北陸大学教職員組合ニュース213号(2004.6.15発行)

地労委あっせん打ち切り:

  法人理事会の態度に唖然

 68日午後1時から,石川県庁において,石川県地方労働委員会(地労委)によるあっせんが行われました。組合があっせん申請をした項目は二つあります。一つは,給与改定交渉において,必要な財務資料を提示すること,もう一つは,新学部の設置に関わる配属,授業担当者,そしてクラス担任などについて,決定基準を文書で示すことでした。

 あっせんは,まず,地労委,組合,法人理事会が一堂に会し,地労委の委員の紹介,組合側,法人理事会側の出席者確認のあと,法人側は控室に移り,組合と地労委とが話をしました。約40分の間,地労委から組合に対して事情聴取があり,組合は改めて法人理事会の不誠実な対応を訴えました。また,東京から駆けつけた日本私大教連本部書記局の三宅書記次長も,北陸大学理事会は全国の私大と比べて異常な大学運営を行っている旨,強く訴えました。地労委は組合側の説明に強い関心を示して事情聴取が終わり,その後,組合側は控室に移り,法人理事会が,地労委と話をしました。地労委は,2時少し前から515分過ぎまで3間以上をかけて,法人理事会の説得に当たりました。その間,何度か労働者側の委員の方が,法人の提案を組合側に伝えに来て,法人の対応状況について説明してくれました。結局,法人理事会は,もし,組合側が第2の要求,つまり,不当差別の問題を取り下げるなら「財務資料の開示について持ち帰って検討する」という案を出しました。この案が出された時点で,地労委としては,それ以上説得の努力を続けても,このあっせんは成り立たないという判断があったようです。

 520分に再び,三者が集まり,そこで地労委の委員長から,「あっせん打ち切り」の宣言がありました。そして,ここであっせんを打ち切ったからといって,地労委がこの紛争に対して今後,全く関わらないということではないということが何度も強く言われました。「また,いらしてください」という言葉がありました。そして,取りあえずは,当事者同士で再度解決の努力をしてほしいという言葉があり,さらに,「大学という特別の場所にいるのだから良識をもって事に当たってほしい」という要望が繰り返し強調されました。

 組合は,団交を続けながら交渉をしていきますが,法人理事会の対応と態度を見極め,今度は,次の段階である救済申請の準備をして,再び,地労委に行く予定です。裁判所に行く可能性も検討中です。

平成16年度第2回団交報告

 527日に本年度第2回目の団体交渉が行われました。組合側は,クラス担任の問題を議題として挙げていたので当然,河島学長が出席するものと考えていましたが,学長は出席しませんでした。なぜ,学長が出席しないのか,という組合の質問に対して,クラス担任については労働問題ではないと考えているという回答が法人からありました。これに対して,組合側は,現実に多数の組合員がクラス担任から外されているという事実があり,これに関する質問書(要求書2通)への回答書の提出及び説明の義務が,教員の代表である1号理事の河島学長にはある,ということを改めて主張し,学長の出席を求めました。しかし,法人側は,学長に出席を要請するとは最後まで言いませんでした。

また,クラス担任について,大きな偏りがあることを理事会として承知しているが,学長に対して変更を求める予定はないという意思表明が,法人理事会からあり,結果を見て必要となれば,この問題について検討するという方針が示されました。100名もの学生を預かるような教員がいるような配置で,十分な学生の指導ができるはずはない,そのことを多くの教員と組合から指摘され,その上で理事会はまったく問題にする気はないのであれば,学長のみならず理事会の責任も問われることになると指摘しましたが,理事会は明確な返答をしませんでした。

給与改定については,法人側は,やっと平成15年度の改定案を示し,年齢給のみを引き上げるという案を出しました。平均で0.51%の引き上げです。これに対して組合は,年齢給は給与規程に定められており,年度が変わった4月の時点で引き上げられなければならないものだから,直ちに年齢給分については実施するよう要求しました。法人側はこちらの理を認め,直ちに実施する旨同意しました。また,平成16年度についても年齢給の分は直ちに実施するよう要求しました。

平成13年度と14年度は,賞与において,前年度を0.7か月ずつ、計1.4か月という大幅削減がありました。加えて,平成13年度と14年度は,現給与体系で年毎に自動的に更新適用される年齢給以外の昇給がまったくの「0」となりました。今回の法人の平成15年度改定案では,「職能給が3年連続で完全凍結」となることを意味します。組合側の改定要求は1.5%ですので,平成15年度分の交渉は,まだ妥結しておらず、継続します。

法人側は今回も,財務資料を一切出さずに改定案を示しました。協議とか交渉とかいう言葉は,彼らの思考過程において完全に死語となった模様で,外部からの命令がないかぎり甦らないようです。

 

組合大会で2004年度要求書提出決定

 610日に臨時組合大会が開かれ,法人理事会に対して,2004年度の要求を掲げた要求書を提出することが採択されました。諸要求の実現のために,これからも組合員の皆様の御支援をよろしくお願いいたします。

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2004年度教職員組合要求事項

 1 給与・賞与・手当などについて

 全国の私立大学の人件費が総帰属収入に占める比率は平成14年度で平均約52%である。しかし,北陸大学の理事会は,平成13年度以来,それを大きく下回る45%という数字を目標数値として掲げ,人件費を抑制してきた。しかも,現実の数字はそれすら大きく下回っている。これまでの不当な人件費抑制をやめて経営の改善に努め,以下の要求に応じることを求める。

(1) 給与改定

 平均3%の引き上げをすることを要求する。 

 成果主義による給与改定は反対である。現在の給与表を基準に改定案を作成することを要求する。ここ数年,年齢給のみの改定が続き,給与水準が落ちている。これまでの補填の意味合いからも3%の引き上げは至当である。

(2) 賞与

 一律年間6か月分の支給を要求する。夏季賞与は一律2.5か月分を支給することを要求する。学部間の格差は設けるべきではない。

 なお,支給式の廃止を要求する。

 また,業績評価を賞与に反映することは,認めない。現在の業績評価の方法は,河島学長も認めているように,極めて不十分である。不十分なものを賞与に反映させることは,多くの禍根を残すことになる。

 (3) 入試手当

 入試手当は,賞与とは別途に支給することを要求する。入試手当は入試手当である。

(4)   住居手当,扶養家族手当などの諸手当

  従来の諸手当の廃止,削減には反対する。

 

2 経理公開について

 現在の経理公開は,With誌上に,三表が大項目のみ公開されるだけで,極めて不十分なものである。少なくとも,評議員会に出され,承認を経たものは公開されなければならないし,組合に対しても出されなければならない。学生・父母も含めての説明会も行うべきである。特に,役員報酬の公開は不可欠である。

 

3 団交について

 

(1)   日程

 組合が団交を申し込んだ場合,開催要求日に限りなく近い日程で団交を開くことを要求する。正当な理由のない遅延は不当労働行為である。また,団交開催日を組合に余裕をもって通知することを求める。

 (2) 資料の提示

 これまで,組合が理事会に財務資料など,種々の資料の提示を要求しても,きわめておざなりな対応しかなかった。要求された資料に対しては,誠実に準備をし,組合に示すことを要求する。

(3)   北元理事長の団交出席

 これまで,組合は何度も北元理事長の出席を求めたが,組合結成以来,理事長は一度も団交に出ていない。いかに交渉が紛糾しようとも,理事長は自分の言葉で説明し,事態の収拾に努めようとしたことはない。これが労使の信頼関係の構築にどれほどの妨げになっているかは多言を要しない。北元理事長は,学校法人北陸大学の代表権者として,その責任にふさわしい行動を取るべきである。組合は,理事長が団交に出席することを要求する。

(4) 文書回答要求

 組合は,これまで何度も重要な問題については,重要な問題であるからこそ法人理事会に文書で回答することを要求してきた。しかし,これまでの理事会の対応は不誠実としか言いようのないものであった。これまで要求した文書回答要求に対して速やかに文書を出し,今後の文書回答要求にも誠実に応じることを求める。

 

4 大学運営において組合員の排除を即刻やめることについて

(1) 担任制は,組合員の排除をやめて,担当案を変更すること。

(2)   未来創造学部の授業から組合員の授業担当をはずすことを即刻やめること。

(3)   未来創造学部,薬学部などに,ドイツ語,スペイン語などの外国語科目を開設すること。

(4)   学内の各種委員会等からの組合員排除を即刻やめること。

 

5 その他

(1) 学内に組合事務所の貸与をすること。

(2) 学内に組合の掲示板を設けること。

(3) より働きやすい職場とするために,職員の福利厚生の充実に努めること。

(4) 太陽が丘キャンパス第1号棟にタイムレコーダーの端末を設置すること。

(5) 教員は従来どおり週1日は研修日を取れるようにすること。