北陸大学教職員組合ニュース196号(2003.8.1発行)



人事考課に関するアンケート調査について――結果報告



 先般、人事考課に関するアンケートを実施し、75名の教員から回答を得ることができました。御協力ありがとうございました。その結果は別表に示したとおりです。

 まず、人事考課一般については、全体としては75名中37名が反対を表明しています。賛成が18名で、どちらともいえないという回答が18名ですから、人事考課そのものについては、全体として反対の傾向が多いとはいえ、人事考課の必要性を感じている教員も少なくはないという結果です。しかし、人事考課の結果を賞与に反映することについては、人事考課を支持する教員でも、疑問を抱いていることが明確に数字に出ています。つまり、人事考課を支持する教員が18名いますが、その結果を賞与に反映することは7名の教員しか、賛成していません。人事考課を行うことと、それを賞与に反映することとは別であるという考え方がここにははっきりと表れています。

 平成14年度の人事考課については、理事会のやり方に批判的な回答が圧倒的多数を占めました。特に、導入の手順と方法については、それを多少とも認める意見はゼロでした。75名中71名が不当、ないし極めて不当と答えており、それは意欲の項目の結果にも反映されていると思われます。人事考課を賞与に反映させた結果、意欲が高まったかという質問に対して、意欲が高まったとする教員は75名中3名しかいません。さらに、組織が活性化されたかという質問に対しては、75名中68名が活性化の効果を否定しています.活性化を認めた回答者はわずか1名しかいません。圧倒的多数は、人事考課を強行し、賞与に反映させた結果、意欲が減退(75名中30名)し、あるいは組織の沈滞化(75名中38名)を招いた、と答えています。

 理事会、学長は組織の活性化のために人事考課を行い、その結果を賞与に反映させるのだという主張を繰り返していますが、平成14年度の結果で見れば、それは明らかに失敗であったと言えるでしょう。むしろ、大学の沈滞化を招くような、全く逆の結果をもたらしているのです。

 平成15年度の賞与の支給に当たって、理事会は2か月分を人事考課の結果に基づいて行う旨主張していますが、平成14年度に1か月分で行ったことを支持している教員は75名中10名で、もっとその幅を大きくすべきであるとする教員はわずか4名しかいません。14年度の人事考課の結果を妥当と見る教員も7名しかいません。こういう状況で、平成15年度の人事考課の結果を2か月の幅で賞与に反映するのが、いかに信義に背く行為であるかは多言を要しないでしょう。

 また、注目すべきは、平成14年度の人事考課について、自分の評価結果を極めて妥当としている教員はゼロ、妥当としている教員は7名しかいなかったことです。つまり1割以下です。ほとんどの教員が今回の自分の人事考課については強い不信感ないし不満感を抱いているということです。どちらともいえないの回答が最も多かった理由は,評価基準を認めていない教員が多いこと,また評価の詳細が公開(フィードバック)されていないこと,を反映していると思われます。

 今回のアンケート調査には自由に意見を書いてもらう欄を設けました。以下にあるとおり、様々な意見が書かれていますが、何と言っても際立った特徴は、法人理事会・学長に対する不信感と強引なやり方に対する怒りと反発の声です。経営陣が本気で大学の活性化を図ろうとするなら、現在のような人事考課の方法及び人事考課結果の賞与への反映は即座に取りやめにすべきでしょう。信頼回復のために何をすべきなのか経営陣は猛省しなければなりません。信頼のないところに活性化もへちまもあったものではありません。





人事考課に関するアンケートに書かれたコメント

 

今回のアンケートでは、最後に「その他、何でも、ご意見などありましたらお書きください」として組合員の方の意見を自由に書いていただきました。以下に、御紹介します。



1)考課結果が不透明

2)活性なのか反発なのか不明です。

3)人事考課の反映幅を賞与の1か月分としたことについては、E不当である(アンケート選択肢にないので加筆)。

4)人事考課の反映幅を賞与の1か月分としたことについては、Eゼロにすべきである(アンケート選択肢にないので加筆)。

5)6ヶ月+人事考課1ヶ月ならまだしも、総額が減少しての人事考課では元気がでない。

教育(最も大切だが)を適当にこなして、研究に力を注ぐのが賢明だと思えてしまう。

6)各人に、評価結果を公表すべきだ。どういった点数で1ヶ月分の人事考課がされたか知りたい。自分は平均より上なのか下なのか?どのくらいの位置にいるのかを知りたい。

組合の力がそれほど強くないのは何故?他の会社や企業では、組合の力は絶大なのに- - -どうすれば給料や賞与が増えるの? 他の大学の教員になればいいのかな?

7)コンピュータが壊れた、その他の時教員間で相互に助け合える。人事考課に関係ないことは人に頼めない、たのまれたくないという、さみしく暗い北陸大学薬学部になると思います。

8)基準がはっきりし、決定後、納得出来るものであれば、人事考課は行ってよい。現段階では不鮮明。

9)本人の努力では、どうしようもない事項を考課項目に入れるのは合点がいかない。入試業務は手当にもどすべき!

10)自己点検、自己評価と人事考課を同一視すべきではない。自己責任の範囲外の項目を、考課の対象とするのはおかしい。

人事考課の手順と方法は多くの混乱や疑問をまねいた。

人事考課の結果は、何がどう評価されたのかフィードバックがない。

11)人事考課は公平に評価されれば賛成だが100%公平に評価されるのは難しいので、人事考課の導入については何とも言えない。

昨年度は、学部の存亡の危機と言われ、これまで以上の仕事をしてきたし、同僚も認めてくれていた。しかし、評価は極めて低いものであった。学長は、そういった苦労をしらないで今年度も一部委員やアドバイザー・スーパーバイザーは本人の希望も確認しないまま決定された。首をかしげることばかりである。ごますりが高く評価される職場である。

12)賞罰を伴う人事考課は職場の信頼関係を壊すもので、教育の場に本質的になじまないものである。損得勘定の支配する大学になっては、学生が気の毒である。大学の活性化の方策は、次元を異にした課題であり、教員レベルで議論すべきだと思う。

13)賞与は6ヶ月(ベース)とし、それを努力により7ヶ月8ヶ月とするべき。それほど経済的に苦しいのなら、学長以上は賞与カットがあたりまえ。学長以上の人事考課は教職員が行うべき。

14)本学の給与は月給・賞与を合わせて、世間並みかそれ以下です。賞与に2ヶ月の幅をもたすことは若手教員にとって死活問題です。

教育現場は、多様な学生がいて多様な教員がいて初めて成り立ちます。法人好みの教員ばかりを優遇するのは、学生と御父母に対する不利益行為となります。どんなに優れた教員でもダメ教員の2倍、3倍の教育や指導を行っているわけではありません。

15)あらゆることが一方的に決められている。まったく大学としてあるまじきことである。賞与が全体としてへらされていることは大問題で不当である。

16)八百屋と魚屋をリーマンが比べてどうする?

たとえば、薬学と法学、どちらがエライかなどと考えることがいかに不自然かを想像してください。

子どものころから「XXちゃんはよく勉強してエライですね」と言われることにホメられていない人も 「慣れてしまった」のが現状だと思います。

こうしたことをどう伝えていくかが問題なのですが・・「力不足」で申し訳ありません。

「目に見える評価」は誰のためでしょうか?仮説検証型の研究では仮説を実験や観察に合うように「操作的定義」を行います。その「定義」の仕方は結局のところ恣意であるという指摘があります。(『社会調査ハンドブック』森岡)。この「定義」はまず実験・観察をする者のために行うものです。

17)業務の質、量について正当に評価できる労使間の信頼関係があれば評価は可能だと思います。北陸大学の現在の状況では人事考課は不可能だと思います。

18)どうしても人事考課をするなら全体のデータを公開すべきである。(点数、賞与月数、パーセンテージ)

19)考課の内容(何を評価の対象とするか)についても、導入の仕方についても、納得がいかない。教育についての議論できない人間に評価されたくない。

20)人事考課をあの****、****(注:編集部による伏字)がやるかと思うとゾットする。

21)他人への“思いやり”のない(できない)法人と学長による評価方式には絶対反対します。

22)教員から選ばれなかった学長の主観に基づく考課は不公平で不当。人事考課の反映幅を広げる事など言語道断。

23)考課基準がデタラメ(学長の裁量権が大きすぎる)

考課する側がその資格に欠ける(信頼関係ゼロ、品性下劣)。

なにもしなくても学長選で河島に入れた者が、満額となっている例もある。

仮に百歩譲って考課OKとしても、上述した通り考課する側に全く信頼感がない。また、基準がデタラメではどうしようもない。むしろ我々が法人、理事会、学長の勤務評定をしてボーナスをカットすべきだ。



人事考課に関するアンケート結果――回答数75

 I 人事考課について

   1 人事考課を行うことについて

     @積極的に賛成する   0

     A賛成する      18

     B反対        25

     C絶対に反対     12

     Dどれともいえない  18

   2 人事考課を賞与に反映することについて

     @積極的に賛成する   0

     A賛成する       7

     B反対        27

     C絶対に反対     27

     Dどれともいえない  13

  U 平成14年度人事考課について

   1 人事考課を賞与に反映させたことについて

     @極めて妥当であった  2

     A妥当であった     3

     B不当であった    30

     C極めて不当であった 35

     Dどれともいえない   3

   2  事考課を賞与に反映させた結果,意欲が高まりましたか

     @大いに高まった    0

     A高まった       3

     B低下した      30

     C極めて低下した   26

     Dどれともいえない  15

   3  人事考課を賞与に反映させた結果,組織の活性化がされたと思われますか

     @非常に活性化した    0

     A活性化した       1

     B活性化しなかった   30

     Cかえって沈滞した   38

     Dどれともいえない    5

   4  人事考課の反映幅を賞与の1か月分としたことについて

     @極めて妥当である      0

     A妥当である        10

     Bもっと小さくすべきである 33

     Cもっと大きくすべきである  4

     Dどれともいえない     19

     ゼロとすべき 1,   不当である 1

   5  人事考課の手順と方法は適切であったと思われますか

     @極めて適切であった     0

     A適切であった        0

     B不当であった       27

     C極めて不当であった    44

     Dどれともいえない      3

   6  あなたの人事考課の結果は妥当であったと思われますか

     @極めて妥当であった     0

     A妥当であった        7

     B不当であった       25

     C極めて不当であった    11

     Dどれともいえない     28

*  回答なしや不明などがあり、各項目の総数は必ずしも75にはなりません。