北陸大学教職員組合ニュース189号(2003.3.5発行)
臨時組合大会で、「教員の教育・研究業績に関わる評価」の提出に応じることを決定
3月3日の、臨時組合大会の結果を報告したいと思います。今回のテーマは、2月24日に学長から配布された「教員の教育・研究業績に関わる評価」の提出に関して、組合としての方針をどうするか、というものでした。
最初に、澤西執行委員長から、これまでのボーナス交渉を振り返り、特に申告書の取り扱いをめぐって学長および法人側との交渉の経過説明がありました。その中では、組合側の団体交渉の要求にも、法人側が団交の開催に応じていないこと、学長はじめ法人側は、今回申告書を提出しない教員には、最大一ヶ月分の人事考課分を一切支給しないという方針を変えていないこと、申告書提出の件では、年度内にその状況が変化する可能性は極めて乏しいことが説明されました。
そこで澤西委員長は、執行委員会での話し合いを踏まえて、個人的提案として、種々の理由から今回は「評価」申告書を提出することにしたい、そして最終的には組合員の総意で決定したいと提起されました。その後、質疑応答、意見交換に移り、提案に賛成、反対の立場から、多くの組合員が意見を述べ、熱心に話し合いが行われました。
そして最終的に、大会に出席した全員による投票が行われ、組合の方針として、今回は申告書の提出に応じることに決まりました。
このニュースを読まれた組合員の方の中には、一ヶ月前に臨時の組合大会において、「今年度は申告書の提出を拒否する」とした合意から、今回の「申告書を提出する」という決定に変更したことで、組合の立場や方針に関して、疑問を持たれる方も多いかと思います。以下で、いくつかの点についてこのことに答えたいと思います。
組合の基本的立場は、「現在のような業績評価のあり方に反対である」ことに変わらず
教員の教育・研究の業績評価について、組合の立場はこれまでと基本的に変わりはありません。すなわち、少なくとも今年度は、教育・研究の業績評価を賞与に反映させることに反対であるというものです。これは、執行委員会でも全員一致した見解であり、おそらく今回の組合大会に参加した組合員の総意でもあると思います。今回の業績評価を賞与に反映させるという法人側の方針は、組合との合意はなく、また教授会での説明でも初めから実行ありきという前提で一方的に進められて来たものであり、学長は、強引にこれを推し進めようとしているものです。しかも年度途中に示されたにもかかわらず、4月にさかのぼってそれを実施しようというのは、手続き的にも納得できないことは明らかです
また、今回の、業績評価の最大の目的が、教育と研究の質的向上、大学や学部の発展にあるという学長の説明に関しては、多くの教員が疑問を持っており、今回の大会で申告書の提出に賛成した教員であっても、誰一人としてそのような学長の説明に納得して賛成の票を投じたのでないことは、明らかです。
むしろ、大会で多くの人が言われたように、誰もが、教育や学部の運営のみならず、入試業務や学部の改組の件に関しても、大学当局や学長サイドからの「一方的な」決定や進め方によって行われ、ますますそれが広がっていくことを危惧しています。よって、組合としては、教育研究業績の評価、人事考課、ボーナス査定のあり方に関して、今後とも、学長および法人側とねばり強く交渉を続けていく方針に変わりはない、ということを改めて確認しておきたいと思います。
今回、申告書の提出に踏み切った主な理由について
では、なぜ組合員の投票で「申告書の提出」という道が選ばれたのでしょうか?
その最大の理由は、現在の状況から判断して、これ以上「スジを通して」申告書の提出を拒否し続けることは、個々の組合員に経済的な面で多大の負担をかけることになるとの判断を多くの組合員が尊重したからです。もちろん、反対の立場を取る人も少なくはありませんでした。現在の学長や法人側のやり方に対して抗議の意志を表す意味で、少なくとも今年度のボーナスに関しては、申告書の提出を拒否し続けるべきだというのが、その主な理由です。あるいは申告書の提出に踏み切ることは、論理としても、気持ちの面でも、どうしても自分を納得させることはできないという意見もありました。このような意見があるのは、当然のことと言えます。
ですから、申告書の提出を拒否することで「スジを通す」ということに関しては、今回の投票では、「この件に限りいつまでスジを通すべきか」で、結果的に意見が分かれたのだと思います。
組合大会での基本方針の決定に際して最も重要なことは、民主的な意志決定と組合員の団結ということではないでしょうか。組合員は、一人ひとり異なった生活環境をもち、最も大切にしたい判断基準も要求も、少しずつ異なっています。その中で、お互いの意見に耳を傾け、相手の考えを十分に尊重することが大切だと思います。この姿勢に関しては、学長はじめ現在の法人側の態度は、まさに組合とは対極にあり、まことには残念というしかありません。
今回の意志決定は、長時間にわたる議論を経ての苦渋の選択でありました。しかし、現在の組合には、今回のような意志決定の手続きの面でも、各自が大学を良くしたいと思う意欲や、そのために団結し協力する姿勢においても、その力は十分にあることを確認した大会であったと思います。
今後とも、組合員のみなさまの協力と団結をお願いいたします。
以上