北陸大学教職員組合ニュース199号(2003.11.5発行)



法人側に誠意なし:

  改組に関する説明要求に文書回答拒否



 法人側からの申し入れで911日に第5回団体交渉があり、1028日には組合からの要求により、第6回団体交渉が行われました。

 第5回の団体交渉では、河島学長、中川専務理事が出席し、新学部、総合教育センターへの配属に関して「説明」がありました。54名の関係教員のすべてに面接をし、「総合的に判断した結果」、新学部配属になる5名の組合員が発表されました。現外国語学部、現法学部の組合員の残り24名は全員が総合教育センター所属です(裏面参照)。しかし、どのような基準によって配属の決定をしたのか、その基準が「説明」ではまったく要を得ないものだったので、改めて文書での説明を要求しました。また、新学部の教職課程の廃止、ドイツ語、スペイン語の問題など、組合から質問をしたものの、前回団交のときと態度はまったく変わらず「カリキュラムを変更する気はない」との考えを河島学長は改めて示し、話し合いとはなりませんでした。

 第6回団体交渉には再び、河島学長、中川専務理事が出席しました。組合側は、本紙裏に示したような要求書を前もって法人側に渡し、文書での回答を要求した上での団交開催でしたが、河島学長は「話し合うことが大事なので文書は出さない」と主張して文書回答を拒否しました。

 以下、項目ごとの法人側説明の大要です。

1.新学部・総合教育センターへの配属決定の基準について

未来創造学部は、教育を支えてもらえる人にお願いしたい。新カリキュラムに対する理解と協力が得られる人だ。複数の科目を担当してもらえる教員で意欲が高く、学生のケアやマネジメントを十分にやれる教員を選んだ。総合教育センターは、各学部の特性を理解して授業にあたることのできる者を選んだ。ここでは学生のマネジメントはないので、教育と研究に打ち込んでもらえばいい。個人の専門性の中で教育に専念してほしい。今回の配属決定は各教員の担当科目と語学力、これまでの学部教育での貢献、実績をもとにした。学部長の意見も聞いての結果だ。

2.総合教育センターの組織・規程などについて

総合教育センターに教授会はおかない。総合教育センターは情報センターなどと同様センターであり、学生がいないからである。ただ、センター長はおいて、全学教授会へ出席させることは考えている。規程は鋭意作成中で来年4月までには間に合わせるつもりだ。

3.ドイツ語・スペイン語が新学部のカリキュラムにないことについて

英語と中国語でいくというのが方針である。それで十分な説明となっている。朝鮮語がカリキュラムに入っているのは、留学生別科に韓国からの学生が多数来ているからであり、また、新学部には東アジア関係の科目があるからである。3,4年向けでもある。ドイツ語・スペイン語を新学部のカリキュラムに入れないことを決定するにあたっては、今、その教員がいるかどうかなどは一切考えなかった。そんなことを言っていたらカリキュラムは作れない。カリキュラムに担当授業がないからと言って、3年後に解雇というわけではない。様子を見て決める。

4.薬学部の学生数が1.6倍となることについて

 薬学部刷新委員会を中心に副学長のもとで対応案を検討中である。

5.薬学部の選択外国語としてのドイツ語を廃止することについて

 今、全国的な薬学部共通のコア・カリキュラムを検討中だが、その中に入っているのは英語である。中国語は、東洋医学関係があるので残す。

 

 以上が法人側の「説明」でした。上の「説明」が大学の経営をあずかるもののことばとして、いかに誠意のない無責任なものであるかは指摘するまでもありません。

 そもそも、大学の改組という重大事項に関して文書を示しての説明ができないということ自体が大問題です。要求された、すべての項目とも経営責任を少しでも感じているなら文書での回答があってしかるべきものです。

配属が新学部であるか総合教育センターであるかは雇用の継続に関わる問題であることを自ら宣言しておきながら、その配属決定の基準を文書で示さない――これはまともな経営者のやることではありません。

 ドイツ語・スペイン語の問題にしてもそうです。河島学長は、カリキュラムに入れないことについては「教員のことは考えないで決めた」と言ってますが、これは裏を返せば、在職教員の能力を生かそうとはしなかった、ということです。今回の新学部は、外国語学部と法学部とを合わせて、さらに発展させるための学部のはずです。その新学部のカリキュラムを決めるにあたって、現在の教員のことは考えなかったというのです。つまり、現在いる教員の能力を生かしてさらに魅力的な学部を造るにはどうしたらいいかという視点がなかったということです――これもまともな経営者のやることではありません。 

 薬学部の大幅定員増についても、1.6倍にした場合の様々な問題が検討され、その具体的対応案があってはじめて、受け入れを決定し、受験生の募集をはじめることが可能なはずです。ところが、受験生の募集が始まり、5ヶ月後には新入生を迎えるという段階でも具体的な案――人事・設備の両面、そして財政面――が出ていないというのは信じがたいことです――これまた、まともな経営者のやることではありません。



お詫びと訂正 92日に発行された組合ニュースが196号となっていましたが、197号のまちがいです。お詫びして訂正いたします。



 

 

(裏面)

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以下の文書は、配属案発表に対して出されたものです。



                北陸大学教職組発第120

                20031021

学校法人北陸大学

理事長 北元喜朗殿

               北陸大学教職員組合

               執行委員長 桐山典城



          「総合教育センター」配属組合員について



平成15912日に学長主催の学部ごとの説明会において、新学部とともに設置される「総合教育センター」への教員配属案が一覧表によって示されました。案によると外国語学部、法学部教員組合員のうち、以下の者がセンター配属になるとのことです。

潮昭太、岡野浩史、櫻田芳樹、地蔵堂貞二、林敬、J.A.マチェット、三国千秋、

R.ライヒェルト、岡崎和子、佐々木昌子、長岡亜生、中崎温子、W.R.ホールデン、K.R.マナハン、井上裕子、アルベルト・カニャス、K.R.バーンズ、茨木正治、

田村光彰、小南浩一、馬場巌、原禎嗣、柳本祐加子、梅津博道

また、河島学長から、薬学部基礎薬学教室の以下の組合員もセンター配属を求められています。

小嶋迪孝、山本健次、田島和男、柚沢豪、田端淑矩、加藤幸子、蒲真理子、金田舜子、落合俊朗

この「総合教育センター」の教員には、2種類の教員がおり、現外国語学部、現法学部の学生が卒業する時点で、解雇になる教員と雇用が継続される教員とに分かれる、というのが829日の団交での河島学長・中川専務の説明でした。そして、その解雇は整理解雇であるということでした。しかし、すでに団体交渉の場でもお伝えしましたように、そのような解雇は不当解雇であり、典型的な不当労働行為です。もし、法人理事会が不当解雇を強行するようなことがあれば、私たちは法的手段に訴えてでも徹底的に争うつもりです。

今回の配属案によって、総合教育センターに組合員の配属が正式に決まったとしても、私たち教職員組合は、その組合員が3年後に解雇されることに同意しているわけではありません。20073月以降も雇用の継続を望んでいることを改めてお伝えいたします。

また、総合教育センターへの配属により、薬学部、現外国語学部、現法学部での勤務より劣悪な労働条件が課されるなら、それもまた労働契約違反および不当労働行為となります。私たちはこのことに関しても、ひとたびそういうことがあれば徹底して争う覚悟です。

学部の改組に当たり、理事会が、大学人にふさわしい良識と見識とをお示しになることを切に望むものです。



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北陸大学教職組発第119

20031016

学校法人北陸大学

理事長 北元 喜朗殿

北陸大学教職員組合

執行委員長 桐山 典城



         要 求 書



 以下の事項を文書にて明らかにすることを要求する。

1.未来創造学部および総合教育センター配属の教員の決定基準

これは、すでに829日の団交の席上、法人側に要求してあるが、いまだに返事がない。早急に回答を求める。



2.未来創造学部のカリキュラムには、朝鮮語がありながらドイツ語、スペイン語などが選択科目として存在しない理由

新学部はできるかぎり魅力的なものでなければならない。しかるに、英語・中国語以外の外国語は朝鮮語しか履修できない。ドイツ語やスペイン語は現在専任の教員がいるにもかかわらず開講されない。その理由説明を求める。829日には「方針」という説明が、学長からあったが、それは説明になっていない。



3.総合教育センターの組織・運営などについて明らかにすること

総合教育センターは、40名前後の教員が配属予定だが、いまだに運営規程など一切明らかにされていない。「大学全体の教育を担う重要な組織」という学長の説明だが、それなら、当然、センターの組織や運営など、規程に基づいて明らかにされるべきである。



4.薬学部は定員が約1.6倍になる。その対応策の具体的説明

薬学部は来年度から定員が約1.6倍になる。学長は、現在の陣容で「基準を満たしている」として、増員については明言を避けている。しかし、このままでは、教員の労働強化は明らかであり、劣悪な労働条件・教育条件となれば国家試験の合格率低下は必至である。具体案を文書で示すよう要求する。



5.薬学部の新カリキュラムの素案の中にドイツ語が選択科目として存在しない理由
薬学部を取り巻く環境も年毎に厳しくなることは明白であり、大幅定員増の薬学部は、できるかぎり魅力的なものでなければならない。しかるに、現在提示されている新カリキュラムでは中国語が外国語科目の選択科目としてあるものの、ドイツ語は現在専任の教員がいるにもかかわらず開講されない。その理由説明を求める。