北陸大学教職員組合ニュース224号(2005.03.24発行)
学長・理事長、
組合との同意を一方的に反故にして賞与支給式強要
賞与支給式が強要された。それも極めて拙劣なやり方によって。そもそも通知が出されたのは3月17日、動員をかけられた日は3月18日であった。つまり前日の午後に翌日の午前中に集まるようにという通知を出している。常識はずれである。通知には、学長名で、賞与の支給を行うと同時に「教育改革」についての「通達」を行うので「フォーマルな」服装で全員が出席するようにとあった。
賞与の支給式は行わないということは組合と法人理事会との間に合意があったが、今回は賞与の支給に際して「教育改革」についての「通達」がある、とのことであり、さらに全教員の出席を理事長ではなく学長が求めていたから、ほとんどの教員は学生との予定を変更したりして出席した。場所は一番広い講義室であった。
太陽が丘キャンパスの賞与支給では、賞与が1人ひとりに渡されたあと、河島学長から「教育改革」についての話があった。要するに新年度から250日間授業を行うから従えという話であった。教育について中味のある話は何もなかったが、メッセージだけははっきりしていた。大学運営はいわゆる「トップダウン」で行い、決定に従わない者は許さないということである。学長は、そのことだけははっきりと伝えるために豊臣秀吉と徳川家康の抗争の狭間で滅ぼされた大名をあげ、「気に入らないことでも決まったらプライドを捨てて従わないとそういうことになる」と言って話を終えた。ところが話はそれで終わりではなかった。学長は話を終えると「では、理事長が皆さんにお会いしたがっていますので6階に上ってください」。
学長の通知には理事長による式など一言もない。実に卑劣なやり方だったので当然抗議の声が上った。しかし、学長は「そこを曲げてお願いします」とまったく意に介さなかった。プライドなど捨てた、実に見事な対応だった。また、「フォーマルな」服装を要求された意味もそこでやっと明らかとなった。理事長のためだったのである。
騙し討ちである。
6階の儀式用の部屋で、理事長が開口一番に言ったことは「この中で、謙虚ですなおでなく、ここにいることに疑念を持つ者は出て行ってほしい」ということであった。組合の元執行委員長、現書記長から手続きに問題があることを指摘されると理事長は怒り出し、二人の発言を封じようとした。理事長が団交に出席して組合と話し合いをするよう求めた書記長に対しては「ここは教育の場だ。出て行け」と罵声が浴びせられ、書記長は退出することとなった。その後、本来なら組合と交渉をした上で一律金あるいは一時金として支給されるべきものが金一封として理事長から渡された。
状況は深刻である。特に今回の件については経営陣の正気を疑わざるを得ない。学長・理事長ともにルールなど何とも思っていないとしか思われない。法の遵守――労働組合の尊重は法が義務付けている――もどうでもいいことである。教職員の気持ちも、自分たちが経営者の側だから踏みにじってかまわないと心得ているのではないか。
現在の北陸大学の運営方法はまさに「トップダウン」である。しかし、その方式を取って事を決めて実行するとき、いったい、どのような理由でそうなるのかを明快なことばでトップは下の者に説明をする義務がある。トップにふさわしい叡智と見識を示して納得させなければならない。納得なしに業務の遂行がうまく行くはずがない。ましてや、組合との同意事項を反故にしたり、まったく常識では考えられないような250日の授業体制を大学で実施するという場合、なぜそれが必要なのかを理を尽くして説くべきである。しかるに、学長は説明責任を果たす気は一切見られないし、教学の代表者としての「プライド」もまったく感じられない。今回の件にもはっきりとあらわれているように、要するに、学長は理事長の取り次ぎ役以外の何者でもない。そして北元理事長に至っては、相手の発言すら許さない。たしか、卒業式の理事長告辞では「自分の意見だけを正しいと思わずにすなおに人の意見を聞くように」と卒業生に説いていたはずである。病は重い。
ルール無視の運営が行われ、理事会は教職員の意見に耳を傾けようともしない。そのような大学でいい教育の生まれようはずがない。いい教育がなければ学生は来ない。本当に必要なのは教育改革ではなく理事会の体質改革である。
上記関連の理事長・学長宛要求書を後掲しました。
3月25日に組合定期総会が開かれます。 時間:18:30から 場所:202PN ご出席をお願いします。
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北陸大学教職組発第149号
2005年3月23日
学校法人北陸大学
理事長 北元 喜朗殿
学長 河島 進殿
北陸大学教職員組合
執行委員長 佐倉 直樹
要 求 書
賞与支給については、支給式を行わないことが北陸大学教職員組合と法人理事会の間に合意として成立しています。しかるに、平成17年3月18日に、その同意は完全に反故にされました。賞与支給式は強行・強要され、組合と法人理事会との信頼関係は大きく傷つけられました。私たちはこのような蛮行を認めることはできません。
さらに、北元理事長は太陽が丘キャンパスの教員のための式の場において、あたかも教育の場に組合はあってはならないかのような言動をしました。私たちはこのことを看過するわけにはいきません。
「一丸となって」大学の危機的状況を乗り切らねばならないというのが北元理事長・河島学長の平生からの主張です。それなら、なぜ、このような、組合との信頼関係を破壊し、教職員の意欲をつぶすような行為を行うのでしょうか。北陸大学最大の組織である教職員組合を否定するというのは、いかなる理由によるのでしょうか。ぜひとも明らかにしていただかねばなりません。
私たちが現在要求している団体交渉(北陸大学教職組発第147号、148号)に即座に応じ、その席上、理事長・学長が自ら今回の件について説明をするよう要求するものです。 以上