北陸大学教職員組合ニュース第157号(2000.7.7発行)

 

またも文部省助成金が削られる

 

理事不在の団交とは

7 4 日、経営側が拒否し続けていた団交が、彼らが主張する「従来の方式」通りに開催されました。経営側は、執行委員以外の組合員が従来通りに参加する団交を拒み続けることはもはやできませんでした。団交には、例えば労組と友好関係にある組織の代表や、顧問弁護士、上部団体の役員等も参加できます。誰を参加させるかは、労組の自治です。労使双方の「10名前後の交渉委員」( WithPlus 20006.29)だけで行おうとし、一般組合員の参加を拒否することで団交そのものをなくそうとする法人側の姿勢は、今回多くの組合員の抗議の意志の前にくじかれました。

しかし、「従来の方式」では、理事が2〜3名必ず出席をしていたのですが、今回は松村常務理事一人のみの「異常な方式」でした。しかも松村理事は開始後20分を経過しても姿を見せませんでした。にもかかわらず、理事でもない一課長が「そろそろ始めましょうか。理事は遅れてきますので」という始末。ここには、団交は内容を問わず、行いさえすればよい、とする経営側の本音が垣間見えます。

 経営側の定義によれば、「団体交渉とは使用者と労働組合からそれぞれ権限を付与された者が『交渉』をを行う場」です(「貴組合の『抗議書及び要望書』について(回答)2000.6.28」、WithPlus 2000.6.30)。にもかかわらず、「理事長が団交に来なくても権限を付与されている」と常日頃主張している当の労務担当理事が出席もしていないのに、何の権限も委譲されていない一課長が団交を開始しようとしたのです。彼らにとり、団交は互いに解決をめざして協議し合う場ではありません。

 

資料一つ示さない団交

    組合側「補助金が削減されたというのは本当ですか」(岡野書記長)

    経営側「調整されたということです」(南野経理課長)

    組合側「要するに”減らされた”ということですね」(岡野書記長)

    経営側「そうです」(南野経理課長)

依然として文部省の補助金上限額(役員 2200 万円、教員 1800 万円)を上回る理事がいることが判明しました。そのために、相変わらず補助金カットが続いているのです。かつて1997 年段階で、4000 万円近くの年収を得ている理事が二人、2200 万〜 3000 万円もの年収が二人もいたことが団交で「事実」として確認されました(『組合ニュース』No.53)。

今日、知事の平均所得は 2303 万円です(『朝日』2000.7.4)。理事側は、盛んに「緊縮財政」、「早急に緊縮化の方向」を主張しています。( WithPlus 2000.6.29)「施設の補修・維持管理と教育研究費を優先的に控除」(同上)する必要があっても役員報酬は何ら「緊縮化」していません。<恥とは何か>を知っている経営者ならば、財政緊縮には、まず、無駄をなくすことから始め、経営努力をし、何よりもまず自らの高額報酬を「緊縮化」します。そして更に大切なことは、こうしたプロセスの全体をきちんと開示することです。

 団交では、組合結成以来、経営側は財務諸表の提出を拒み続けています。したがってどういう経営努力をした結果、教職員の賞与がカットされるのかが全く不明です。

そうです、大切なのは「真心」です

 今回で団交は 68 回を重ねました。この間、一度も「最高責任者」が団交に出席をしていません。自らは一度も姿を見せず、交渉の矢面に部下の理事たちを立たせ続けています。『With 2000.No 8』によると、北元理事長は中国で次のような発言をされています。「日本では、相手のことを本当に理解し、真剣に相手に尽くそうとする気持ちを『真心』といいます」。ならば、既に5年間にわたり68回も私たち教職員組合との論争に取り組んできた部下たちの苦労を思い、その苦労を少しでも軽減させ、自らがたまには団交にでて、部下を休ませてやろうという、ねぎらいの気持ちを表わすのはいかがでしょうか。「尽くす相手」は部下であってもいいわけです。そうすれば、「あまりにひどい。北元理事長は小生に対する仕打ちがあまりに非人間的」(衛藤潘吉氏『北陸中日』 1997.3.2)などという満天下に知れわたった悪評も少しずつ回復の見込みがでてくるでしょう。どうか、次の団交にはご出席になり、「相手に尽くす『真心』」の範を示され、部下には69回目にして初めての<休養ボーナス>を支給されてはいかがでしょうか。双葉山の 69 連勝は名誉ですが、69 連続欠席は、学生ならば進学は無理でしょう。

●団交に出席した組合員の声●

 法人側の弁解に終始した会合になり、資料を出しての討議にはならないことを知りました。経営側の試案の提出により話し合われて交渉される会議と考えていましたが、決定権を持たない懇談会に近い形に感じました。決定を伴う提案資料がいつも出てこないのでしょうか。

 会合は、教授会の承認と同様に議事録が作成されて公文書扱いになるものではないでしょうか。(注)会合の拒否に対する法人側の文書提出は後日でももとめられないのでしょうか。法律的な強制力はどこまで有効なのでしょうか。

 事務の査定については、文書で例年通りに実施する旨通知があり、組合との話の上で決定されたのでしょうか。思いつくままの感想になってしまいました。すみません。

 今回執行委員の方々が、のれんに腕おしの法人に対し抗議をされている光景を見て、法人の惰性と逃げの姿勢、トップのワンマンが伝わりあきれました。

 交渉で有志の協力の必要があれば、協力したいと思います。感情の苛立ちの連続だろうと思いますが、私自身どう意見を言ったらいいのか明確な助言が出てこない感想になってしまいました。申し訳ありません。

注)組合は、結成以来、このようにするよう主張していますが、法人側は、拒否したままです。