北陸大学教職員組合ニュース220号(2004.10.20発行)


学生募集の成功は内部改革から――法人は組合員排除をやめよ


 学生募集が行われている。職員は全国に散らばって高校の前でチラシを配っている。教員もチラシ配布にかり出されている。また、なぜか教員のことがほとんど出ていない、北陸大学のPR誌『Joinus!』も全国の書店に置かせてもらうために教職員が東奔西走している。そのため事務局はいつ行っても人が少ない。学生に対して十分な対応は本当にできているのか。

 チラシやPR誌の配布が学生募集にどれほど有効か、いろいろ議論のあるところだが、学生募集で一番重要なのは内部固めである。充実したカリキュラムで充実した教育が行われ、学生が充実した学生生活を送れるようにしなければならない。在学生が北陸大学で充実した生活を送っているという気持ちがあれば、それは家族へ、高校の教員、後輩へと伝わっていく。また、卒業してからも当然人に勧めることができる。

 しかるに現状はどうか。薬学部ではきちんとした受け皿を作らずに、520名もの1年生を入れ、太陽が丘キャンパスでは組合員の教員を極力排除した授業編成の影響で、ゼミをはじめとして重要科目が穴だらけである。全く見知らぬ学生を担任として多数預けられた教員は、学習報告書を書くのに四苦八苦している。そして学生が、このようなばかげた状況になっていることは一番よく知っている。一番迷惑しているからである。

 未来創造学部の学生には、教職課程があり教員免許状が取得できると思って入学してきた者が多数いるのに、大学当局は教職課程の設置を確約していない。1年生に対して、来年からの教職課程の設置はない、という説明をしたきりだ。未来創造学部の学生には、ドイツ語やスペイン語、あるいはフランス語などをやりたいと考えている者が多数いる。それらの言語を教えることのできる教員が現に専任でいるのに授業が開講されていない。当然、学生からは多くの不満が出ている。大学は本当に自分たちのことを考えてくれているのか?学生は大学に多大の不信感を抱いている。

 現在の北陸大学当局のやり方は学生のニーズに全く応えていないのである。「学生一人ひとりを大事にする」大学の実態がこれである。学生が集まるはずがない。何万枚チラシをまこうが、大学として本質的な内部改革を抜きしては、ザルに水の徒労で全くの無駄である。

文科省の監督下にある新学部であっても、本気で取り組めばいくらでもカリキュラムは変えられる。大学は組合員に対する差別を即刻やめ、すぐにカリキュラム改革に取りかかるべきである。



組合三役、理事長に会見を要求


 1015日に平成16年度の第7回団体交渉が行われました。北元理事長・河島学長は今回も団交出席を拒否しました。組合は今回の問題の重要性を考慮し、理事長が三役と会うことを要求しました。

 以下、今回の団交の概要です。

組合:現在法人が提案している改正案「教育成果の達成度、業績及び勤務成績を考課・勘案し、理事長が相当と認めたとき、定期に支給される給料とは別に賞与を支給することができる」という文は、これまでの団交で何度も指摘したとおり、大学の財政とは無関係に個人の評価のみで賞与を支給するという意味でしか読めない。これだと大学がどんなに財政が豊かでも個人の評価が悪いとそちらが判断すれば賞与は出ないことになる。

法人:そんなことはない。その文で言う教育成果の達成度、業績というのは、大学全体の成果や財政状況も含んでいる。二重の意味を持っている。賞与の支給は大学の財政状況も当然考慮に入れて行われる。

組合:それなら、そんな説明しないと分からないような文でなく、なぜもっとはっきりした文にしないのか。現行のほうがはるかにすっきりとして弾力的運用もいくらでもできる。どうしても改正をしたいなら、文をもっと明快にして、分かりやすくするのが当然だ。

法人:持ち帰って検討する。

組合:この場でできないのか。

法人:持ち帰って検討する。

法人:賞与は給与とは違う、昭和22年の法的根拠もある。社会的にも賞与が給与と違うことは認められている。

組合:今までは給与規程に賞与規程も含まれていた。はずすことでどういうメリットが生まれてくるのか。

法人:賞与は給与と違って、業績などに応じて与えられる特別のものだという認識をもっと強く持ってもらえる。

組合:現行規程でも、給与規程の中に、特に項目を立てて賞与の独自性をうたっている。また、就業規則にも賞与を支給することができる、という言い方で賞与の独自性を言っている。給与規程からはずさなくてもそちらの意図は既に十分に実現されている。はずす必然性は全くない。

法人:意識を変えてもらう必要がある。

組合:現在の規程でそのようなことはいくらでもできる。説明でも何でもすればいい。現在の規程で賞与は特別扱いなのだから、何ら、そちらの主張と矛盾しない。賞与を給与規程からはずす合理性はまったくない。

組合:なぜ支給時期を明記しないのか。

法人:明記しなくても従来どおり夏・年末という支給をする。心配しなくていい。

組合:日本の社会は、例えば、ローンなどを組む場合、夏・冬のボーナスを見込んでやることが多い。そのことはどうするのか。

法人:夏・冬、従来どおりだから心配ない。

組合:それなら現行の規程にそうはっきり書かれているのだから、わざわざ支給時期を削除する必要はない。

法人:もっと弾力性を持たせたい。教員の賞与も最後のは3月に出ていることもある。

組合:現行の規程でも、賞与の支給は「原則として夏・年末」としてあり、原則として、とあるのだから3月支給という弾力的運用を可能にしている。今後も、夏と冬に支給するのが原則ならば、現行規程を変える必然性も合理性も全くない。それを敢えて変更して、支給時期について現行よりも弾力性を持たせたいということは、例えば、夏の支給を無くすることも規程上問題なしとするための弾力性としか考えられない。それでも従来どおり、原則、夏・冬で支給するというのであれば、それを明記した労働協約を結びたい。

法人:断わる。約束しているから必要ない。 

組合:従来どおり、日本の社会習慣・慣行を重んじて賞与の支給を行うということか。

法人:そうだ。従来どおりだ。

*法人は約束の文書化を頑なに拒みました。

組合:現行の賞与規程では、「賞与は、原則として本俸、管理職手当および調整手当の月額を基礎」とすると明記されている。なぜ、それを全く削除するのか。

法人:現在の賞与は、本俸、管理職手当、調整手当に加えて扶養手当を入れたのを1か月分として計算して出している。扶養手当が入っているのは組合との協定による。これからも同じようにやっていく予定だ。

組合:同じようにするなら、なぜ規程から削るのか。

法人:その都度交渉でやっていけばいいから、明記する必要はない。

組合:従来どおり、本俸、管理職手当、調整手当、扶養手当の合計を1か月の算出基準としてやっていくと言うのなら、今の規程で十分できるではないか。規程にはちゃんと「原則として」ということばが入っている。いくらでも弾力的運用が可能だ。なぜ規程を削除するのか。全く合理的必然性がない。

法人:その都度団交でやればいい。

組合:従来どおりやるというのなら、それを明記した確認書を交わしたい。

法人:断わる。団交でその都度やればいいことだ。

*ここでも法人は頑なに発言の文書化を拒みました。

組合:今回の給与規程・就業規則の改正案に対して、多くの教職員は多大の不安を抱いている。この大学にいれば、住宅ローンも組めなくなるし、支払いのできなくなる可能性もある。働く者が生活設計に不安を感じるような職場から活力が生まれるはずがない。理事長は、このあたりをよくわかっていないと思われる。直接理事長に組合三役が会って話をしたいので、時間を作ってほしい。1週間以内で会えないか。

法人:そう言われても困る。理事長は多忙だ。しかし、できるだけ早く会えるようにするための努力はする。

組合:早急に会えるようにしてほしい。この改正の件はきわめて重要な問題だ。


以上が給与規程・就業規則の改正についてです。以下はその他の項目です。

組合:分布図は、4か月以上も前から要求し、そちらも出すと言ったのに、なぜ出てこないのか。

法人:今は出せない。1か月待ってほしい。

組合:長期で財政の展望を考えるのにはこれまでの資料があったほうがよく分かる。示してほしい。

法人:給与交渉には必要ない。平成十年度以降は示している。それで十分だ。

組合:いや、出すべきだ。改めて要求する。財政の見通しを考えて人件費は収入の45%とそちらは言っているが、薬学部棟の建替えなどの将来の財政見通しなどの具体的資料を提示してほしい。

法人:来年には、法律の改正もあり事業計画書を出さなくてはいけない。それは皆さんにお見せする。