北陸大学教職員組合ニュース214号(2004.6.30発行)


法人は地労委を経ても態度変わらず:つける薬は?


3回団体交渉報告

 621日に平成16年度第3回団体交渉が行われました。組合側は、賞与の夏季支給のこともあり、611日の段階で団交を申し入れてありましたが、法人側は、賞与支給予定日625日のわずか4日前に団交を設定してきました。

私たちは、611日に、法人側に提出した要求書において、正当な理由を示さずに団交開催を遅延することの不当性を言いましたが、法人側は要求書を提出された直後に、要求に正面から相反する行動をしたわけで、ここには組合と協調して大学運営を行うという姿勢は全く見られません。

 今回、さらにひどいのは、賞与・給与に関する交渉であるにもかかわらず、法人側が、一切の財務資料を提示しなかったことです。しかも、夏季賞与の支給予定日を4日後に控えていながら、支給率の提案すらありませんでした。ただ、「昨年並みを考えている」というだけでした。

 以下、主な項目の概要です。


 611日提出の要求書について

組合:要求書に対しては75日までに文書で誠実に回答することを求める。

法人:すべての項目について答えることは不可能だが考えておく。 


財務資料について

組合:財務三表の大項目のみならず、内訳まで明らかにして、信頼を得る努力をするべきだ。なぜ、内訳まで公開しないのか。

法人:賞与・給与交渉には必要ない。従来以上のものを出す必要はない。

組合:他の私立大学では、大項目、小項目、内訳まできちんと示して、説明会すらやっているところまである。なぜ北陸大学はできないのか。

法人:うちにはうちの特性がある。他とは違う事情がある。 

組合:どのような特性があるのか。

法人:他とは違う。うちにはうちの特性がある。

組合:要するに北陸大学だからできないということか。

法人:・・・・(明確な返事はついになし)

組合:今回の賞与・給与改定交渉ではなぜ財務資料がないのか。資料なしで交渉するつもりか。

法人:実は用意はしてあったのだが、それにまちがいがあることがわかってお渡ししないことにした。(この説明は、団交が始まって1時間半がたち、団交のやり直しをしなければならないことが明確になってからやっと出てきたものです。)


 業績評価について

組合:業績評価については、総括書を出すよう要求しておいたが、どうなっているのか。分布図も出すよう求めたはずだ。

法人:学長に一任してある。たしか、個人にはすでに出したはずだ。中味はタッチしてないから知らない。

組合:項目の平均点や最高最低点など言われても、自分がどのような位置にいるのかわからない。そのような分布図を出すように言ったはずだ。また、業績評価が大学の活性化にどのような影響を及ぼしているのか、その解析をきちんとやるように求めたはずだ。あることを実行したなら、その結果を分析して、これからどうするのか考えるのが当然だ。経営者として当然の責務だ。

法人:学長に伝える。


 結局、法人側は賞与については明快な提案はまったく出さず、2日後の623日、賞与支給予定日の2日前に団交を開くことで、第3回団交は終わりました。



4回団体交渉報告

 平成16年度第4回団体交渉は、全くの不調に終わった第3回を受けて、その2日後の623日に行われました。法人側は、賞与支給予定日の2日前になって、やっと資料を出し、提案を出してきました(別紙裏面参照)。しかし、その資料なるものも、結局、志願者数、学生数、学生充足率、帰属収入の推移を示すものだけでした。昨年までの団交で出されたものより、さらに資料は少なくなっています。実りある協議をするための詳細な資料提示を組合が要求したのに対して、法人側は昨年の交渉時よりも少ない資料の提示、これが地労委あっせん直後の組合への回答であり、団交への姿勢でした。法人側の神経が疑われます。

以下、やり取りの概要です。


帰属収入・人件費について

組合:学生数が昨年より増えているのに平成16年度の予算で帰属収入が減少しているのはどういうわけか。

法人:文科省の補助金が減るからだ。昨年はアルベスなどもあり多かった。予算では収入を厳しく見積もるものだ。

組合:今回の法人の賞与支給・給与改訂の提案だと人件費の総帰属収入に占める割合はどれぐらいなのか。

法人:約42.7%だ。

組合:なぜ42.7%なのか。その根拠は?

法人:薬学部の建物の老朽化がある。新しい建物に金がかかる。そのときに備えてきちんと備蓄が必要だ。

組合: 45%まで出したら、そういう備蓄はできないのか。帰属収入を最も厳しく見積もった上に、人件費を最初から42.7%とすることは、16年度末の決算では人件費比率がそれ以下となることを前提としている訳で納得いかない。

法人:将来、帰属収入が、40億台まで落ちることを予想している。薬学部が6年制になったときには、今の定員は維持できない。備蓄が必要だ。

組合:45%という数字を出したときに、建物の老朽化とか6年制の対応とかを考えて出したはずだ。その合理的根拠を示せないのか。

法人:先を考えて決めたということだ。

組合:45%という数字を出したら、それはそれできちんと人件費に使って、残った分で今そちらが言ったようなことに対応していくのが経営というものではないのか。

法人:我々には責任がある。

組合:42.7%という数字の合理的根拠も示せないということか。

法人:合理的根拠はないと言えばないことになる。


人事考課について

組合:法人の提案では今年は事務職員の人事考課の幅をさらに引き上げるが、その根拠は?

法人:やってきて良かったと思うので、もっとそれを進めたいということだ。

組合:やった結果、大学にとって良かったということを示す客観的データはあるのか。

法人:ない。しかし、感触はいい。

組合:人事考課の結果の分析もしないで感触だけで幅を引き上げるのは論外だ。とても経営とは言えない。しかも、職員の最高は6.5か月分の賞与ということで教員の最高を大きく上回っているが、どういうことか。

法人:教員も人事考課の幅を大きくすればそうなる。

組合:今の業績評価の方法に欠陥があることは学長も認めている。誤差もいくらでも入ってくる。また、授業担当、委員会、担任、入試など、あらゆるところで組合員排除を行っている現状で公正な評価など全く期待できない。そもそも、昨年の業績評価の結果をきちんと解析して、大学の活性化につながったかどうか検証もせずに、業績評価ばかりやりたがるのがおかしい。

法人:もし、薬剤師の国家試験の合格率が下がったら、来年度は教員の賞与を引き下げるつもりだ。

組合:薬学部の大幅学生増は教育効果に障害になることは言うまでもない。あらゆる形で教員が教育をやりにくくなるような状況を作っておいて、とんでもない話だ。

**なお、理事長自らが組合員の担任外しを行った件について団交出席理事たちは知らない、の一点張りでした。

 結局、団交は法人側に誠実に協議をしようという意思がまったく見られなかったた

め、実りあるものとはなりませんでした。平成15年度、16年度の給与改定・賞与については、これからも交渉を続けていくことになります。

 組合は、日本私大教連や弁護士と相談をしながら、現状打開に向けて活動を続けていく予定です。皆様の御支援をお願いいたします。


 なお、平成16年度の給与改定については、組合大会でもお知らせしましたように、法人側は、平成1664日に、以下のような文書(別紙参照)を出しています。これは団交の席上ではなく、三役に対して手渡されたものです。この時も財務資料などの提示は一切ありませんでした。

 また、624日に全教職員に配布された今年度の賞与に関する文書は、全面的に組合を無視した文書でしたので、抗議書を630日に北元理事長に出しました。支給式の強行及び混乱についても抗議しました。それについては次号のニュースでお知らせいたします。



(お断り:以下の法人提示資料の書式は実物と異なっています.)


                       平成1664


北陸大学教職員組合

執行委員長 佐倉 直樹 殿

                   学枚法人   北陸大学 (法人印)

                   労務担当理事 松村幸男


             回答書


   平成16年度給与改訂について、下記のとおり回答します。


              記


   1. 本俸は、年令給分の昇給とする(平均0.51%増).

   2. 諸手当の見直しについて協議する。


                              以 上

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


平成16年度給与改訂


年令給:1歳分


★教育職員

        平均昇給額 平均昇給率

55〜  歳 ………  200円  0.04%

5054歳 ………  700円  0.12%

4549歳 ……… 1,100円  0.24%

4044歳 ……… 3,100円  0.77%

3539歳 ……… 6,000円  1.71%

3034歳 ……… 3,500円  1.25%

  29歳 ……… 3,500円  1.48%

     平 均 1,900円  0.40%


★一般職員

        平均昇給額 平均昇給率

55〜 歳 ………  400円  0.08%

5054歳 ………  700円  0.16%

4549歳 ……… 1,100円  0.28%

4044歳 ……… 3,100円  0.88%

3539歳 ……… 6,000円  1.89%

3034歳 ……… 3,500円  1.40%

  29歳 ……… 3,500円  1.66%

     平 均 2.600円  0.77%


★教育職員・一般職員合計

     平 均 2.100円  0.51%



                         平成16623

北陸大学教職員組合

執行委員長 佐倉直樹 殿

                   学校法人   北陸大学  (法人印)

                   労務担当理事 松村幸男


          平成16年度賞与について


   標記の件について、下記の内容にて協議を申し入れます。


              記


1. 年間の賞与支給月数を平均で4.5カ月とする.

2. 教育職員については、昨年度に引き続き、各学部の志願者数・入学者数・薬学部の定員増等を考慮して学部間格差を設けるとともに、「教員の教育研究業績に関わる評価」をもとにした各 人ごとの業績評価を行う。また、業績評価は3月に実施し、支給は年度末までに行う。

3. 一般職員については、従来の人事考課によるプラス支給分の幅を大きくする。

4. 入学者選抜に係る業務については、業績評価・人事考課の中で評価する。

5. 「特別賞与」は支給しない。


○夏季賞与

 教育職員

  薬学部  1.8カ月  未来創造学部・教育能力開発センター・    1.6カ月

             留学生別科・国際交流センター・情報センター


  一般職員 一律分 1.0カ月、 人事考課分02.0カ月  計1.03.0カ月


  なお、支給日は、625日(金)とする。


○年末賞与

  教育職員

   薬学部 1.9カ月  未来創造学部・教育能力開発センター・   1.7カ月

             留学生別科・国際交流センター・情報センター


  一般職員 一律分 1.5カ月、 人事考課分02.0カ月  計1.53.5カ月


○業績評価による賞与(年度末)

  教育職員

   業績評価分02.0カ月


◎年間合計賞与

 教育職員                一律分  業績評価分   計   

  薬学部                3.7カ月 02.0カ月 3.75.7カ月


  未来創造学部・教育能力開発センター・ 3.3カ月 02.0カ月 3.35.3カ月

  留学生別科・国際交流センター・情報センター


  一般職員               一律分  業績評価分   計   

                     2.5カ月 04.0カ月 2.56.5カ月


(注)1. 月額算定基礎額は、本俸、管理職手当、扶養手当、調整手当(1)の合計額

   2. 夏季賞与においては平成16531日現在、年末賞与においては平成161130日現在、勤続6カ月未満の職員及び学校法人北陸大学給与規程第27条に該当する期間がある職員は、その勤務期間に応じて支給する。


                                   以上