北陸大学教職員組合ニュース190号(2003.4.7発行)

 

 法人側との団体交渉開かれる

      給与改訂、ボーナス、入試手当などを交渉

 

3月14日に、法人側との団体交渉が開催されました。本当に、久々の団交でした。ニュースでお知らせするには日時が経過しておりますが、以下に報告したいと思います。

 

 平成14年度の給与改訂について

まず最初に法人側から、平成14年度の給与改訂について提案がありました。それによると、平成14年度はベースアップはなく、年齢給のみのアップで「平均0.53%アップ」するという内容です。この金額は、一人当たり平均で2,200円のアップを意味します。若い教職員のアップ率はこれ以上に高くなります。組合は、基本的にこれに同意しました。

ただし、世間ではもうすでに15年度の給与改訂交渉をしているのに、本学の場合はいつも一年遅れで交渉が成立していること、本来、仕事と給料は労使の「契約」に基くものであることを考えるなら、このような交渉の遅れを改める必要があることを、組合は指摘し、法人側もそれを認めました。

 

再び、平成14年度のボーナス交渉について

平成14年度のボーナスについては、学部間の格差、「教員の教育・研究業績の評価」と人事考課が一方的に実施されてきました。このようなやり方を組合は基本的に認めるものではありません。

ところで、昨年6月のボーナス交渉から、法人側と組合との論争点になったのは、学生授業料などの納付金収入に関わる、入学者数の減少による減収の見こみでした。組合は、薬学部での受験者数・入学者数の増加を挙げ、法人側の提案に反対してきました。今回の交渉では、納付金収入がほぼ確定する年度末に、改めてそのことが検討されました。

次ページの表は、執行委員会が入手した資料に基づき、大学の財政に関わる基本的部分を示したものです。この数字はすでに公表されたものであり、数字は概算し四捨五入してあります。なお平成14年度の( )内の数字は、団交の際に法人側が回答したもので、この時点で確定したというわけではありません。  

 

 

収入の部

支出の部

  

学生授業料など

入試手数料

文部省からの

人件費支出

教員ボーナス

 

納付金収入

収入

補助金収入

 

支給額

H10年度

63

1.8

4.7

30

 6.0ヶ月+

5万    

11年度

61

1.6

4.6

28

 5.8ヶ月+

7

12年度

56.8

1.6

5.4

28

5.7ヶ月

13年度

54

1.8

4.5

27

5.0ヶ月

14年予想

52億)

 

 

25億)

4.3ヶ月

    (人件費には役員報酬も含まれます。単位:円)

 

今回の団交では、法人側は改めて平成14年度の納付金収入を「52億円」になると回答しました。これは平成13年度より2億円の減収となります。また14年度の人件費の総額を「25億円」と回答し、前年より2億円の減額となります。

ここで重要なのは、法人側が、昨年6月の団交では、納付金収入を49億円、すなわち5億円の減収と見積もりしており、この減収見積もりを根拠に、ボーナス平均4.3ヶ月支給を算出していたということであり、だが実際には、今年度の納付金収入は「52億円」と、減収は2億円にとどまり、見積もりと実際の数字の間に「3億円」の開きが出たことです。(最終的には、決算は今年の5月以降に決算報告の形で、一部が公表されることになっています)。

収入全体に対する「人件費」の比率については法人側と組合側との考えには違いがありますが、法人は、方針として45%を越えないことを原則としていると団交で述べました。

平成14年度のボーナス交渉では、組合が要求した額は平均5.7ヶ月であり、法人側の回答は平均で4.3ヶ月でした。組合側は、今年度の納付金収入における減収額について、法人側による当初の見通しと最終的な減収額との「3億円」の差額をボーナスに反映させるべく、再度、団交の開催と交渉を要求しています。以上が、今回のボーナス交渉をめぐる経過報告です

 

入試手当てについて

団交ではまた、平成14年度の入試手当についても説明がありました(入試手当を法人側は「入学者選抜に係る特別賞与」と呼んでいます)。そして法人側は、入試業務に関する項目の点数表を示しました。入試課が、記録に基き、その点数表に各自の点数を記入し、それを本人が確認の上、年度末に特別賞与として支給することになるとの回答でした。

昨年度までとの大きなちがいは、14年度は入試に関する業務だけでなく、学生募集に関する仕事も手当支給の対象となったことです。この中には、学内での模擬授業、学生募集関連の行事、AO入試の業務も含まれます。

組合は、14年度の「入試手当から特別賞与」への変更は具体的な交渉を何も経ておらず、「一方的」なものであり、15年度から実施すべきではないかと反論しましたが、法人側はゆずりませんでした。

 

職員の「サービス残業」について

組合は、平成14年末に職員を対象に独自に実施した「残業に関するアンケート」に基いて現状を報告し、法人側の基本的姿勢についてただしました。アンケートによれば、現在、職員は本人の意志であるか否かにかかわらず、実際に「サービス残業」を行っています。しかも場合によっては、本人が実際にした残業時間よりも少ない時間を届け出るか、届けにくい状況を強いられていることによって、「サービス残業」がなされているとの回答も寄せられました。組合は、主にこの点を指摘しました。

これに対する法人側の回答では、法人は「基本的にサービス残業はしないし、させない」という方針であることを明言しました。さらに、サービス残業にならないように部課長に指導していること、この方針をさらに徹底したいということでした。

ですから、「サービス残業」は本来ありえないはずのものです。仮に残業をしたなら、その数字を職員がきちんと報告し、上司がこれをきちんと認めるということに、法人側も原則的には異論はないはずです。以上の点が改善されない場合は、再度組合に申し出て下さい。また土日の休日について、現在は、基本的に大学が開かれているという考え方に立って、職員の場合には、基本的に週休二日という考えに移行しているということでした。ですから、休日出勤の場合には、代休をとることが当然のこととして認められています。

 

平成14年度の法人側との交渉を通じて思うこと

平成14年度の法人側との交渉を通じて思うことは、特に、法人側による方針の一方的な押し付けが目立ったことです。14年度の交渉では、夏期休暇に始まり、ボーナス交渉、入試手当の件など、ほとんどがこのような経過をたどって来ました。これは、組合の意見や要求をまともに取り上げないということになり、「交渉」という言葉の意味からはずれていると言わざるをえません。何よりも法人側の「誠実な」交渉を望んで止みません。

学長もまた、今回の「教員の研究・教育業績の申告書」の扱いをめぐって、同じような態度を取り続けてきたことは、本来、教員の代表であり、学部や教員の意見をまとめるべき立場にあることを考えると、残念という他はありません。

組合側の態度は、何でも反対するというのではなく、納得のいく説明と根拠を明らかにして事にあたるというものです。弁護士の中坊公平氏は「法と正義」ということに触れて、多くの人々に納得のいくことが「道理」であり、この道理に従うことが正義の実現には不可欠だと述べています。逆に、一部の人々にとって利益になるもの、一部の人にしか納得できないことを、「エゴ」と呼んでいます。組合は手続きとしても事柄の内容としても、この「道理」を求めて来たのであって、誰もが納得できるものを求めて来たつもりです。仮に、大学が真理の探究を目標の一つに掲げ、それに従って学生を教育するというのであれば、大学にとっては、多くの人々が納得できる「道理」を実現することは、基本的に重要なことと言えるでしょう。

したがって、今後も本学での教育・研究のあり方、さまざまな業務の実施の仕方に見られる法人や学長による一方的な「押し付け」に対抗していくには、教職員が団結し、多くの人々が納得することを教職員の声として上げていくのが重要なことと考えます。

この件に関しては、3月19日に組合側は、「組合との合意を必要とする事項について,良識と誠意をもって対応することを望んでほしい」との要望書を法人側に提出いたしました。

 

組合主催の送別会開かれる

313日には、平成14年度をもって本学を退官、退任される3名の先生、坂本倫子先生、西川喜久子先生、黒澤克郎先生の送別会が、組合の主催で行われました。送別会には、組合員以外の教員も多く参加され、盛況のうちに終了しました。3名の先生方、本学での教育と研究のお仕事、ご苦労さまでした。送別会では、今後共、組合を守っていくこと、組合に結集することの固い決意が組合員から表明されました。

 

来年度の総会と執行委員の改選について

平成14年度は、法人側との交渉が年度末にまで延びたために、年度内に総会を行うことができませんでした。そのため、総会は4月中旬に予定しています。主な内容は、会計決算と予算、執行委員の改選です。

最後に、今年度の執行委員会に対する、組合員のみなさんのご協力に感謝します。

平成15年度も組合に、より一層のご支援をお願いいたします。

以上