北陸大学教職員組合ニュース205号(2004.01.19発行)
学長任用規程の改悪を止めよ!
選挙制度による教員の意思表明を抹殺するな!!
理事会から、学長任用規程の改正案が1月14日、15日と法学部、外国語学部、さらに19日には薬学部の教授会で示された。今までの教員による選挙を一切止め、常任理事だけの選考委員会によって一人を選び、理事会に上程する――つまり、学長はすべて理事会側が一方的に選ぶという案である。同時に学部長選挙も一切止めて学長が学部長を指名する。中川専務理事は、選挙を廃止する理由として、現在の任用規程が制定された時とは事情が違っているということを挙げた。「今のような事情」には合わないというのである。「選挙はむしろ大学運営の支障になる」。そして、国立大学も独立行政法人化に伴い、学長の権限が強められている旨を強調した。5年前と事情が違うのは当然だろう。しかし、そこから、教員による選挙の廃止を正当化することは到底できない。現に、独法化が進む国立大学で学長を選挙で選んでいないところはどこにもない。
なぜ、理事会は教員に教員の代表たる学長を選ばせず、理事会だけで一方的に学長を選びたいのか。中川専務によれば、理事会が学長を選んだ方が「リーダーシップを発揮してもらえるし、嫌われ役に徹してもらえる」ということだ。では、理事会の選んだ学長ならリーダーシップを発揮でき、教員の選んだ学長ならリーダーシップを発揮できないのか。そんなことはない。普通に考えれば、選挙で選ばれるということは支持基盤があるということだから、当然、教員の代表としてリーダーシップを発揮しやすくなる。国立大学が大きな改革の中、学長選挙を維持する理由もそこにある。だから、普通の意味で学長のリーダーシップという言葉を理解するなら中川専務の説明は通らない。
しかし、中川専務の言うところを「理事会の手先としての学長のリーダーシップ」と考えると、話は分かりやすくなる。つまり、中川専務――現理事会――は、学長を教員の代表とは考えていない。理事会の道具と考えているのである。形だけは教員の代表として、実は理事会の教員支配の道具としての学長を考えているのである。だが、学長が理事会の手先としてしか機能しなくなったときに大学はどれだけ荒廃するか。それは今すでに明らかである。目の前で起きている。
今回の任用規程の改悪は北陸大学の荒廃と衰退を一層加速させるだけである。理事会は頭を冷やして考え直すべきである。本当に大学のためになることは何なのかを。
今回の任用規程の改悪について投稿がありましたので掲載します。また、団交に関する投稿もありましたので裏面に掲載いたします。
理事会の知性を疑う
1月14日、15日と法学部、外国語学部で教授会があり、学長任用規程を始めとする諸規程の改正案が学長、中川専務理事により示された。学長の任用については、教員による選挙を止め、理事会だけが決めるということであった。つまり、理事長が決める。さらに、学部長の任用についても教員による選挙を廃止し、学長が決める。さらに、教学を代表する組織であり、各学部の代表教授から成る全学教授会の構成員も学部長やセンター長が決めるというのである。つまり、理事長の決めた学長が学部長やセンター長を決め、学長の決めた学部長やセンター長が全学教授会の構成員を決めるというのだから、教学を代表するはずの全学教授会の構成員は全員とも実質的には理事長が決めることになる。いやはや、凄い話である。得得として説明する学長・専務の二人の顔を見て厚顔無恥という言葉を思い出し、さらに、13世紀のある国のことを思い出した。
その国には王がいて、やたらに戦争が好きだった。戦費の賄いは当然税金からである。しかし、誰も余分な税金など払いたくないから、人民はごまかしをして逃れようとし、取り立ては思うように進まなかった。王は顧問団を持っていて、政治はその顧問団と協議の上で行われていたが、顧問団のメンバーは王のお気に入りばかりだったから誰もノーを言わなかった。いや、言えなかった。そのうち顧問団の一人があることを思い付いた。顧問団のメンバーは王が選ぶのではなく、有力貴族たちが、自分たちの間から選んだ者にしたらどうだろう。そうすれば王の無茶も牽制できるのではないか。多少の争いがあったが、王はそれを受け入れ、そういうことになった。王は最初、その顧問団が厭で厭でしょうがなかった。しかし、間もなく王は気が付いた。王の臣民が抵抗を示すかも知れないようなことをやろうとするときに、顧問団のメンバーを納得させてから、事を実行に移すとスムーズにいくのであった。王の臣民、つまり、それぞれの貴族のところの領民たちは、偉い領主様たちの代表が王様と話し合いをして決めたことなら間違いないだろうと考えて協力的になったのである。それが分かると、王は積極的に顧問団を利用するようになった。また、顧問団のメンバーも民の声を我が力として王を助けた。衆智が生かされ、国は大いに栄えた。王の顧問団は拡大発展し、後に英国議会となる。
現在の北陸大学理事会は13世紀の英国にも及ばぬと思われる。いや、情けない話ではある。理事会のおつむの程度が知れる。
(最近、北陸大学で教えていると人に言うのが厭でたまらない教員から)
以下は、法科大学院、賞与交渉に関する団交のニュースを読んだ方からの投稿です。
許せない理事会のでたらめ――理事長、学長の業績評価を!
北陸大学教職員組合ニュース第202号の団体交渉のやりとりを読んだ。
このやりとりを読んで、これは最高学府である大学における団体交渉ではない、ヤクザ相手の交渉でもこれよりましではないか、というのが率直な印象だ。
団体交渉とは、お互いがそれぞれの考えを合理的根拠に基づいて論理的に主張しあい、両者の懸隔を少しでも埋め、合意点を見いだそうとする行為である。そこに要求されるのは双方の誠実さと叡智である。
法人側の対応が不快極まりないのは、彼らにそうした誠実さや叡智のかけらもないからに他ならない。
法人側は、端から組合側の言うことを聞く姿勢はない。交渉の場は自分たちの「方針」を伝達する場でしかない。交渉したという既成事実だけが彼らには必要なのだ。したがって、組合側の団交要求に対して、その期日をぎりぎりまで引き延ばし、結局、時間切れ、形だけのセレモニーにしてしまうのが常である。
こうした法人側の毎度毎度の対応に対して、終始自制した行動をとっている北陸大学教職員の「寛容」の精神は、常人では到底考えられない。
これだけ程度の悪い相手に対抗するには、それなりの戦略と覚悟が必要ではないのか。
さて、人事考課の理由を法人は次のように言っている。「大学の活性化と悪平等の廃止だ。教職員の意欲を引き出し、競争させたい」。
「悪平等の廃止」とはどういうことか。悪平等とは、通例、平等原則が徹底的に貫徹された後に生じる弊害のことをいう。一体、本学にいつ平等原則が貫徹されたというのか。あるいは、貫徹させようという努力が払われたといえるのか。
本学の現状は悪平等ではなく、ダブルスタンダードによるアメとムチの使い分けである。夏季休業中における1週間の研修にも難癖をつける一方、2か月間まるまる研修をとる猛者もいる。週4日の出勤をいいながら、週3日が許される教員もいる(かつては、1週間を2日で暮らす大物もいた、今もいる?)。
休講は認めないと強くいいながら、やたらに休講が認められるという特権を行使している者もいる。こうした「不平等」というより「差別的取り扱い」を正したあとに、「悪平等の廃止」を言う資格が賦与されるのである。
しかも、こうした特権を享受している教員ほど人事考課がプラスという奇妙な現実がある。一方、ほとんど研修をとらず、土・日曜日にも出勤している教員を筆者は知っているが、いかんせん、法人に批判的という理由で考課は恐らく低いであろう(これについては推測である)。したがって、前者の人達にとっては、本学はまさに「天国」であろう。
なるほど、教職員の意欲を引き出し、大学を活性化させるのは正に経営者の手腕であろう。しかし、ここ数年、北陸大学の経営者がやってきたことは、真面目な教職員の意欲を削ぎ、一部教職員を優遇し、組合員始めその他の教員を冷遇する「排除の論理」(組合ニュース201号投稿者)ではなかったか。この選別と排除の一環として、人事考課があることは誰の目にも明らかであろう。ゆえに人事考課の結果は、我々が1年間の業績報告を提出するまでもない、そんなものは提出してもしなくても、初めから人事考課の結果は決まっているのだ。法人側に付くのか、そうでないのか。しかも徹底的にすり寄ればすり寄るほど人事考課が上がるのはいうまでもない。考課の結果を実名で公表すれば、私の言の正しいことが証明されるであろう。したがって、考課の幅は広ければ広いほどいい。法人側の本音も既に述べられているではないか。「ボーナスは生活給ではないから、全額を人事考課の結果で決めたい」と。
教職員の意欲を引き出し、大学を活性化させるためには、それを阻害している原因を排除すればいい。そう、上記のとおり、大学経営陣の退陣これに尽きる。「排除の論理」ではなく、一人一人の教職員の意見をよく聞き、彼らの意欲と能力を最大限に引き出すことこそリーダーの責務であろう。オーケストラは、それぞれの奏者がいかに意欲的で有能であっても、指揮者のタクトが間違っておれば、バラバラで崩壊してしまう。
組合に一つ提案があります。
我々、教職員は人事考課をされていますが、我々も法人経営者や学長、学部長など責任ある立場の人達の「評価」をして、それを数量化しませんか。学生による授業評価のアンケートの様式を参考にして、例えば、理事長や学長について。
1 理事長は北陸大学の評価を高めるために行動しているか。
1強くそう思う 2そう思う 3ふつう 4思わない 5全く思わない
2 学長は教職員の意見をよく聞き、合意を得るよう努力しているか。
1強くそう思う 2そう思う 3ふつう 4思わない 5全く思わない