北陸大学教職員組合ニュース211号(2004.5.11発行)



法人の給与改定方針:「給与は成果主義で決定、諸手当廃止」



 平成1656日(金)に今年度第1回団体交渉が開催されました。この団交は、組合が48日に申し込んだものが1か月遅れで法人が応じたもので、311日以来2か月ぶりの団交となりました。

 以下、団交の概要です。


 1.平成15年度給与改定について

 平成15年度給与改定については、今回も法人側は具体案を示しませんでした。

 給与について、冒頭、法人側から、組合が要求している1.5%引き上げには応じられないという話が改めてあり、さらに、給与は、これからは従来の年齢給や職能給の表に基づいて決めていくのではなく、扶養手当、住居手当などの諸手当もすべて廃止し、職員の成果・業績などに基づいて決めていきたいという方針表明がありました。そのため、平成15年度の給与改定もまだ行っていないという説明でした。では、いつ、その方針の具体的な案ができるのかという質問に対して、平成16年度内には具体的なものを作りたいという答がありました。しかし、法人側からは、個々の職員の成果・業績などを一体どのように公正に評価し、給与の基準としていくことができるのかについては一切の言及はありませんでした。

 組合側が、新しい給与体系案ができるまで平成15年度の給与改定はないのかと問うと、法人側はやっと、次回の団交で平成15年度については従来通りの年齢給に基づいた改定案を出すつもりである、という回答を出しました。平成15年度の給与改定が、平成16年の5月になってもまだ行われていないことに対してどう考えているのかという執行委員長の質問に対しては、労務担当理事から遺憾の意が表明されました。

 組合側は、今回も財務資料の開示を要求しましたが、法人側は、それは必要ないとして、全く交渉の余地はありませんでした。人件費をなぜ総帰属収入の45%に抑えなくてはならないのかということの文書による説明要求(裏面参照)に対しても、法人側は回答を拒否し、誠実に理解を求めようとする態度はまったく見られませんでした。組合側は地労委に行かざるを得ない旨、表明しました。

 なお、出席理事の一人から、「薬剤師国家試験の合格率が上がったら給与を上げてもいい」という発言がありました。ここには教育上の結果をすべて教員に押し付けて、自分たちは一切責任を取らないという現在の経営陣の体質が露呈しており、組合側は強く抗議しました。


 2.クラス担当について

 今年度から、アドバイザー制度が変わり、クラス担任制が導入されました。ところが、多数の組合員が、クラス担当から外されるという事態が起きています。このことについて、すでに説明要求書(裏面参照)を理事長・学長に出していますが、いまだ何の回答もありません。また、この56日の団交に、この件に関しての責任者であるはずの河島学長は姿を見せませんでした。なぜ欠席なのかを法人側に質問したところ、「この件は団交事項ではないから、団交で説明する必要はない。質問があれば直接自分のところに来ればいい」という河島学長の見解が披瀝されました。

 しかし、この件は団交事項です。組合員の労働条件に深く関わる問題です。学長がこのように当事者としての説明責任を放棄し、団交出席を拒否するというのは、教学の最高責任者として到底許されることではありません。

 この件は、太陽が丘キャンパスのみならず、薬学キャンパスでも問題となっており、組合は、さらに追及を続けていきます。


 3.平成16年度特別休暇について

 法人側は前回同様、全く組合の意見を入れようとせず、交渉になりませんでした。



 4.アルベスについて

 この4月からアルベスが稼動していますが、これについては、まず第一に、講義が法人側の完全監視下になることの問題点が指摘されており、また、そのこととは別に、多くの教員が種々の不安を訴えています。特に、インターネット上にのせる場合には、著作権などの問題が生じる可能性があります。また、学生のプライバシーなどの問題もあります。

組合が、法的問題をきちんと検討してクリアーした上でアルベスの稼動に踏み切ったわけではないのではないか、と質問したのに対して、当然、法的検討は行ったが、これからアルベスの運営規程を委員会などで整備していきたいという回答がありました。いつから、その委員会を発足させるのかについては未定とのことです。これに対して組合側は、稼動させてから規程を作るなどというのは全く順序が逆で、でたらめなやり方であることを指摘しました。アルベスで何か法的問題が起きたとき、法人はどうするのか、教員に責任を負わせるのか、という質問に対しては、労務担当理事が「何か問題が起きたときには法人は誠実にそれに対応する」と明言しました。同時に、同理事からは、授業では冗談でも言って良い事と悪い事があり、それは各教員の責任である、との発言があり、アルベス導入の真の意図が示唆されるものでした。

 また、法人側からアルベスの稼動していない教室においても、すべてビデオカメラが常時作動しているということが明らかにされました。これについては、学生・教員に対して何の説明もなく行われ、組合は人権問題であるとして強く抗議をし、さらに、すべての学生・教員に知らせるよう要求しました。また、アルベス導入の教育的効果の検証と評価、学生と教職員などの利用アクセス状況について、今後すべてを公開することを要求しました。


 5. その他

(1)平成15年度の教員の業績評価については、結果の解析をして全体の総括書を出すよう要求しました。また、教員の一人ひとりが自分が全体の中でどこにいるのかが分かる資料を含めて公開することも要求しました。


(2)組合員の事務職員から執拗なハラスメントを受けているという訴えがあったので、即座にハラスメントを止めるよう要求しました。


(3)平成1642日に学長から出された「教育職員の研修について」という文書は、一方的な労働条件の変更であり、慣行の一方的無視は許されず、団交事項である旨を指摘し、抗議しました。また、文書にあった「学生の休業期間中の研修については、教育実績を考慮し許可する」という文章の「教育実績」ということばの意味を明らかにするよう要求しました。





以下は、組合が出した要求書です。

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北陸大学教職組発第128

200448

学校法人北陸大学

理事長 北元 喜朗殿 

北陸大学教職員組合

執行委員長 佐倉直樹

                

要 求 書


 2003122日に行われた団体交渉において、教職員組合は、法人理事会の「人件費は総帰属収入の45%以下とする」という方針について、なぜ45%なのかを、具体的資料を開示して文書によって説明するよう要求いたしました。全国の私立大学の平均はここ10年ほどは50%前後で、平成14年度においては52%です。なぜ、北陸大学の場合は45%以下でなければならないのか。法人理事会は、組合に対して、適切な資料を示した上で、45%という数字の妥当性を説明する義務があります。

しかしながら、今日に至るまで、文書による説明はなされていません。早急に説明文書を組合側に対して提出するよう要求するものです。


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北陸大学教職組発第129

200448

学校法人北陸大学

理事長 北元 喜朗殿

学長 河島 進殿 

                            北陸大学教職員組合

執行委員長 佐倉直樹 

  

                要 求 書


 200441日に行われた、学長、センター長主催による教育能力開発センター懇談会において、従来のアドバイザー制度に代わるものとして、2004年度の未来創造学部、外国語学部、法学部のクラス担任制について説明があり、クラスの担当者が発表されました。

 しかるに、留学生も含め、全部で60近くのクラスがあるにもかかわらず、担任となる教員の数は約30名しかいません。なぜか、一つもクラスを担任しない教員が10数名いる一方で、1人で4つものクラス、つまり100名前後の学生を担当する教員がいます。また、北陸大学に長年勤務し、要職まで務めた教員が1クラスも担当せず、まったくの新任の教員が複数クラスを担当するという事実もあります。

 学生の教育と指導になぜ教員の総力で取り組もうとしないのでしょうか。なぜ、かくも多数の教員がクラス担任とならないのでしょうか。このような配属は、41日の辞令交付式でも北元理事長が何度も強調した、全教職員が一丸となって学生一人ひとりを大事にする本学の経営方針とはまったく相反するものです。

 北陸大学教職員組合は、以下の3項目について,早急に文書で説明することを要求するものです。
  1)なぜ全教員をクラス担当者としないのか。
  2)クラス担当教員の決定はどのような基準によって行ったのか。
  3)クラスを担当しない個々の教員がクラス担任とならなかった理由。