答書が出されました。
平成17年7月6日 北陸大学教職員組合 執行委員長 佐倉 直樹殿 学校法人 北陸大学 労務担当理事 松村幸男
回 答 書
平成17年度賞与について、下記のとおり回答します。
記
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〔参考(昨年度の支給基準)〕 ○ 教育職員 夏季賞与 年末賞与 業績評価 年 間 平 均 薬学部 1.8ヶ月 1.9ヶ月 0〜2.0ヶ月 3.7〜5.7ヶ月 4.7ヶ月
夏季賞与 年末賞与 業績評価 年 間 平 均 未来創造学部 1.6ヶ月 1.7ヶ月 0〜2.0ヶ月 3.3〜5.3ヶ月 4.3ヶ月 教育能力開発 センター 留学生別科 国際交流 センター 情報センター
○ 一般職員 夏季賞与 年末賞与 年 間 平 均 1.0〜3.0ヶ月 1.5〜3.5ヶ月 2.5〜6.5ヶ月 4.5ヶ月 (考課:0~2.0ヶ月)(考課:0〜2.0ヶ月)(考課:0〜4.0ヶ月) 以上 |
**3月18日に抜き打ちで支給された10万円については、第1回、第2回の団交で問題にしました。しかし、法人理事会側は「賞与であるが給与でもある。また、そのどちらでもないという性格もあり、決めがたい。こちらで支給が妥当と判断したので出した。正しかったかどうかは分からないが、組合と協議する必要はないと考えた。1年間の頑張りに報い、4月から一丸となって頑張ってもらうために支給した」という、極めておざなりな説明しかしませんでした。また、 3月に退職した教職員に対して支給しなかったのは、4月からいないのだから当然である、という見解も示されました。これに対して組合側は、差別支給に抗議するとともに、給与・賞与に関する事項は、組合との交渉事項であることを改めて主張し、理事会に法の遵守を求めましたが、松村労務担当理事は取り合いませんでした。
***現在、太陽が丘キャンパスで、河島学長・中川専務理事等が組合員教員を呼び出して行っている面談は、「話し合い」に名を借りたハラスメントであり、法に禁じられた支配介入に当たるので即座に中止するよう求めました。